サポーター体験記302

“食”を通して地域の多世代を支える「NPO法人楽膳倶楽部」

取材日令和5年12月16日
更新日令和6年1月12日

「食でつなぐ地域の絆」をモットーに、平成10年(1998年)から光が丘地域で活動をしているNPO法人楽膳倶楽部。高齢者向けのサロンやこども食堂、男性向けの料理教室、オリジナルスイーツの販売など、その幅広い活動で地域の人たちの輪が広がっているようです。今回は、活動拠点である旭町の一軒家「楽膳倶楽部 旭町ハウス」で会員の皆さんと一緒にランチパーティーを体験し、理事長の清宮百合子さんにお話を伺ってきました。

NPO法人楽膳俱楽部(らくぜんくらぶ)

※以下、文中敬称略。

理事長:清宮 百合子(きよみや ゆりこ)さん
所在地:練馬区旭町1-31-4
電話:03-6915-6300
メール:rakuzen@tokyo.nifty.jp
URL:https://www.rakuzenkurabu.jp/index.html

「楽しくみんなで食事をする」という思いを込めて

−−−まずは、NPO法人楽膳倶楽部を立ち上げた経緯を教えてください。

清宮「今から26年前の平成10年(1998年)に、団体を立ち上げました。当時は高齢者が日常的に出かけていける場が少なかったので、地域の人たちと交流できる場が必要だと思ったんです。高齢者が自立して生活していくために必要な食のサポートをすれば、住み慣れた地域で長く暮らしていけるでしょう。『楽膳倶楽部』には、“楽しくみんなでお食事を”という意味を込めました。平成18年(2006年)に法人化しました」

NPO法人楽膳倶楽部の理事長、清宮 百合子さん

−−−現在はどのような活動をされているのですか。

清宮「月に1回、こども食堂、歌の会、俳句の会、シャンソン教室を、月に2回、『食のほっとサロン ランチパーティー』と男性料理教室を開催しています。『みんなで晩ごはん』と『相談情報ひろば』は毎週開催。また、年に2回、夏祭りと餅つきのイベントもやっています。そのほか、エンディングノートを書くセミナーや終活フェスタなどの終活プロジェクトや、らくぜんママ部・パパ部、玄米シフォンケーキなどのお菓子を作って販売している『玄米工房らくぜん』の活動もあります。週6日は何かやっていることになりますね(笑)」

−−−それだけの幅広い活動を支えているメンバーはどのくらいいるのですか?

清宮「会員は63名いますが、会員以外にも、参加したり協力してくださったりする人がたくさんいます。『らくぜんママ部』のLINEグループには150名くらいいるようで、子育て世代がSNSで情報発信をしてくれるので、とても助かっています」

−−−若い世代も活躍しているのですね。

清宮「他の団体からは羨ましがられています(笑)。第4土曜は『らくぜんパパ部』の活動日で、家で普段食べられないような辛い料理や、豪快メニューを自分たちで作って楽しんでいるんですよ。4~5名ほどですが、ここでがっつり食べてみんな満足そうに帰られます(笑)」

ランチパーティーを体験! 季節感たっぷりのおいしい食事と楽しいプログラム♪

「食のほっとサロン」のランチパーティーの様子。食事の前に、口腔体操でフレイル予防!

−−−今日参加させていただいた「食のほっとサロン」は、どのような事業ですか?

清宮「毎週土曜の昼に開催している、高齢者を対象とした会食事業です。会員15名と一緒にランチを食べて、体操やおしゃべりなどいろいろな企画を楽しむというものです」

取材日のランチはクリスマスメニュー。ハッシュドビーフとサラダ、デザートはクリスマスツリー型のゼリーでした

−−−ランチはクリスマスメニューでとてもおいしかったです。みんなで食べると食が進みますね。

清宮「食事や企画を考える際は、季節感を取り入れることを意識しています。また、辛いもの、甘いもの、酸っぱいものなど、いろいろな味わいを楽しめるように味のバランスに気を付けています。添加物を使わないことや栄養バランスも考え、彩りも大切にしています」

食後は、社交ダンスのベテラン会員にステップを教わり、音楽に合わせてみんなでダンス体験!
80代&90代ペアのお手本は、年齢を感じさせない素晴らしいダンス♪

−−−食後はダンスをしたり、クリスマスソングを歌ったりと盛りだくさんでしたが、参加した皆さんがとてもお元気で驚きました。

清宮「出かける場所があると、元気になるのだと思います。コロナ禍で気持ちが落ち込み、家に閉じ込もっていたという方が、ここへ通うようになってから元気になったとご家族から聞きました。そうした声を聞くと、役に立っていると実感できて嬉しいですね。飽きずに足を運んでもらえるよう、季節ごとに企画を工夫しています」

ウクレレ演奏に合わせてクリスマスソングをみんなで歌いました♪

みんなが笑顔で喜んでくれるのが原動力

−−−ほかの活動についてもお聞きしたいと思います。「みんなで晩ごはん」はどういった事業ですか。

清宮「毎週木曜の15時〜19時、手作りのお弁当をみんなで食べます。学校や学童帰りのお子さんや、親御さんが帰宅されるまでの時間を1人で待つお子さんが宿題を持ってきたら、スタッフがサポート。親子連れで来る人もいます」

−−−楽膳倶楽部さんの食事はおいしいから人気なのでは?

