サポーター体験記
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練馬区生まれの独自スポーツ!「キャッチバレーボール」の魅力に迫る

練馬区生まれの独自スポーツ!「キャッチバレーボール」の魅力に迫る
今年、創立40周年を迎えた同協会、歴史とチームの思いがぎっしり詰まった一冊

T V番組などで練馬区が紹介されると、農業や飲食店と並んで必ずといっていいほど取り上げられるのが「キャッチバレーボール」。
練馬区にしかない独自のスポーツで、実はあらゆるスポーツの下支えにもなっているとか?!
そんな競技の魅力を協会の理事長にお尋ねしました。

練馬区キャッチバレーボール協会

※以下、文中敬称略。
※取材はコロナウイルス感染症の予防対策に十分配慮し、行われています。
取材ご担当:理事長/石川 雅敏さん
所在地:練馬区羽沢2−19−1
電話:090−3518−5707
URL:http://catchvolleyball.org/

バレーボールの要素を取り入れながら、安全性に配慮したスポーツ

――練馬区でこの協会が誕生した経緯を教えてください。
石川 「今から50年前でしょうか。当時は男の子のスポーツは野球・サッカーと選択肢があったのですが、女の子ができるスポーツがほとんどありませんでした。そこで、教員の方と協力者でバレーボールに似たスポーツとして、キャッチバレーボールを生み出したのが最初です。昔は“ネットボール”という名前でした。
当初は開進第三小学校、旭丘小学校、小竹小学校の3校で取り入れて始めまして、そこから練馬区全域に広まっていきました」


 

 理事長の石川さん、運営にももう20年ほど携わっている
理事長の石川さん、運営にももう20年ほど携わっている

――学校の体育などでも取り組んでいるのですか?
石川 「取り入れている学校も何校かあるようですが、あくまでスポットという扱いで、正式な科目にはなっていません。東京都の指針に明確に“キャッチバレーボール”という科目はあるのですが、実はこれと練馬区の私たちのものとは全く別のスタイルですね。
私たちのキャッチバレーボールにも明確なルールが存在しますが、元が一緒ということではなく、東京都のキャッチバレーボールは教育委員会が独自に考え出したものだと思います」



――練馬区のものは具体的にどのような特徴がありますか?
石川 「反則や注意事項などが明記されたルールブックも定めていますが、練馬区のキャッチバレーボールはバレーボールのルールがまずありきです。それを小学生でもできるように簡易化しているのが特徴ですね。生涯スポーツという位置づけですが、シニアの皆さん全員ができるかというと少し難しいかもしれませんね。


 

 独自のルールも改正しながら、一つ一つ作り上げ、競技そのものを作っている
独自のルールも改正しながら、一つ一つ作り上げ、競技そのものを作っている

小学生の部、女子ヤングの部、女子の部、男子の部、と4つの部門に分かれており、男子の部が6人制でそれ以外は9人制となっています。バレーボールのコートと全く同じサイズを使いますから、あそこに男子9人ですと少し多いということで、男子のみ少なくなっています。


他には、様々なスポーツと同様に“オーバーエイジ枠”というのもありまして、女子ヤングの部には、年齢制限は無くベテランのシニアが加入しても良いルールとなっています。小学生にベテランが入ると有利になりますが、若いチームにベテランが加入しても、そこまで戦略的に優位に立つわけではないですからね」


 


 


――競技の難易度はどれほどのものなのでしょうか?


石川 「小学生からできますので、競技やルール自体は、それほど難しくないと思います。元気のあるシニアの皆さんであれば、もちろん十分に対応可能です。


今私たちの男子の部では60代前半の方もいらっしゃいます。女子の部は、ほとんどがお子さんを持つお母さんですが、こちらにも60歳に近い方はいらっしゃいます。ただここから大幅に年齢を上げるとなると、部門を新設するかルールを設けないと難しいかもしれませんね。


練馬区のキャッチバレーボールの競技人口は、小学生でおよそ各チーム15名程度と考えて450人くらい、男子の部で200人、女子の部で300人くらいですね。


本家のバレーボールはもっと裾野が広いですから、比較的高い年代の方でも活躍されている方は大勢いらっしゃると思います。これを考えれば、練馬区のシニアの皆さんでもキャッチバレーボールをできないことはないと思っています」


 

 競技人口を考えると、区独自のスポーツとして努力され、運営されていると感じます
競技人口を考えると、区独自のスポーツとして努力され、運営されていると感じます

まずは体験会から参加・観戦を!

