サポーター体験記
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踊って体操、イキイキ長生き!ヘルシーダンスの魅力に迫る

踊って体操、イキイキ長生き!ヘルシーダンスの魅力に迫る
高橋眞琴先生、素人目に見ても、体幹が
しっかりされていて、座る姿勢も美しいです

「いくつになっても動ける身体でいたい、そして皆さんにも可能な限り、
自分の力で日常生活を送って欲しい」高橋先生は話します。
今からおよそ60年前、家庭に入った地域の女性の運動や活動を後押ししたくて
始めた体操教室。現在では当たり前となったダンスが生涯スポーツという概念や
その重要性に早くから気づき、現在に続く礎を築いた活動をレポートしました。

石神井ヘルシーダンス

※以下、文中敬称略。
※取材はコロナウイルス感染症の予防対策に十分配慮し、行われています。
取材ご担当:指導者/高橋眞琴先生、
リーダー/青木さん、加藤さん、西田さん、西川さん、金さん、
50年近く継続している生徒さん/小出さん、結城さん

所在地(活動会場)
石神井公園区民交流センター
電話
03-3997-6771

およそ60年も続く活動の原点は、女性の活躍を後押ししたい、という想い

――まずは団体の発足経緯を教えてください。


生徒 「石神井ヘルシーダンスは、体操教室から始まりました。
1963年5月からですから、今から58年前ですね。
マコ先生(高橋先生の愛称)が、埼玉県は草加市・松原団地で、
ご婦人方を対象とした体操教室を始めました。
当時は新聞社の方がたくさん取材に来ました」

 苦楽(?!)をともにしたリーダーの皆さん
に、先生は全幅の信頼を寄せています
苦楽(?!)をともにしたリーダーの皆さん
に、先生は全幅の信頼を寄せています

高橋 「私は獨協大学に勤めていまして、ダンスはそこからするようになりました。
石神井に越してきたのは、1968年の5月で53年前です。最初は農協の会場で、
次に上井草の体育館、1982年に練馬区の総合教育センター、現在の順天堂大学のところに
学校の体育館があったんです。
場所は時代時代で転々としますが、農協で始まった時には、レッスン中危ないですから、
生徒を一時お断りしたんですよ。60名を超えてしまって、ずいぶん増えました。
その頃から続いている方は4〜5名ですかね?皆さん古株になりましたね笑」



――メディアからもずいぶんと注目されていたようなのですが、
その当時は、活動が珍しかったのでしょうか?


高橋 「もう珍しいなんてものじゃないです。革新的と言えるものでした。
当時、体操教室は家族に隠れて通う方もいらっしゃいました。
旦那さんが会社に行っているのに、って遠慮して。


ただ私は、大学に勤めながらでしたので、研究テーマとしての側面もあったんです。
学校教育としての体育は、長くても20歳くらいまでやりますが、
その先、例えば家庭に入ると、60年近く何も身体を動かさないわけです。
この人たちをなんとかしなくてはけない、と思いました。
日本体育連盟という学校体育中心の研究団体があり、
そこに社会体育部門が設置されたのがきっかけとなり、文科省の協力もあり、
各地方での講演会に出向き、社会体育が盛んになりました。

 高橋先生の活動の根底には、強い使命感
にも似た思いがあります
高橋先生の活動の根底には、強い使命感
にも似た思いがあります

地域のための運動は、やがて世界を股にかける活動に!

――活動の概要はどのようなものになりますか?


高橋 「活動にはテーマがあります。
“いつまでも、若く美しく、動ける身体に”です。
現在もずっと続けています」


生徒 「先ほどもありましたように、マコ先生は草加市の時代から、
“地域にお住まいの方(ご婦人)のための運動”として活躍をされてきた傍ら、
日本女子体育連盟という教員の皆さんで構成される大きな組織中で、
先ほどの研究テーマに基づいて活動されています。
学校体育のダンスや運動教育だけでなく、地域の方達も育てなければいけない、
という思想のもと、生涯スポーツの部門(当時は学校体育と社会体育の二本立て)で推進する。
その活動・思想の基礎を作ったのが、マコ先生なのです」


