サポーター体験記
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ものづくり等を通じて居場所も作る!長年続く風通しの良さが自慢の地域の共同体

ものづくり等を通じて居場所も作る!長年続く風通しの良さが自慢の地域の共同体
住宅街にひっそりと拠点がありますが、
その活動の幅広さには驚かされます

最近よく耳にする“多様性”という言葉。人種や障害の有無だけでなく、個々の考え方においても、認識が広まってきています。
そんな考え方を根幹に、様々な活動をしているのが、今回取材した「庭のちぐさ」。
お話を聞くと、決して難しいことではなく、お互いを認め合うことで色々なプラスの効果を生み出せるようです。

庭のちぐさ 

※以下、文中敬称略。
※取材はコロナウイルス感染症の予防対策に十分配慮し、行われています。
取材ご担当:代表/小林節子さん、広報担当/佐藤友子さん   
所在地:練馬区練馬3−31−2
電話:03-3992-2405

必要以上の役割や上下関係を作らないから、揉め事も少ない?!

――今日は何を作ってらっしゃるのですか?


佐藤 「卵の殻を使ったクリスマスオーナメントです。
生卵の上下に千枚通しなどで穴を開けて中身を出し、そこに季節にあった布を貼って完成させます。
クリスマスをイメージした布や小さなベルのパーツなどは、意外とシーズンに入ってからだと手に入れるのが難しくなります。
みなさんに“作る”という行為を楽しんでもらいたくて、早め早めに手に入れています。


 

 素敵なクリスマスオーナメント、卵の殻でできています!
素敵なクリスマスオーナメント、卵の殻でできています!
 小さな布を、ボンドで丁寧に貼り、手作業で仕上げます
小さな布を、ボンドで丁寧に貼り、手作業で仕上げます

作る楽しさと、それを飾る楽しさで季節を感じて欲しいと思っています。
ちょっとした小物でも季節性、つまり四季を意識するということは認知症の予防にもつながりますし、こういったものが玄関やテーブルに飾ってあると、華やぎますよね」

――素敵な作品です!この会の成り立ちを教えていただけますか?


佐藤 「庭のちぐさは地域に根ざした地域共同体です。
ただ、集まってお茶を飲んで、おしゃべりして、世の中や誰かの悪口を言って、というレベルに留まりたくないんです。
極端に言えば、もっとクリエイティブ(創造的)なことで笑っていたいと思っています。
元は認知症予防対策を学んで実践する、10人で発足したグループでしたが、7〜8年続けているうちに、改めて地域共同体を作りたい、ということで、現在の活動となりました」


 


 

 広報ご担当の佐藤さん、ご本人は謙遜されますが長きにわたり地域の共同体をまとめる要です
広報ご担当の佐藤さん、ご本人は謙遜されますが長きにわたり地域の共同体をまとめる要です

――現在の地域共同体は、どんな活動をされているのでしょうか?


佐藤 「先ほどのように、元々は認知症予防推進委員としての活動が根底にありますが、
私が考える、この地域共同体の大きな役割は、“情報を皆さんに提供する”ということです。
これは、世の中のニュースですとか社会的なものとかではなく、例えばお化粧・お顔のお手入れでしたり、気功やコーラスなど、芸達者なメンバーが大勢いますのと、私が様々なボランティア活動や会合で知り合った方達からアドバイスやインスピレーションを得て、活動に生かしています。
偶然なのか必然なのか、全ての活動がうまい具合につながって、仲間も増えて現在に至ります」


――活動が上手くいく、あるいは20年近くも続けられる秘訣というものはどんなところでしょうか?


佐藤 「一言で言えば、細かな揉め事がないことだと思います。
ボランティア活動の難しい点の一つに“上下関係がない”ということが挙げられると思います。
これは、皆が対等であり、命令や指示ではなくお互いを主張しあうがために、逆に小さなグループへの分裂を繰り返し、大きなグループがどんどん消えていく、、、といった衰退を、別のところで何度も目にしてきました。
庭のちぐさでは、そういうことが一切ないんです。
メンバーにはそれぞれの家庭環境がありますから、ご本人の体調が悪くなったり、ご家族の介護をすることになったりで離脱することはありますが、正式にお辞めになった方は一人もいないと思います」

 20年近く続いているのに、退会メンバーゼロというのは、奇跡的なことではないでしょうか
20年近く続いているのに、退会メンバーゼロというのは、奇跡的なことではないでしょうか

――それはすごいですね!現在の活動メンバーはどのくらいいらっしゃいますか?


