サポーター体験記
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スマホ初心者の頼れる存在、長安透さんに聴く「スマホデビューはどうしましょう?」

スマホ初心者の頼れる存在、長安透さんに聴く「スマホデビューはどうしましょう?」
初心者向け、かつ無料のパソコン・スマホ相談会の現場まで取材に行きました!

今や70歳代での普及率も8割弱と言われるスマートフォン(以下スマホ)。
皆さんはもうお持ちでしょうか?手のひらほどのサイズの機械に驚くほど多くの機能が詰まっていて便利な反面、一昔前の数字のボタンがついた携帯電話に慣れ親しんだ世代には、使い方ひとつ取っても難しいと感じるのでは?
今回はそんなシニア世代にスマホの使い方を教える相談会を取材しました。

練馬区I Tリーダーの会・会長/長安 透さん

※以下、文中敬称略。
※取材はコロナウイルス感染症の予防対策に十分配慮し、行われています。
名称:練馬177地域I Tリーダーの会 
所在地:練馬区石神井町7−17−41
電話:090−3478−8823
URL:http://www.zephyr.dti.ne.jp/~itl177

スマホの可能性を分かりやすく伝えることが、シニア世代を教えるコツです

――シニア世代にI Tを教えようと思ったきっかけはなんですか?長安さんのプロフィールも教えてください。


長安 「ではまず、自己紹介から。
私が初めてパソコンに触れたのはまだインターネットが登場する前の20代前半です(1982年頃)。
徐々に秋葉原にも出入りするような、いわゆる“パソコンオタク”になりまして、知識を独学で習得し、マイクロソフト社公認の資格でもあるマイクロソフト・オフィス・スペシャリスト・マスターを取得します。
そこからは、パソコンの指導者として、就労支援・初心者パソコン教室・個人指導等で活動をしています。
今後進化していく新製品や、機能、携帯運営会社店舗での契約形態など、研鑽していかないとなりませんので、常に情報収集しています。
パソコンやスマホ自体が大好きなので苦にはなりません。
今後、一人でも多くの高齢者のお役に立ちたいと思っています。


それで、こちらが私の所有する携帯端末です。

 ずらりと並んだたくさんのスマホ!長安さんは全て使いこなします
ずらりと並んだたくさんのスマホ!長安さんは全て使いこなします

全て契約しており、実際に使用できます。実はこのくらい無いと教えられないのです。
私は元々、パソコンを教える『練馬区I Tリーダー』という団体に入っています。
(会の成り立ちなどは過去の体験記をご覧ください。
https://snavi-nerima.jp/supporter/detail.php?id=sprepo068
私は創設メンバーでなく、2011年に入会しました。
当時の相談内容はほとんどがパソコンに関するものでして、例えばインターネットとか、メール、それからワードやエクセルなどのソフトに関する相談が多かったです。
時代の流れでスマホがかなり普及しており、現在では80%はスマホ関連の相談に対応しています。
I Tリーダーですから皆さんの先に立たなくてはいけません。
相談する側の皆さんがスマホを持っていて、私たちが持っていないなんてことが実際に一時期ありました。
そこで私が会長になってからは『スマホを所持してない方はリーダーとしての役割はありませんよ』と明言し、リーダー全員にまずスマホを購入してもらいました」



――スマホ化を一気に推進されたのですね!でも全員が長安さんのように多くの機種を所持していませんよね?


