サポーター体験記
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災害を平常時に体験?!コロナ禍の今こそ大切にしたい、在宅避難について学ぶ

災害を平常時に体験?!コロナ禍の今こそ大切にしたい、在宅避難について学ぶ
防災学習センターの外観、ここに最新かつリアルな体験が用意されています!

様々な災害・震災が発生している昨今、またコロナ禍の今、災害に対する備えも最新化が必要かもしれません。
防災関連の知識はご自身やご家族、大切な方の命を守ることに直結します。
実際の災害を練習することは出来ないですが、体験しなければまた、深く理解することもできません。
この矛盾を解決してくれそうなのが防災学習センターです。
4月に大幅にリニューアルした体験学習施設を取材してきました!

練馬区立防災学習センター

※以下、文中敬称略。
※取材はコロナウイルス感染症の予防対策に十分配慮し、行われています。
取材ご担当:所長/内田 浩二さん、副所長/萩原 洋介さん (練馬区危機管理室区民防災課)

所在地
練馬区光が丘6-4-1
電話
03-5997-6471
URL
https://www.city.nerima.tokyo.jp/shisetsu/bousai/bousaigaku/index.html

ローリングストックのメリットとポイントを知ろう!

――前回シニアナビねりまで取材をさせていただいた約5年半前と比べ、
現在ではコロナ禍など状況が大きく変わっていると思います。
そんな中、こちらのセンターで力を入れているポイントなどありましたら教えてください。

 お話を伺った副所長の萩原さん、最新の防災知識についてお話しくださいました
お話を伺った副所長の萩原さん、最新の防災知識についてお話しくださいました

萩原 「元々、防災の考え方に自助・共助・公助とあります。
私たち危機管理室は災害が起こるたびに発生する課題に対応するべく取り組み、区民の方に自助・共助の部分をお話し・お願いさせてただいています。
防災面における自助活動が以前と比べて大きく変わることはありません。ですが、コロナ禍の状況において今まで以上に意識いただきたいのは“在宅避難”です。
地震の際の避難所のことを練馬区では避難拠点と呼びますが、ここは不特定多数の方が避難してこられます。
新型コロナウイルス感染症のリスクはゼロにはできませんので、その点も踏まえ、在宅避難について丁寧に説明しています」



――在宅避難という言葉は聞き慣れないのですが、どういうものでしょうか?


萩原 「簡単に言えば、被災後に今まで通りご自宅で生活を続ける、という意味です。
もちろん、大きな災害が起これば、ライフラインがストップしますので、それに備えて準備していただいて、その中でいかに生活を続けるかが在宅避難のポイントになります。
練馬区の場合は、在宅避難されている方の水や食料などの備蓄が無くなってしまった場合は、避難拠点で配給を行うなどの対策も行っています」



――私は、妻から東日本大震災の時に備蓄した缶詰を先日渡されて、食べる代わりに「お父さん、新しいのを買ってきて」と言われています。
ローテーションで回していくと良いと聞きますが、詳しく教えてください。

 家族に言われて缶詰を消費する際に、改めて備蓄の大切さを感じました
家族に言われて缶詰を消費する際に、改めて備蓄の大切さを感じました

萩原 「それはローリングストックという備蓄方法です。あらかじめ多めに食料や水を購入しておいていただき、日常生活の中で消費して、消費した分をまた買い足していく流れになります。
使い切った瞬間に災害が発生すると家の中の備蓄がゼロの状態になってしまいますから、例えば週に1回しか買い物に行かないのであれば2週間分購入し、1週間分使ったらまた1週間分を買い足せば、常に最低でも1週間分の備蓄がある状態になります。
普段から消費と買い足しを繰り返せば、賞味期限切れギリギリのものを急いで消費する、なんてこともなくなります」



――10年前は慌てて買ってしまい、とりあえず店にあった缶詰を備蓄してしまいました。それらが妻の好みとは違いまして笑。ローリングストックですと、普段使う前提ですから、家族皆が食べられるものを買う、という利点もありますね。