佐藤 「概ね13〜15人です。
現在はコロナ禍ですから活動を控えていますが、メンバーへ連絡する際も『コロナに感染してないですか?大丈夫ですか?』って連絡は事実確認みたいで嫌なんですよ。
だから世間話や次のアイデアなどでメールをしてさりげなく返事を待って、返事があれば、『ああ、元気なんだなと(笑)』。
メールがないと直接電話もしちゃいますね。安否確認の意味もありますから。
私だけかもしれませんけど、“新型コロナウイルス感染症”を軸に考えてしまうと、気持ちの面で負けちゃうような気がするんです。
万一かかってしまったらそれは仕方ないのですが、コロナに左右されて生活や気持ちが制限されるのは、ちょっと違うと思っています」

楽しく揉める?!多様性を認め合うことが、長く続く活動の秘訣

――先ほどの継続の秘訣について、もう少し詳しく教えてください。揉め事がないのはなぜなのでしょうか?


 

 サポーターもかつては組織で働いていました、多かれ少なかれ揉め事は起こるはずでは?!
サポーターもかつては組織で働いていました、多かれ少なかれ揉め事は起こるはずでは?!

佐藤 「今の言葉で言えば、“多様性を認めあう”ということがしっかりできているからだと思います。
例えば、活動の中に“旅の会”というものがあります。
自分たちで旅を企画して発表して、次回の旅を決めるのですが、意外と団体旅行を好むメンバーが少なく、自分で自由な時間を過ごしたい!と思うメンバーの方が圧倒的なんです。
別の会議でも、最初は全く別の方向を見て、おのおの好き勝手に喋っています。
でも不思議と最後にはまとまるんです。
この間終わった世界的な大会でもそうですが、自分との違いを認めて、その上で、言いたいことをお互いがストレートにはっきりと発言する。それがきちんとできているからだと思います」


小林 「みんな大人なんですよ。
20年近くやっていると、普段誰が何をしているかなんて、把握してないですし、お互い細かいことには首を突っ込まないです。
会ったときに必要な情報交換をすればそれで十分です。
誰かが強烈なリーダーシップを発揮するのではなく、それぞれがきちんと意見を言って主張して、その上で佐藤さんに最後の判断をお願いすることが多いですね。
一番揉めるとしたら、、、忘年会のお店選びでしょうか?(笑)」



――楽しく揉めるのは、いいことですよね!


佐藤 「そうなんですよ。
私の考え方なのですが、“人と接する時は違いを認められる寛容さが重要”と思っています。
私自身も少し神経質なところがあるんです。今は誰も信じてくれませんけどね(笑)。
だから人を見る時、いい面・悪い面、最低2面は見るようにしています。
いいなって思うところはそのまま受け入れられますよね?悪いところは、自分と合わない部分ですから、最初は当然受け入れられません。
だから、その点は違いや多様性として認識します。
悪い面はある側面から見たら欠点かもしれませんが、自分の中で言葉にすることが大切です。
そしてそれをひっくるめて多様性として受け入れることで、自分自身で納得できるのです。
ちなみに言葉として外に発信する時は絶対に悪い面を言わないようにしています。
その人を客観的に評価するときには、いい面で評価するのです」

 小林さん、なんでも言い合える関係性こそがこの会の良さであると語ります
小林さん、なんでも言い合える関係性こそがこの会の良さであると語ります

小林 「例えばこんなこともありました。
この地域共同体の中で“収入”という言葉に引っかかるメンバーもいます。
ボランティアでやっているんだ、という気持ちが強いと、活動することで売り上げが上がるとか、その結果として収入と表現することに違和感を感じると。
私は変な意図はなくて、活動をして入ってくるものは、シンプルに収入と表現しています。
お互い意見の違いはありますが、それを認め合っています。
年齢的なこともあって、たくさんの語彙が出てこないわけですから、もしかするとメンバー同士、甘えているのかもしれませんけどね(笑)」


佐藤 「ただ、そんな雰囲気の中でも、これだけは確実に言えますが、
代表の小林はじめ、中村・小泉・渡邊・朝倉の4名の、献身的とも言える会への力添えがあるからこそ、私が自由に行動できています。
小林の優しさと真っ直ぐに生きるその姿勢も、至らないことが多い私が“頑張らなきゃ!”と思う原動力になっていることは、間違いありません」

小物作りにも強い想いがある。その豊かな発想の源泉とは

――佐藤さんのその、柔軟な考え方のコツというのはあるのでしょうか?