長安 「そうですね。流石にここまでは持っていないと思います。
ただ、これを見てください。
こちらがiPhoneで、こちらがdocomoから出ている機種です。auが出しているものもあれば、Androidの端末もあります。画面が全然違いますよね?
これは結局携帯の会社がシニア世代になるべく分かりやすく・簡単に・親切に設計した結果このようになっているのですが、実はものすごく使いにくいです。
各機種によって設定から異なりますので、機種変更すれば本人も戸惑いますし、携帯会社の窓口の方もそれだけ仕事が増えてしまうのです。
ですので、一口にスマホを教える、と言っても実はかなり大変で、これだけ揃えないと教えられないのです。

 同じ機種でも指紋認証や顔認証がありますが、顔認証は今の時期、マスクを外す手間がかかります
同じ機種でも指紋認証や顔認証がありますが、顔認証は今の時期、マスクを外す手間がかかります

シニアの皆さんにコーチする時は、『わぁ!こんなことができるようになるんですね!』とその可能性を実感して、感激してもらうのが一番です。
嫌々教わりにくると絶対にうまくいきません。
ひと世代前のいわゆるガラケー※を持ち込まれてしまうと、正直お手上げです。
各電話会社さんも近々ガラケー市場から撤退することを発表していますから、どのみちスマホを覚えなくてはいけません。


便利な例を一つお見せしましょう。
例えばiPhoneの場合、『上野さんにメール』と語りかけると、スマホの電話帳に複数の上野さんが登録されていると、“どの上野さんですか?”と端末が声で尋ねてくれます。
その後、“メールの件名は何にしますか?”と、これも声で確認してくれます。
また、こちらから送付する文書も声で入力できちゃいます。
入力が完了すると“このメッセージを送信してもよろしいですか?”と聞かれますので、OKするとメールが送れます。もはや指で文字を打つ必要はほとんどありません。
Androidの機種ですと、Googleがシステムに組み込まれていますので、『ラーメンが食べたい』と話しかければ、近くのラーメン屋さんの地図を表示してくれます。
LINEは、今や標準とも言えるアプリなのでぜひ覚えておきたいですね。
他にもシニアの皆さんには拡大鏡や懐中電灯の機能などが便利ですし、いざと言う時に命を守る防災関連のアプリも入れておきたいですね」


※ガラケー…ガラパゴス(化した)携帯の略。現在主流のマルチタッチ式のスマホに対し、従来からあるボタン式の携帯電話を指したり、日本独自の市場で特殊な多機能化が進んだフィーチャーフォンなどの携帯電話のこと。

 長安さんによる実演!スマホに『愛してます』と語ると?『いい人だと思っています』と返事が
長安さんによる実演!スマホに『愛してます』と語ると?『いい人だと思っています』と返事が

プライドは捨てる、わからないことは恥ずかしいことではない

長安 「現在のスマホと呼ばれるものは、2007年頃から販売されています。
今、スマホを使おうとしているシニアの皆さんはスマホがなかった時代を知っていますから、必ず過去のルールからの変更を強いられるわけです。
ところがZ世代※は当たり前のようにスマホを使いこなせます。
若い世代と、これから使うために新しく覚え直す世代との二極化が進んでいるのが現状です。


※Z世代…概ね1990年代半ばから2010年代初頭までに生まれた人の世代のこと。生まれながらにしてデジタル機器に囲まれ、デジタル機器を使いこなせる初の世代。ジェネレーションZとも言われる。


ですから教える時には『わからなければ、何度でも同じことを聞いてください』と必ず言っています。
分かったフリをして先に進むのが一番ダメです。
1回の講習で完全に使いこなせる人なんていませんから、同じ質問を繰り返しても、次の講習でまた一からやり直しても恥ずかしいことは無いのです。
何でもそうですが、繰り返しやれば必ず覚えますので、教える時も焦らずに少しずつを心がけています。
これからスマホを覚えようとするシニアの皆さんに向けて大事なことは2つです。
まず、プライドは捨ててほしいと思います。
そして、少なくともこういったデジタル機器の分野では、今の高齢化社会は、“高齢者に親切な社会ではないんだ”、という現実を受け止めてほしいと思います」

 教わったことを家で覚えていたらラッキー、くらいの感覚で良いのだとか!
教わったことを家で覚えていたらラッキー、くらいの感覚で良いのだとか!

