サポーター体験記299

「大江戸線の延伸」は今、どうなっている!?

取材日令和5年8月29日
更新日令和5年11月27日

練馬区内のさまざまな場所で、「大江戸線の延伸」という文字を目にしたことはありませんか? 光が丘駅の先に3つの新駅が開通するという計画で、気になっている方も多いと思います。延伸工事はどこまで進んでいるのか? いつ開業の予定なのか? おそらく多くの練馬区民が気になっている疑問を解決するべく、練馬区役所の担当課に行ってきました!

練馬区都市整備部 大江戸線延伸推進課

※以下、文中敬称略。

大江戸線延伸推進担当係長/乘田 実哉子(のりた みやこ)さん
大江戸線延伸推進担当係/久保田 諭史(くぼた さとし)さん
住所:練馬区豊玉北6-12-1
電話:03-5984-1564(直通)
大江戸線延伸地域のまちづくり:https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/machi/kakuchiiki/oedo/index.html
大江戸線延伸ニュース:https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/machi/kunai_tetsudo/ooedoenshin.html#cmsC9F2D

「大江戸線の延伸」とは、どんな計画なのか?

ーーーまず、延伸計画の概要について教えてください。

久保田「都営大江戸線の終端駅である光が丘駅から、その先の大泉学園町方面まで延伸する鉄道計画のことで、延伸地域の土支田・大泉町・大泉学園町に、3つの新駅が開通する予定になっています。その後、さらに埼玉県のJR東所沢駅方面まで延伸する計画もあります」

ーーーこれまで大江戸線は、どのような経緯で開業してきたのですか?

乘田「練馬〜光が丘間が昭和61年(1986年)に着工し、平成3年(1991年)に開業。その後、新宿~練馬間、都心環状部に順次着工し、新宿〜練馬間が平成9年(1997年)に開業しました。現在の区間が全線開業したのは平成12年(2000年)です。光が丘団地ができて人口が急増したことへの対応が急務だったため、まずは放射部(新宿~練馬~光が丘)が第一段階と言えます」

担当係の久保田さん(左)と、係長の乘田さん(右)。オリジナルキャラクターは「えんしん君」♪

ーーー延伸の計画が最初に発表されたのはいつですか?

久保田「今から51年前です。昭和47年(1972年)に、国の都市交通審議会の答申第15号で、初めて高松町(現:光が丘)から大泉方面に続く鉄道路線の検討について取り上げられました。次に、昭和60年(1985年)の運輸政策審議会の答申第7号で、光が丘〜大泉学園町という区間が明確に追加されました」

ーーー「答申」とは、どういう位置づけのものなのですか?

乘田「国からの諮問に対し専門の審議会が、『このくらいの時期を目標に、こうしたらいいのではないか』という意見を述べたもので、決定や指示というものではありません。鉄道に関する答申が出されるスパンがだいたい15年おきぐらいで、とても時間がかかるものなのです」

ーーーそんなに長いスパンだとは思いませんでした…。でも、国や都のお墨付きということなんですよね?

久保田「それは間違いないです。平成12年(2000年)の運輸政策審議会の答申第18号で、『目標年次までに整備着手することが適当である路線』という明確な位置付けがなされ、平成28年(2016年)には、交通政策審議会の答申第198号で『進めるべき6つのプロジェクト』の1つに選ばれました。また、東京都も、平成27年(2015年)に発表した『広域交通ネットワーク計画について』の中で、『整備について優先的に検討すべき路線』の1つとして大江戸線の延伸の整備を選定しています。つまり、大江戸線の延伸は、国と都から明確に位置付けられている計画ということになります」

延伸が実現したらどんなメリットがあるの?

延伸を見据えた3駅(土支田駅、大泉町駅、大泉学園町駅。いずれも仮称)の予定地と道路整備状況 (「大江戸線延伸ニュース」令和5年春発行号より)

ーーーそもそも延伸の意義とは何でしょうか?

久保田「1つ目は、練馬区北西部の“鉄道空白地域”の解消ですね。最寄り駅まで1㎞以上離れている地域のことで、23区内に残っているのはごくわずかです。2つ目は、都心へのアクセス向上。3つ目は延伸予定地の活性化です。そして、延伸地域では補助230号線の整備も進んでいますので、道路の混雑緩和も期待できます」

ーーー延伸によるデメリットはありますか?

久保田「光が丘駅が終端駅ではなくなるので、利用者への影響が出ないような運用を、都へ要請していくことは必要だと考えています」

ーーー延伸に反対している住民はいないのでしょうか?

久保田「区のイベントなどで実施しているアンケートでは、約9割の方から前向きな回答をいただいており、延伸への期待が大きいと捉えています」

サポーターによる取材の様子

開業予定日はいつ?延伸計画は順調に進んでいるの?

ーーー延伸の開業はいつ頃ですか?

乘田「開業時期や工事着手など、現時点で具体的なスケジュールは示されていません。東京都が延伸の事業着手の意思表示をし、さらに国から鉄道事業の許可を得てからでないと、3つの新駅は開業しないのです。大江戸線が最初に開業した時より法的な手続きが煩雑になっているので、実際の工事着手までは今までよりさらに時間がかかるのではないかと予想されます」

ーーー延伸計画はどこまで進んでいるのでしょうか?

