練馬区立 こどもの森
※以下、文中敬称略。
所在地:練馬区羽沢2−32−7(氷川台駅から徒歩10分)
開園時間:3月~9月 9:00~17:00/10月~2月 9:00~16:30
休園日:12月29日~1月3日
電話:03-5999-6200
*入園無料・予約不要
取材ご担当:プレーリーダー/森田 敦也さん(運営受託:JV PLAYTANK)
URL:https://nerima-kodomonomori.com/
練馬区羽沢にある「こどもの森」。“こども”という名前がついていますが、誰でも利用できる区立公園です。「自然×冒険×交流」をテーマにした緑いっぱいの公園では、決められた遊びはなく何をやってもOK! 遊びの専門家 プレーリーダーが見守ってくれています。そこには、今も昔も変わらない、目を輝かせて遊ぶこどもたちの姿がありました。
※以下、文中敬称略。
所在地:練馬区羽沢2−32−7(氷川台駅から徒歩10分)
開園時間:3月~9月 9:00~17:00/10月~2月 9:00~16:30
休園日:12月29日~1月3日
電話:03-5999-6200
*入園無料・予約不要
取材ご担当:プレーリーダー/森田 敦也さん(運営受託:JV PLAYTANK)
URL:https://nerima-kodomonomori.com/
―――園内から賑やかな声が聞こえてきますね。こどもたちは何人くらい来るのですか?
森田「平日だと、午前中は15~20組の未就学のこどもたちと保護者の方がほとんどで、放課後になると近隣の学童と小学校からそれぞれ30人くらいずつやって来ます。土日は200人前後です。ネットで検索して近隣県から来られる方もいますよ。まずは園内をご案内します」
―――「そり立つ壁」もそうですが、手作りの遊具が多いですね!
森田「保護者の中には大工さんもいるので、一緒に作業をしてもらいながら教えてもらっています。遊具を作る際の安全管理項目を参考にしながら、設計の段階で、こどもたちの発達に合わせた遊具を作っています」
森田「ここは木工コーナーです。近隣の材木屋さんからもらった廃材と、貸し出し用の道具を置いているので、自由に好きなものを作れます。作品を作ったら持って帰れますよ」
森田「ここは『こどもり農園』です。誰でも入ってよくて、お世話をしたら収穫できます。毎週土曜にはファーム渡戸さんが畑作業の指導に来てくれます。中央の広い畑はみんなでお世話していますが、周りのミニ農園は実験農場。こどもたちが、ミントや藍染め用の藍とか、家で食べたものの種や根などを植えて、実験的に育てています」
森田「もともと果樹園だったので、キウイ、梅、栗、プラム、すももなどの果物が収穫できます。少し前には梅の実を収穫して、みんなでヘタをとって梅ジャムを作りました。木陰にあるおままごとコーナーは、使わなくなったキッチン用品を寄付してもらいました」
―――地元のお店や農家さんの協力があったり、そして保護者の方の専門性を生かしたり…。地域ぐるみで公園を作っていることが分かりました。大人もこどもも「やりたい」を実現できるのが「こどもの森」。誰もが生き生きと過ごしている様子が印象的です。この環境を整え、人と人をつなぐ“ハブ”にもなっているのがプレーリーダー。その役割や思いをプレーリーダーの森田さんにインタビューしました。
―――まずは、こどもの森の特徴を教えてください。
森田「練馬区立こどもの森は『自然×冒険×交流』がコンセプトの冒険遊び場です。区立公園として誰でも来園することができるので、こどもたちはもちろん、シニアの方々も集える地域の交流拠点として運営しています。プレーリーダーという遊び環境を整える専門スタッフが、平日は2〜3名、土曜・日曜・祝日は3~4名常駐しています。規模などの違いはありますが、冒険遊び場は全国に400か所くらいあるんですよ」
―――こどもたちの様子を見ると、自ら考えて楽しんでいるように感じました。気を付けていることは何ですか?
森田「決まった遊びがないところなので、こどもたちの『やりたい』を大切にしています。何かをやりたいという声があったら、『こうしたらいいよ』とアドバイスするのではなく、『どうしたらいいかな?』と一緒に考えます。失敗しそうでも、ぐっとこらえて、試行錯誤を積んでいくのがポイントだと思います」
―――トライ&エラーの「エラー」の中に次のトライが生まれるということですね。
森田「まさにそうです。プレーリーダーの立場は『こどもたちとななめの関係』と言われます。学校の先生だと上下かもしれませんが、プレーリーダーはこどもたちの仲間。でも大人なのでななめから見守りながら、一緒に悩んで遊びます」
―――危ないことをした時や、友達とトラブルになった時には、どのように対応しているのですか?
森田「そういったときも、ただ『やめなさい』ではなく、その子がなぜそれをしているのかを考えます。今日学校で嫌なことがあってストレス発散をしているのか、単純にスリルを楽しんでいるのか。普段から一人一人の発達段階や身体能力といった特徴を把握することを大切にしています。毎日、スタッフ間で共有しながら、こどもの気持ちを大切に、理解を深めるようにしています」
―――私たちもこどもの頃、こういった自然の中で遊んだものですが、今と昔の違いを感じることはありますか?