高橋 「こちらにいらっしゃるリーダーのみなさんに、ライセンスの付与もしました。
C級から始まってA級まで※。
それで現在は、皆さん、教室を主催していらっしゃるんですよ。
リーダーの皆さんが立派に育ってくださったことは、私の財産です」
※…厳密にはこの上にS級がありますが、取材時お集まりの皆様の中にはS級のかたは不在でした。


生徒 「そういう、生涯スポーツの中で指導していく力を皆が勉強できる、
そのシステムをマコ先生と連盟が作られました。
それとともに、日本だけではなく、国際女子体育連盟が主催する、
まさに今行われている世界的な大会のように4年に1度、世
界の様々な国の女子の体育に携わる指導者が集まる研究大会があります。

 リーダーの皆さんの中には、先生とともに
世界規模での活動に参加している方もいます
リーダーの皆さんの中には、先生とともに
世界規模での活動に参加している方もいます

第一回はバリ島で開催されました。今から32年前くらいでしょうか。
そこに、マコ先生に関係する各地方の指導者30名と石神井教室の34名、
合計64名を引き連れて研究発表に参加しました。
その後はフィンランド、南アフリカ、アメリカ、キューバ、フロリダ、マイアミと、
とにかく世界中について行き、研究やダンスの発表をするのです。
国際的な研究大会ですから、諸外国の様々な大学や地域の方が、
地域の状況の論文発表などをする中で、日本は毎年ダンスも必ずリクエストされ、
マコ先生の振り付けで披露するわけです。
生徒のみんなは必死に覚えて笑。でも現地でも大変好評だったんですよ。
こうした長年にわたる国際的な活動が評価され、
マイアミの時に世界の先生方から表彰されることになったんです」

 高橋先生の輝かしいプロフィールの一部、
世界的に評価されていらっしゃいます
高橋先生の輝かしいプロフィールの一部、
世界的に評価されていらっしゃいます

生徒 「ここまでは先生の、言わば“公の顔“です。
このほかにも、日本リズムムーブメント指導者協会という組織も立ち上げました。
ここでは、”地域で指導者になりたい“という生徒を集めて、例えば『指導者とは?』ですとか、
講義や講座、実技などを教え、育てるという活動もされています。
月に一度、私たちリーダークラスが集合し、様々な知識を勉強しています。
これは現在でも続いています。
この活動は全国の地域に生かされています。
常にマコ先生の背中を見ながら、精進しています」



――世界的に、また社会的にも幅広く活動されている先生のプロフィールは、
インタビューで正確に語れないほど多岐に渡ります。

マコ先生と生徒さんの強い絆は、これからも

――現在の会員の構成などは、どのようになっているのでしょうか?


高橋 「現在はおよそ30名です。平均年齢は78歳ですね。
70代・80代ともに10名くらいで60代が数名、という感じです。
結城さんは今年90歳を迎えています」

 レッスン前の十分なストレッチの様子
レッスン前の十分なストレッチの様子
 レッスンでは会場を広く使い、身体のすべてを使い、
表現を行います
レッスンでは会場を広く使い、身体のすべてを使い、
表現を行います

――それはすごいですね。結城さんは何年前からこちらに来られているのですか?


結城 「教室に来るのが楽しくて楽しくて。先生のお顔をみて、皆とおしゃべりしたり、ステキな音楽を聴きながらうごいて、とにかく楽しくて幸せです。90歳の今まで続けて来ています」


生徒 「最初の頃からですから、もう40年前ですかね。ここのクラブの皆さんは、もう活動は10年単位ですよ。2−3年なんて人はいません笑。40年以上という方も半分以上います。皆さんが長い間やめないで先生のところに行くというのは、逆に言えば先生が常に新しい感覚や知識を私たちに投げかけている、ということで、そこが魅力なのです。
活動が多岐に渡りますので、自前で続けるのは、資金的にも決して楽ではありません。地方の同じような団体では、さまざまな機関からの補助金なども受けているようですが、その反面、自由にできないこともあるようで、ここでは独自で頑張っています」



――先生がクラブの皆さんのために、長く続けられるように
考えていらっしゃることは何かありますか?