――とはいえ、まだまだ初めてスマホを購入するシニア世代も多いと思います。どんな機種がおすすめでしょうか?


長安 「これはとてもよく聞かれる質問ですね。
結論から言うと、一概にお答えできません。
なぜなら、スマホに対して求める機能や優先順位が人によって異なるからです。
先ほどのガラケーのように通話ができればいい、つまり通話の品質を優先する方も居れば、せっかくなので高性能・高機能な機種をと言う方もいらっしゃるでしょうし、初期費用や毎月の料金をとにかく低く抑えたい、使い易さがイチバン!いやいや、やっぱりデザインが良いものが、、、なんて、これらを全て叶えるスマホはありませんから。


ですから、購入前に十分にご家族や少しでも詳しい友人などと話し合ってから機種を決めるのがベストですね。
ごく近い友人やご家族が教えてくれるなら、その方の機種に合わせるのも1つの方法です。
しかしここで注意が必要です。
私の個人的なサンプル調査では、家族に相談すると90%の確率で喧嘩になると感じています。
私も相談に来られるシニアの皆さんには親切ですが、母親に教える時は容赦ないですからね(笑)。


また、Androidはシニア向けのスマホが各社から発売されていますが、独特の操作画面になっている場合がありますので気をつけてください。
それからスマホを買いに行く時にも注意が必要です。
ご家族が皆、iPhoneを使っているからとそれを買いに行くと、どこの窓口でも勧められるのはほぼシニア向けの、比較的機能の低いスマホです。
で、断れなくて購入してしまいます。
ご家族には『なぜ違う機種を買ってきたのか』なんて言われても、当初は契約の縛りがありますから2年は使わないといけない。
2年経ってようやく機種を変更に行くと、変更した後でこう聞かれるんです。『先生、iPhoneは困った時どこに電話を掛ければいいんでしょうか?』と。

 機種によっては画面に表示されるメニューが固定されているものも(端末はdocomoのもの)
機種によっては画面に表示されるメニューが固定されているものも(端末はdocomoのもの)

docomoの場合はコールセンターがあって、スマホの画面から直接電話で連絡を取ることができますが、iPhoneにはこの機能はそもそも付いていません。
この様に皆さん、さまざまな背景がありますから、どの機種が皆さんにとって一番良いのかはこちらで決められないのです。
まあ、コールセンターに電話したところで今はどこでも『ただいま電話が大変混み合っております・・・』とアナウンスが流れますから、自分で調べた方が早い、なんてこともあるわけですが」

スマホを安心・安全に使いこなすために重要なこと

――契約内容もかなり複雑化していると思うのですが、注意点やポイントを教えてください。


長安 「まず考え方としては、なるべく必要最低限の契約をすることがポイントです。
私がおすすめしているオプション契約は、かけ放題のプラン、それからギガプラン(通信量で制限が少ないもの)ですね。
例えばこのLINEMO(ラインモ)なんかはソフトバンク系列の会社のスマホですが、月額990円で、5分間かけ放題※付きです。
厳密にいえば5分なのに電話をかけ放題と言うのは矛盾しているのですが、5分経つ前に切ってまた掛ければこの料金の中でずっと会話できます。
これに限らず多くのオプションは後からでも変更できますから、いらないな、良くわからないなと感じたらキッパリと断りましょう。
ただここも注意が必要です。
“補償”だけは後から付けることはできませんので、万一落としたりなど、破損が心配な方は忘れずに契約すると良いでしょう。
※5分間かけ放題…最初の1年間だけなど、条件は異なります。


私の相談会で購入前の方がもし居れば、可能な限り一緒について行きます。
石神井界隈の携帯電話の販売窓口の方は、大体私の顔を知っているはずです。
『長安がついて来てるから、オプション契約は無いな…』と感じていると思いますよ(笑)」