森田「楽しいと感じることは、昔とあまり変わらないと思います。でも面白いのが、木工でゲームのマインクラフトの道具を作っている子がいたことです。ゲームをやって、実際に作ってみたいと思って、こどもの森に来ることがあるんだなと。やっぱりゲームは気になるみたいですね(笑)」
―――ゲームは気になっても、ここではゲームをしないのですか?
森田「そうですね。スマホを持ってきている子もいて、禁止しているわけではありませんが、触りたくならないようです。こどもの森では外遊びを楽しんでもらいたいので、プレーリーダーもいろんな仕掛けを用意しています」
―――以前、七夕まつりでこどもたちの劇を見せてもらったことがあります。こどもたちが脚本を書いたと聞いたのですが…
森田「行事の準備や話をするうちに、『七夕の物語ってなんだっけ?』という興味につながって、劇をやろうということになりました。3・4年生の子がシナリオを書いて演出をして、皆さんに楽しんでいただきました。こどもの日や七夕といった季節の行事も、身近なものとして体験できるように工夫しています。今日もこれから笹を取りに行く予定なんですよ」
―――普段のこどもの森にもシニアの方の来園が見られます。来られるようになったきっかけは? また、どのような関わりが生まれているのでしょうか?
森田「お孫さんと一緒に来ることもあれば、ふらっと一人でお散歩にいらっしゃることもあります。プレーリーダーと一緒に園内を回っていると、自然に『こんにちは』と、みんなが話しかけてくれます。普通の公園だと知らない人に声を掛けるのはハードルが高いですが、プレーリーダーが“ハブ”になって、来園者同士をつなげていきます。コマやベーゴマ、クギサシといった昔遊びもたくさん用意しているので、一緒に遊びやすいと思います。シニアの方から、草笛を教えてもらうことも。シンプルな遊びは、昔も今も、こどもたちは夢中になって遊びますよ」
―――森田さんのやりがいはどういったところですか?
森田「ここに来るこどもたちは中学生くらいまでで、部活や受験で忙しくなって来られなくなることがほとんどです。先日、過去にここで一緒に遊んだ子が『就職したんだ!』と報告に来てくれました。定期的には来なくなるけど、思いっきり遊んだ思い出があるから、節目で会いに来てくれる子が多くて、それがとてもうれしいです」
―――こどもの森をどんな場所にしていきたいですか?
森田「多くの地域の人に遊びに来てほしいと思っています。遊びを通してお互いに顔見知りになって、こどもの森の外でもこの交流が続いてほしいです。そんな地域の人をつなぐ場所になっていければと思います」
―――「やりたい」を全力で応援してくれるこどもの森の楽しさは、プレーリーダーあってこそ。プレーリーダーという職業はイギリスでは国家資格にもなっていますが、日本ではまだまだ認知度が低く、こどもの森のような公園は希少なのだということが分かりました。百聞は一見に如かず! こどもたちのパワーを感じに、ぜひ一度訪れてみてください。
草笛のけん
城北中央公園で草笛の練習をしていた3年前、当時小学4年生の「なつ君」がこどもの森を紹介してくれました。満州から引き揚げ後、熊本の山間部で中学まで過ごした私は、こどもの森で目を輝かせ生き生きと遊ぶこどもたちを見て感動しました。核家族化、社会生活の変化などからシニア世代とこどもが交流する場がほとんどありません。ところが東京の練馬にもこどもたちの隠れ家として、学校や家庭で教えないことを友達やプレーリーダーから学んでいる「こどもの森」が存在することを知りました。
私は70歳を過ぎてマスターした草笛を、こどもの森のこどもたちと楽しんでいます。毎月、数回巻き葉笛を作ってこどもの森に行きます。いつしか、こどもたちとの間に魔法の合言葉「ありがとう」が出来てきました。こどもが私をみつけ「ありがとう」という時は、巻き葉笛を渡すようにしています。
中には 草笛が上手くなり葉っぱ笛で音出しができる子もいます。こどもの森以外で顔を合わすこともあります。私のところに走ってきて「ありがとう」という子、ハイタッチをする子、親御さんからお礼を言われる時もあります。私と同世代の中にはデイサービスに通っている人もいます。私はこどもの森の仲間たちから元気をいただき、充実した楽しい老年期を過しています。こどもの森のプレーリーダー、ボランティアの方々、交流してくれるこどもに感謝しています。
splash
大人はこどもの成れの果てというように、私もかつてこどもでした。そんな年老いた私の目に飛び込んできたのは、小さい頃の原風景でした。
この「こどもの森」で、泥んこに夢中になっているちびっこ、水遊びに沼っている姉妹、ここで楽しく遊んでいるこどもたちからは笑い声が絶えません。彼らにとってここはパラダイス(楽園)なのでしょう。
安心して安全に遊べるように配慮しているプレーリーダーからは、私たちの仕事は環境設定の立て付けに重きを置き、管理はその次にきます。万が一、管理したくなった時には、グッとこらえて、彼らはどうしたいだろうとその思いに寄り添い、こどもたちのやりたい事の背中を押します、との言葉は感銘を受けました。
シニアの方々は、是非とも一度この「こどもの森」に立ち寄ってください。そして目を輝かせているこどもたちを見てやってください。どの場所どの時間を切り取っても、冒険心にあふれるこどもたちの表情に、心を動かす何かが沸き上がってくると思います。