清宮「事前予約制なのですが、毎回約60食作っています。お弁当は大人が1食500円、中学生まで1食300円で、テイクアウトも可能。仕事と子育てに追われるママさんの『毎日夕飯を作るのはしんどい』という声を聞いて、1日くらい夕食作りを休めるようにという思いでスタートしました」

−−−「こども食堂」とはどう違うのですか。

清宮「『らくぜん子ども食堂』は、第1日曜の昼に実施しており、1食200円の手作り弁当のテイクアウトのみ。こちらも事前予約制で、1回に約100食作っています。申し込みの条件はありませんので誰でもOK。地域のみんなを応援したいという気持ちでやっています」

活動拠点の「楽膳倶楽部 旭町ハウス」は、旭町の住宅街にある一軒家

−−−食にかかわる活動を通して感じていることはありますか?

清宮「普段は食が細いという高齢者でも、みんなで食べるとたくさん食べられるんですよね。食べている時に怖い顔をしたり喧嘩をしたりする人っていませんから、自然とコミュニケーションが生まれるんです」

−−−リピーターが多いのでしょうか。

清宮「そうですね。毎回欠かさず来る方もいて、顔なじみの家族みたいな感じになっています。口コミや紹介で少しずつ参加者や協力者が増えて、26年間やってきたことが今につながっているんだなと。人生は人との縁だとつくづく感じます。きっと、楽しいからみんな来てくれるのだと思いますし、私自身も『今日はあの人が来るな』『このメニューなら喜んでもらえるかな』と、顔を思い浮かべながら作っています。みんなの笑顔が私の原動力です」

人生は人との縁があってこそ

−−−活動を続けるなかで、課題はありますか。

清宮「定期的に参加してくれる人がいる反面、やはり離れてしまう方もいます。活動を知ってもらうために情報を発信し続けることは重要だと思っています。協力してくださるボランティアスタッフも募集しています」

光が丘の四季の香ローズガーデンのフェスティバルに出店し、玄米シフォンケーキを販売

−−−資金面ではいかがですか。

清宮「助成金などに頼ってばかりでは続きませんので、自主事業で活動資金を得るために、玄米スイーツの製作販売を始めました。使っている玄米は、高水圧で水を通した特別なもの。シフォンケーキやビスコッティを作っていますが、おそらく他にはないと思います」

−−−清宮さんは、人を巻き込む吸引力がある方だと感じますが、目指しているのはどんなことですか?

清宮「目指している方向が明確にあるわけじゃないんです。人から『こんなものがあったらいいな』と言われたら、『じゃあやってみようか』というのを続けてきただけ。だから、これからも人が集って楽しく過ごせる場所を作れたらいいかなと思っています」

創立20年を迎えた2018年1月、料理初心者のためのレシピ本「カンタン 自分ごはん」を発行。1冊500円で販売中

−−−最後に読者へメッセージをお願いします。

清宮「来てくれた人たちが、笑って『おいしい』と言ってくれるのがやりがいなので、ぜひ楽膳倶楽部のイベントに参加してみてください。ボランティアスタッフも募集中ですので、地域ボランティアに興味がある方もお気軽にお声かけください」

サポーターの取材後記

splash

楽膳倶楽部は、「食」を通して地域福祉全般に貢献することを目的として、1998年に発足しました。高齢者が自立して生活していくために必要な食のサポートをすることにより、住み慣れた町、友人、住環境の中で暮らし続けることを目指しています。現在は、食のほっとサロン、男性の料理教室、相談情報広場に加えて、最近ではこども食堂も新たに作られました。今回は、「食のほっとサロン」に参加させていただき、ビーフストロガノフをメインとした美味しい昼食をご馳走になりました。平均年齢は85歳前後という高齢者の集まりなので、穏やかな俱楽部なのかと思いきや、食後は、ダンスレッスンがあり、マンボやチャチャを教えてもらい、その後はクリスマスソング「きよしこの夜」を皆様と唱和させていただき、とても楽しいいひと時を過ごすことができました。
「年齢は単なる数字です。もちろん、あなたがたまたまワインのボトルでない限り、それはまったく関係ありません」…これはイギリスの俳優のジョーン・コリンズさんの名言です。まさにこの言葉のとおり、会員の皆さまを見ていると、「何年生きてきたか」ということよりも、「これから何を経験して何を大事にして生きていくのか」ということが大切だと強く感じました。外出の機会が週1回以下の高齢者は、毎日外出する高齢者と比べると、理解力や判断力が低下する危険性が約3.5倍だそうです。そういう意味で、この楽膳俱楽部の活動や催しに参加し、楽しく語らいながら食事をしていれば心の健康を保つことにつながるでしょう。会員の多くは、友人に誘われての参加だそうですが、まずは、この倶楽部を見学してみてください。これからの人生の幸せの解像度をあげることができるかもしれませんよ。


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