佐藤 「答えになっているかわかりませんが、私たちの活動中の会話が面白いと、良く言われます。
初めてその場に居る方がハラハラするような、お互いのことも自然にしゃべりますし、それぞれ上手に笑いながら会話しています。
認めて・納得して・時には言い返してます!(笑)。女優じゃないので特に意識しているわけじゃないんですけどね(笑)。
だから私と小林さんで、皆さんの悪口を陰で言うなんてこと、100%ないですからね!」


一堂 「え!そうなの?ホントに?!(笑笑)」



――今日作られている、、、クリスマスのオーナメントですか?可愛らしいですが、このアイデアはどこから来るのでしょうか?


佐藤 「自分で考えることもありますが、ほとんどはボランティアのグループにあちこち参加して、そこからアイデアをいただきます。
もちろん、必ず許可をいただいています。
メンバーがそれぞれ別の活動やサークルにも所属していますけど、それぞれの場所でちゃんと筋を通してアイデアを集めてきています。
別の団体をちゃんと立てるその線引きも、長く続いている秘訣だと思います」

 様々な場所で仕入れた知識をもとに色々なものを作ります(こちらは押し花のマスクケース)
様々な場所で仕入れた知識をもとに色々なものを作ります(こちらは押し花のマスクケース)
 ポインセチアの小物と先ほどの卵を組み合わせれば、クリスマスムード満点!
ポインセチアの小物と先ほどの卵を組み合わせれば、クリスマスムード満点!

――実に色々なものを作っていらっしゃいますね。こちらの和紙の作品もとても綺麗です。


佐藤 「ありがとうございます。
庭のちぐさの方針の一つに“伝統(伝統工芸)を大切にする”というものがあります。
私たちが和紙を使ったところで、大した量ではないですし、和紙業界が豊かになるなんて思っていません。
しかし、たとえ1枚でも、使われなければ和紙の文化が廃れていくことは間違いないです。
豊玉のはつらつセンターでこの会主催のイベントが年に1回開催されています。
私が和紙にこだわりまして、しかもただ作って飾っておしまいではなく、実際に使えるもの、つまり“生活に役立つ小物づくり”をテーマにし、そこに和紙を取り入れました。
最初はほんとに小さな楊枝入れだったのですが、そこからポチ袋や定期(I Cカード)入れなどに広げていってます。
最初の頃作ったものを今でも使っていらっしゃる方も結構多くて、『こんなに使ってダメになっちゃったよ』なんて久しぶりに会う方に言われると、もう嬉しくて、採算度外視でプレゼントしちゃう時もあります」

 こちらは滑り止めマットを収納するケース、ペットボトルや瓶の蓋を開ける時など重宝します
こちらは滑り止めマットを収納するケース、ペットボトルや瓶の蓋を開ける時など重宝します

――実用的な小物から、災害対策用品(簡易トイレやコンロの代わりになるランプなど!)まで、作り出すものの多様性もさることながら、それを生み出し続ける活動にとても刺激を受けました。
一つひとつのお話しも実に面白く、時間があっという間に過ぎます。なんでも言い合えてお互いの個性を認め合える地域共同体の活躍に、今後も注目したいと思います。

サポーターの取材後記

Zen
緊急事態宣言発出中での「庭のちぐさ」様の取材でした。
20年間以上にわたり福祉関係に拘わり続けてこられた事は、当日の取材で良く感じられました。取材時は、皆様が卵の殻のクリスマスオーナメントを、和気あいあいとしながら細かい作業を真剣に根気強く行われていました。
とにかく、皆さん楽しく、笑いあり明るさがあり、小林代表・佐藤広報担当との絆の強さが感じられ、これが「庭のちぐさ」の原点だと強く感心致しました。
また、自然の素材を多く使用したオーナメント作成も考えられているそうで、イベントよりも四季に咲く花や・木々の変化を常に考えて素材集めや作品制作をする事に一番重きを置いているそうです。
皆様に「世界で自分だけの一つのオーナメント」を作って貰い喜んで頂くと同時に「庭のちぐさ」様も、同じく元気を頂いている。
この関係性こそ、活動団体として区民に受け入れられ永く続く基本かと感じました。

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