――石川理事長がこの競技にご興味を持たれたきっかけはなんですか?
石川 「私が協会に携わって20年くらいですが、娘が小4の時に競技を始めたことがきっかけですね。観戦をしているうちに『コーチをしてみませんか?』と誘われ、協会の運営もするようになりました。


組織の話を少ししますと、協会に登録しているチームが小学生で30チームくらい、このチームが、各小学校を起点に、体育館をお借りして練習を行なっています。協会の中で地区は5ブロックに分かれています。桜台・石神井・光が丘・大泉・開進ブロックですね。このブロックを運営する委員も存在し、ブロック大会というものもあります。ただ、このブロックごとの総当たり戦などの大会はありません。あくまでも“練馬区キャッチバレーボール協会”が主催する大会にそれぞれのブロックからエントリーして競いますから、同じ地区ブロック同士のチームが決勝戦で争うこともあります。一回戦強豪チームと当たることもありますが、公平に抽選を行った結果です。
逆に組み合わせがいいと、そこまで強くなくてもたまたま勝ち進むこともあり、3位4位を獲得することも可能なのです。プロのリーグではありませんから、こういう点がプレイヤーにとって面白いのかもしれないですね」


 

 興味があれば、大会の情報等もホームページに掲載されているのでチェック!
興味があれば、大会の情報等もホームページに掲載されているのでチェック!

――観戦するには、そういった大会をホームページでチェックするのが確実のようですね。11月6日に『キャッチバレーボール祭り』があるようですが。
石川 「これは、子供たちが競技しているところに親子でご参加いただき体験していただくお祭り、体験会です。お子さんたちの頑張りやある部分での苦労を見て、体験していただくことが目的ですね。即席の親子対決なんかもありますよ。それ以外には練馬区の事業で『キャッチバレーボール教室』というのもありますね。こちらはきちんと区報にも情報が掲載されます。これらには私ども協会から指導員が必ず同行しますので、その場でキャッチバレーボールを正しく体験することが可能です。
体験会にご参加いただいたお子さんがチームでやってみたい、という相談を受けた場合、お住まいの地域の近くのブロック・チームを紹介します」



――そのようにして、だんだん競技人口を増やしていったのですね。ルールなどは都度変更しているのでしょうか?
石川 「そうですね。当初始まったばかりの時はネットボールと言いましたが、12人制だったんですよ。今から考えるとものすごい過密状態ですね(笑)。
ここから9人制にしたり、ルール改正を行ってきました。ルールの中で皆さんが工夫して、強い戦術を生み出していくのです。安全を第一に改正を行いますが、その中でも3手で返すところを2手にしたり、アタックと見せかけて相手もジャンプさせ、その瞬間にパスを出し、隙をつくなど多彩な戦術も魅力の一つです。それぞれにサインもあります」



――以前見させていただいた時には小さな男の子がいわゆるサーブを行うのですが、ネットを越えずに残念そうな顔をしていました。
石川 「見学いただいたのは育成大会ですね。小学校4年生以下の部門です。小学生でも1部(Aチーム)・2部(Bチーム)・育成とありまして、1部は6年生まで全員、誰でも参加できます。2部は6年生は抜いてもらい、育成は4年生以下で構成してもらっています。大会のエントリー枠もこれに準じています」


 

 2018年練馬区民体育大会小学生の部の様子、区内から26チームが集結!熱戦が繰り広げられました
2018年練馬区民体育大会小学生の部の様子、区内から26チームが集結!熱戦が繰り広げられました
 競合チームともなるとゲーム性・戦略ともかなり本格的!(写真は小学生の部の試合)
競合チームともなるとゲーム性・戦略ともかなり本格的!(写真は小学生の部の試合)

――そうやってキャッチバレーボールに親しんだ小学生は、中学生になっても続けたりしますか?
石川 「いえ、大抵は本家のバレーボールやバスケットボール部に入部しますね。もちろん、こちらが自分のレベルに合わなかったりすると、練馬区キャッチバレーボールの女子ヤングの部や男子の部に入ってくれることもあります。実はキャッチバレーボールは“掴む”というルールがありますから、ルールはバレーボールに近いのですが、体感はむしろバスケットボールに近く、キャッチバレーボールの経験を、バスケットボールで開花させるケースが多いんですよ。中学からバスケットを始めるお子さんよりもボールに慣れている分、全然上達が早いようです」


 

今後は継続と拡大が目標!シニア特別ルールも誕生?!