萩原 「その通りです。災害時に大人は我慢して食べることができますが、お子さんは食べ慣れないものを出されるとなかなか口にしませんから、普段食べ慣れているものを多めに備蓄しておくことは大変重要です。
その一方で、いわゆる非常食と呼ばれる、カンパンなども用意しておくに越したことはありません。
ローリングストックは、普段食べ慣れている野菜や飲み物など要冷蔵のものも含まれますので、基本的に日持ちはしないことが多いためです。非常食も合わせて準備しておけば、より万全に近い対応となります。
ただ、例えば停電した時に、日持ちのしない食品がすぐだめになるか?と言えばそんなこともなくて、できるだけ冷蔵庫のドアの開け閉めをなくしたり、冷凍庫のものを冷蔵スペースの上段に移し保冷剤代わりに使うなどし、足が速い食材からどんどん消費していくやり方はあります。
またクーラーボックスなどがご家庭にあれば、そこに冷凍庫の食材を1つ2つ入れてあげれば、より高い保冷効果を保てます。
小さめなものに移し替えて保存するということも災害時の対応方法の1つです」

 普段から食べ慣れているものを選ぶことも大事なポイント!
普段から食べ慣れているものを選ぶことも大事なポイント!

練馬区における、川の氾濫などの水害リスクの現状を把握する

――いま日本中で水害が多発しています。練馬区のハザードマップを見たことがあるのですが、練馬の水害のリスクはいかがでしょうか。

 練馬区での最近の災害一覧、降水量が200mlを超えたことも
練馬区での最近の災害一覧、降水量が200mlを超えたことも

萩原 「練馬区の場合は、川の氾濫より内水氾濫の危険性が高いです。
規模は大きくないものの毎年のように数件の報告があり、床下浸水やそれに近い被害が出ています。川沿いの地域は、どうしても地形的に水が集まりやすいですから、川が氾濫しなくてもマンホールから水が上がるなどのケースが多いです。
下水道の処理能力は1時間あたり50mlと言われています。
ゲリラ豪雨や、雨が線状降水帯になり、平均して50mlの雨が継続すると、処理しきれなくなり、水が地上に上がってきてしまいます。
また、石神井川は、以前より下流の方から拡幅工事を始めており、現在は石神井清掃事務所(上石神井3丁目)のあたりまで工事が進んでいますので、練馬区の場合は川が溢れるということよりは内水氾濫するというのが現状です」



――それを聞いて安心しました!では、体験コーナーご案内をお願いいたします。


 


 


 

最新の設備で、自宅での災害発生から避難拠点までの避難をリアルに体験!

萩原 「では設備を案内します。
V R(バーチャルリアリティ・仮想現実)ゴーグルをつけての地震の体験から始めます。
この4月に、家の中での地震体験から、地域の活動を学び、避難拠点まで避難する一連の流れをイメージしていただく発災体験ツアーを導入しました。
場面場面での情報ももちろん重要なのですが、実際の災害時により近い状況で流れを体験していただくことでリアルな防災を学んでいただけます」

 萩原さんにガイドをお願いし、発災体験ツアーを体験してみます!
萩原さんにガイドをお願いし、発災体験ツアーを体験してみます!
 V Rのゴーグルを装着!顔を上下左右に動かすと映像も合わせて変化します
V Rのゴーグルを装着!顔を上下左右に動かすと映像も合わせて変化します
 体験している方が見ているものと同じ内容の映像がモニターに映ります
体験している方が見ているものと同じ内容の映像がモニターに映ります

萩原 「体験いただいた後、原寸大の室内模型を使って具体的に説明をします。
天井部分が透明になっていますが、これはわざとこのようにしています。食器棚に、いわゆるつっぱり棒を設置する場合、梁の部分に設置しないと効果がありません。
どうしても梁が見えない・わからない場合は、直接天井につけず、一枚、板を噛ませることで状況を改善できます。梁が無い場所ですと天井をつき抜ける可能性がありますので」