乘田「事業者となる予定の東京都交通局が、事業化に向けた調査を行っています。今年3月には、都庁内にプロジェクトチームが設置され、大江戸線の延伸について検討が進められています。また、延伸地域では、東京都建設局が光が丘から大泉学園町を結ぶ都市計画道路補助230号線の整備を進めており、用地買収はおよそ9割済んでいます。この都市計画道路は、道路の混雑緩和や歩行者等の安全性向上などの効果に加えて、大江戸線延伸の導入空間にもなる予定です」

練馬区役所本庁舎のアトリウムに掲げられた懸垂幕

ーーー思っていたより進んでいない印象なのですが、事業決定や工事着手に至らない課題は何ですか?

乘田「端的に言うと、延伸部開業後の鉄道事業の採算の見通しが立っていないということのようです。一般的には、開業にかかる費用と開業後の収入が、40年を目安に黒字に転換できる予測でないと、許可が降りるのは難しいと言われています。大江戸線はコロナ前までは黒字だったのですが、コロナ禍で利用者数が落ち込み、さらに物価高騰の影響を受けて厳しい状況になったのが大きな要因です」

ーーー今年3月、東京都副知事をトップとする「大江戸線延伸にかかる庁内検討プロジェクトチーム」が設置されたと聞きましたが。

乘田「これにより、課題解決や今後の進め方などについて、都庁内で検討が進められています。練馬区も連携して協議をしていくことになります」

笹目通りから大泉町二丁目まで開通している補助230号線

練馬区の役割は、まちづくりで延伸を推進すること

ーーー土支田エリアの新駅予定地には広い空間ができていました。

乘田「地元の方々のご協力をいただき、区が施行した土支田の土地区画整理によって、作り出した空間です。土支田には以前から『区画整理』の計画があったため、補助230号線の事業着手推進として区画整理を進めてきました。ちなみに、ほかの2駅については区画整理の予定はありませんが、地区計画などのまちづくりを地域の方々と進めてきました」

ーーー練馬区はどのような形で延伸にかかわっているのですか?

乘田「練馬区の役割は、延伸地域のまちづくりや環境整備を区民の方々と進めながら、事業化決定を推進していくこと。1日も早く工事に着手してもらえるよう準備を整えている状態です。具体的には、駅周辺と沿道のまちづくりを、『地区計画』という手法などで進めています」

ーーー「地区計画」とはどのようなものですか?

乘田「地区のあるべき姿を目指して、建物の建て方のルールなどを決める手法です。また、地区計画の決定に合わせて、補助230号線の沿道は『用途地域の変更』も行っています。その結果、延伸地域の多くは第一種低層住居専用地域で戸建て住宅しか建てられないエリアでしたが、新しくできる補助230号線の沿道では身近な商業施設や5階建て程度の建物が建てられるようになりました」

延伸地域の「地区計画」について説明をしてくださる乘田さん

区民への広報活動で機運醸成!

ーーー「大江戸線延伸ニュース」を見たことがあります。

久保田「平成19年(2007年)から、1年に1〜2回ほど発行しています。区内の公共施設に設置したり、各町会・自治会に配布したりしていますので、ぜひ読んでみてください。ホームページでバックナンバーの閲覧も可能です」

大江戸線延伸ニュース

ーーーニュースの発行以外では、どのような活動をしているのですか?

久保田「照姫まつりや練馬まつり、地区祭などのイベントに出展したり、オープンハウスを開催したりして、啓発活動を行い、PRをしています。また、地元の方と協力して、東京都へ要請活動を行うことも大切な役目です」

ーーー区が広報活動も担っているのですか?

久保田「広報活動は、『大江戸線延伸促進期成同盟』が中心となって行っています。昭和63年(1988年)に、区議会・地域・区の三者で設立した組織です」

イベントなどで広報活動も積極的に行っています。 左:練馬まつりのブース  右:オープンハウスの様子

ーーー最後に読者へのメッセージをお願いします。

久保田「大江戸線の延伸は、区の最重要課題の1つに位置付けられています。23区でも数少ない鉄道空白地域の解消を実現することで、延伸地域のみならず、区全体の発展につながると考えています。延伸地域は大きな公園や緑豊かな農地が多いエリアです。延伸により、新駅ができることで、区外からも多くの人が集まり、賑わいや交流が生まれることを願っています。1日も早い延伸に向けて取り組んでいますので、引き続きご理解とご協力をお願いいたします!」

サポーターの取材後記

ミスターヒワダ

区北西部の鉄道空白地域への悲願の大江戸線延伸について、区役所の乘田さんと久保田さんに、そもそもの始まりからの経緯と現状をお聞きしました。やはり一番の課題は、お金のようです。区としては、ソフト面で、延伸への啓発活動や3つの駅予定地周辺のまちづくりを進めているということでした。一方、ハード面では東京都の交通局が、経営の安定性から乗降客予想等で採算の目途を検討しています。なんとか良い方向になって、早期に開業ができることを願うばかりです。


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