――石川理事長は、今もやはりスポーツをたくさんされているのでしょうか?
石川 「昔はスキーだなんだとやっていましたが、今はキャッチバレーボール1本ですね。毎週土日に指導しているということもあります。ボランティアで大変な面も確かにありますが、子供を指導するということは、私自身にとっても本当にさまざまな勉強になる部分が多いです。子供の身体能力の差もありますが、競技との向き合い方で大きく成長する様子を何度も見てきましたし、中には居住区の枠を超えて集まるチームもありますから、そういった意味でのチーム形成なども、子供と一緒に成長できますね。練習はおよそ3−4時間程度ですが、自分の体も動かせますし、今は楽しくやっています」


 

 石川理事長はご自身がキャッチバレーボールに携わる魅力の一つを「成長」と語る
石川理事長はご自身がキャッチバレーボールに携わる魅力の一つを「成長」と語る

――キャッチバレーボールを練馬区から隣接区に広げる目標などはありますか?
石川 「もちろん、挑戦はしています。ただ、練馬区内でも私が当初携わった時分よりも10チームも減少しており、少子化や子供さんの環境、塾や習い事で何かと忙しいですから、それらの要因は避けられないのが現状です。これはキャッチバレーボールに限ったなってことではなく、あらゆるスポーツに共通していることだと思います。他にもさまざまなスポーツ(中にはeスポーツと呼ばれるゲームなどの分野も)も台頭してきていますからね」



――シニアに拡大していくのはどうでしょうか?
石川 「もっと競技人口が増えたり、競技される方の年齢が上がっていけば、その可能性は十分にあると思います。今までも何度もルールを見直し、競技として進化させてきましたから。
ただ、シニア向けにするとなると、現在はバレーボールの球をそのまま使用していますが、例えばその材質をゴムに変えるとか、サイズを一回り小さくするなど、安全面でのさらなる工夫は必要でしょうね。協会の運営を行う役員も30名ですが、大概は各学校の監督やコーチを兼任しています。指導者も増やしていかなければいけないので、競技人口の拡大はすぐには難しい課題だと思っています。


 

 今後、私たちシニア層にも広がる可能性の話を聞き、心躍ります
今後、私たちシニア層にも広がる可能性の話を聞き、心躍ります
 石川さんほか運営されている理事の皆さんの願いのとおり、ずっと続いてほしいと思います
石川さんほか運営されている理事の皆さんの願いのとおり、ずっと続いてほしいと思います

今コロナ禍でなかなか思うように大会の開催もできませんし、少子化や共働きのご家庭も多く、運営も含め厳しい状況ではありますが、練馬区にしかない独自のスポーツですし、小さい頃からこういったスポーツを続けることそのものが、別のスポーツでも活躍するきっかけになったりしますから、じっくり続けていきたいと思っています」



――最近では皆が集まれる空き地も少ないですし、そもそも学校以外に集団で過ごす時間もほとんどありません。家族の絆や地域同士のつながりも醸成する可能性があるのが地域スポーツの利点の一つ。これからも注目していきたいと思います。


 

サポーターの取材後記

豆柴
練馬区で生まれたスポーツに興味を覚え、平和台体育館へ見学に、子供たちや保護者が歓声を挙げていた。なかなか年少では、ネットを超えないが、皆一生懸命プレーする姿に心を打たれた。20年余り、競技普及に尽力する石川理事長、熱気にあふれ、身振り手振りでご説明いただいた。休日にボランティア、なかなか出来るものでは無く頭が下がる。
40周年記念誌を拝見、多くの子供たちが経験し巣立ち、中には親子三代で楽しむ方も。小学生で、このようなスポーツを経験すれば、心身ともに成長し、また他のスポーツでも基礎体力がつき優れた選手が産まれるのであろう。あのバレーのエース中田久美さんも経験者とのこと。練馬区では、関係者の努力もあり次第に定着、今や1000名を超え楽しんでいるが、昨今は少子化、スポーツの多様化など世相を反映し、プレー人口はなかなか増えないようだ。ボールを小さくしたり、コートを狭くしたり、ネットを低くしたり更に幅広い年齢層で楽しめるよう、ルールの改正なども検討されている。今後に期待したい。
中高年でチームを作り、汗を流せれば良いし、近隣の中野区、豊島区のチームなどと交流試合が出来ればいいと思う。11月にはお祭りが計画されているので是非見学したい。
たてみーな
最近の小学生は忙しくなり、なかなか友達と濃密な時間を過ごせなくなっているとのお話に、私も孫を見ていて、そのような時代の変化を感じます。そんな中、土日のキャッチバレーボールに参加することで、チームワークの大切さや、友達とより仲良くなれる体験は大変貴重なもの。それだけでなく親も参加できることで、親子の間にコミュニーションが生まれることは、とても良いと思います。
いつの日かこのスポーツが、シニア層にも簡単に楽しめ、気軽に参加できるようになるといいなぁと思います。
それにしても、ボランティアで支えておられる協会スタッフの皆さまのご努力は相当なもの。おかげで、練馬区の小学生は幸せだと思いました。

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