 なるほど、天井が透明なのは梁の重要性を視覚的に確認するためなんですね
なるほど、天井が透明なのは梁の重要性を視覚的に確認するためなんですね
 ドアはスリッパなどで閉まらないようにしておくことも重要
ドアはスリッパなどで閉まらないようにしておくことも重要
 皆さん、自宅のガスメーター位置はご存知ですか?
マイコンメーター(ガスメーター)復旧のシミュレーションも可能です
皆さん、自宅のガスメーター位置はご存知ですか?
マイコンメーター(ガスメーター)復旧のシミュレーションも可能です
 安否確認(災害用伝言ダイヤル171)の訓練ができる機械もあり、実際の音声と同じものが流れます!
安否確認(災害用伝言ダイヤル171)の訓練ができる機械もあり、実際の音声と同じものが流れます!
 続いて地域の安全確認、ここでは瓦礫に挟まれた被災者をジャッキを用い救出する例を紹介
※ただし、クラッシュシンドロームと言って、重たいものに2時間程度挟まれると、その部分の血流が止まり、救出の際、溜まってしまった毒素が急に全身に回ることで、最悪の場合、死に至ることも。
講習ではその説明も十分に行うそうです。
続いて地域の安全確認、ここでは瓦礫に挟まれた被災者をジャッキを用い救出する例を紹介
※ただし、クラッシュシンドロームと言って、重たいものに2時間程度挟まれると、その部分の血流が止まり、救出の際、溜まってしまった毒素が急に全身に回ることで、最悪の場合、死に至ることも。
講習ではその説明も十分に行うそうです。
 続いては、初期消火の訓練です
画面の火が大きくなる前に食い止めます
続いては、初期消火の訓練です
画面の火が大きくなる前に食い止めます
 消火成功!うまく消火できました!!
※時間がかかると「消火剤がなくなりました」の表示が出るそうです
消火成功!うまく消火できました!!
※時間がかかると「消火剤がなくなりました」の表示が出るそうです
 実際の避難所の様子が一部再現されたブースに到着
備蓄されている資器材が展示されています
実際の避難所の様子が一部再現されたブースに到着
備蓄されている資器材が展示されています
 普段持ち歩いているバッグに、揃え、備えておくと安心の防災ポーチの中身(一例)
普段持ち歩いているバッグに、揃え、備えておくと安心の防災ポーチの中身(一例)

 


――詳細なご説明、ありがとうございます。
最後に、私たちはシニア向けのホームページで情報発信しているのですが、シニアのグループなどに向け、防災学習センターがアクションされていることはあるのでしょうか?


萩原 「昨年度はコロナ禍で防災学習センターが閉館した時期もありましたが、状況に合わせ、徐々に出前防災講座などの対応も増えてきました。
例えば地域包括支援センターを通じて地域の皆さんに防災について学んでいただいたり、デイサービスの現場にお呼びいただいたりしています。防災は、いざという時に忘れてしまっていては意味がありませんので、年間プログラムなどに組み込まれて、継続し定期的に呼んでいただくのは大変ありがたいことだと思っています。
防災の話をしたり、元消防署員と一緒に出向き、消火器の取り扱い訓練や応急手当てなどのレクチャーもしています」


この他にも萩原さんからは、避難のための非常持ち出し袋の中身について、通電火災を予防するためのブレーカーO F Fの重要性、災害時に現場を狙う空き巣対策のための戸締り、さらに東京都の指定避難場所(=避難拠点とは役割が異なり、火災から身を守るための一時的な避難場所のこと)などなど、実践的かつ具体的なアドバイスや知識をたくさんご説明いただきました。
練馬区では「防災の手引」を全戸配布しています。コロナ禍のおうち時間を上手に利用して、いま一度、ご自身やご家族で目を通してみるのも良いかもしれません。


 

サポーターの取材後記

ヒロちゃん
「シニアナビねりま」として、防災学習センターへの取材は約5年半振りとなります。有難いことに、地震発生を視覚的に学習するVRコーナーの新設等、更に分かりやすく、面白く(アミューズメント性アップ!)、体験コースが進化していました。丁度、家で災害用に備蓄していた缶詰が賞味期限となり、順に食べていたタイミングでもあり、備蓄食料のローリングストックの考え方もお勧め頂きました。毎年、防災関連の備えを啓蒙・斡旋する活動をポスター等を用いて行っているそうで、食料や水のほかにも家具の転倒防止器具など、大切なものがいろいろあるので利用して欲しい点、また意外と認識されていないトイレの対策、さらにコンビニ・100円ショップ等でも買い揃えられる防災ポーチを持ち歩くのもお勧めとのこと。
災害対策は、まず常日頃の意識が大切なため、防災学習センターへの訪問・見学だけでなく、各地域や施設からセンターに出張をお願いして、学習機会を設けるのも良いと感じました。

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