 長安さんは、皆さんから見たら息子さんのようですが、頼れる先生です
長安さんは、皆さんから見たら息子さんのようですが、頼れる先生です

――最後にスマホ、もしくはパソコンで初心者に多い失敗談などがあれば教えて下さい。


長安 「失敗談とは少し異なりますが、圧倒的に“パスワード忘れ”でしょうね。
スマホの設定や操作のほとんどは私の方でケアできますが、これだけは答えようがありません。
もちろん、再設定できる場合もありますが“個人を保護する”と言う意味では、大切な情報の入り口・鍵となるパスワードも個人情報と言えます。
ですからこれは、人任せにしてほしくないですね。
シニアの皆さんの場合は、その場で書き留めても、後から『あれ?そもそもどのノートにメモしたんだっけ?』と忘れてしまう本末転倒な展開が非常に多いです。
家の鍵や自転車の鍵は、皆さんとても大事にしています。
パスワードも同じように大切にする意識はぜひ持って欲しいと思います。


既に始まっていますが、スマホはワクチンの接種証明や健康保険証にもなり得ますし、総務省では今後、マイナンバーをスマホに表示させる検討段階に入っています。
このセキュリティ情報は、人任せにせず自分で大切に守ると言う意識を持ってほしいですね。
パスワードの管理がしっかりできていれば、詐欺にあう確率もグンと減るんですよ」

 取材前、相談会にはたくさんの生徒さんが!悩むポイントは皆、一緒なのですね
取材前、相談会にはたくさんの生徒さんが!悩むポイントは皆、一緒なのですね

――いくつかの話を聞いても、やはりスマホは複雑であると感じましたが、長安さんから教わったことを忘れずに、スマホを使いこなし、その分、自分の趣味や余暇を充実させたいな、と思いました。
パスワード、うっかりスマホのケースに書き留めない様にしなくちゃ!

サポーターの取材後記

Mita!
スマホは購入したものの、最初は電話を受けようとしても指が受信拒否ボタンに触れて切れてしまったり、電話を受けることさえまともにできませんでした。
NHK情報番組の視聴や、他の教室にも参加してみましたが、今一つピンときません。
何が分からないかも分からないので質問もできず、かえって混乱をしただけでした。
私が今回の取材を希望したのはこのような状態から抜け出したいとの思いと、どのような形で教えてくださるのかに興味があったからです。
参加されている10名(コロナ禍で密を避けるため、半数に人数制限)は全員生徒と思っていましたが、実は先生と生徒1対1のペアで、生徒のレベルに合わせての対応ができます。
みんなの前で手を挙げて質問をするのは勇気がいりますが、これなら聞きやすいですね。
また、この記事の最初に書いてあるように同じスマホ画面での指導はとても分かりやすいと思いました。
良い教室を見つけた!かもしれません。
たてみーな
相談会を終えて出てきた生徒さんに「相談会ではどんな質問をされたのですか」と伺ってみました。
ある男性は、「スマホで撮った写真をパソコンにとりこむ方法を聞きました」と、別の女性は「アプリってなにとか、わからないことを聞きました」とのお答えが返ってきて「私と同じだなぁ」、と思いました。
私も立派な後期高齢者、ガラケーからスマホに変えることを数年間拒んでいました。
いよいよauのお店から「今の機種は古いので使えなくなるから新機種に変更するように」と再三のメールが来て、「今度はスマホかな、どうしよう」と迷っていた時、ある知人から、「買う時一緒に行ってあげる」と声をかけてもらい、踏ん切りがついたのです。
今や世の中は我々高齢者には想像もつかなかった時代に突入しています。
戦前戦後の物のない時代に生きてきた我々が、今適応を迫られているのは物と情報が溢れる「情報化」という新時代。
スマホは道具です。なんの道具でも使い方のコツがあり、何度もやって失敗してうまくなるもの、使わなければ使えるようになりません。
息子のような長安さんの親しみやすい雰囲気に、「こんなこときいていいのか」という初心者の不安は消えるだろうと思いました。

サポーター紹介

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