高橋 「まず私自身がいくつになっても動ける身体でいたい、と強く思っています。
そして皆さんにも可能な限り、自分の力で日常生活を送って欲しい。
そうなるためには、やはり身体を動かすこと、そしてもう一つ大事なのは心です。
皆と素敵に会話したり、仲間と共に良い年齢を重ねていきたいのです。
個人的には、いつもイライラしていたり、例えば他人の悪口ばかり言うような方は、
体調が良くないし、身体を動かしていない方が多いと思っています」


生徒 「私は先生の指導の魅力は、音楽とリズムにもあると思っています。
いつも先生が話してくださるのですが、これは脳科学の先生もおっしゃっているように、
リズムというのは脳の一部では、常に身体の動きに変換されているのだそうです。
つまり呼吸や身体を動かすことが、耳から聞いたことと少なからず連動していると。
元々リズムを脳や身体で感じるようにできているのですから、
それは気持ちよくなるに決まっていますよね。
そこに音楽が加わることで、楽しさが増し、年齢よりも
ずっとずっと若々しくいられるのだと思います。
ここにいる人のほとんどが70代〜80代なのが、何よりの証明ですよね笑」



――最後にクラブの皆さんにお聞きしますが、ダンスを長く続けることで、
皆さんの生活に何か変化はありましたか?


生徒 「変化とは違うかもしれませんが、私は継続しているということが、
ダンスのお陰の気がします。
仕事以外でこの教室を休んだことは一度もありません」
生徒 「私は先生のおっしゃる“いつまでも動ける身体”
というのを、この歳になって、改めて実感しています。
今どこも痛くないですし、少し前はスキーもやっていました。
それはやはり、ここで先生が頭のてっぺんから爪先までとにかく
全ての筋肉や関節を動かす運動を指導してくださるからだと思っています」


高橋 「そう言ってくれると嬉しいですね。身体と心に加えて、
私はクリアな頭を持っていて欲しいと思います。
歳を取ると誰もが記憶力の低下などは避けられません。
でもダンスをすることで、振り付けや、それに合わせて自分の身体を思うように動かす、
ということは、動きを覚えないといけません。
そして指導者のみなさんは、それを今度はまた生徒に伝えないといけません。
そういう理解力や注意力なども、自然と鍛えられているのかもしれませんね」

 レッスンでは、身体を動かすだけでなく、
その意味やメッセージを丁寧に伝えます
レッスンでは、身体を動かすだけでなく、
その意味やメッセージを丁寧に伝えます

――先生と、先生の教えを受けた指導者のみなさんの楽しそうな様子から、
教室の雰囲気だけでなく、先生との人間関係の良さも垣間見る取材となりました。
かっこよく踊る姿は素直に素敵だな、と思えます。

サポーターの取材後記

2番さ~ん
世はコロナまん延防止措置の中、そして外は梅雨空本番にも関わらず、20余名の方々が、開始の10時を待たずに、一刻も早く今か今かと先生の発声を待つ姿に、まず目を見張りました。先生も生徒さんも同じ年齢で教室の空気はすでに一つになり、先生の元気一杯の声の下、軽快な音楽が鳴り、そのリズムに乗って、年齢を感じさせない躍動感溢れたヘルシーダンスが始まりました。約10分間はあっという間で、給水休憩は和気あいあいとし、次のプログラムに移る足取りはとても軽やかでした。次はちょっと強め、身体全体を使い足を高く上げ、拳を突き上げ息も切らさず踊る姿は、青年女子そのもの。これぞヘルシーダンス、元気がどんどん追いかけてくるようです。「ねりま体操フェスティバル」へ参加するためのダンスの練習では、先生はじめ皆が一体となり、自信と誇りに満ち溢れていました。演じている皆さん以上に、観ている私たちも楽しく、元気をもらいました。このような教室が練馬で開かれていること、区の誇りであると思います。
たてみーな
とにかく、圧倒的に高齢者が多いことに驚きました。ほかの体操教室と違うところは「音楽」の存在です。お部屋にはストレッチの間も心地よいクラシックの器楽曲が流れています。音楽やリズムは脳のある部分にとても効果的に作用するという研究結果もあるそうですし、認知機能の向上を促す動きは随所にちりばめられており、知らず知らずのうちに頭を使っていることがみてとれます。
そしてもう一つ、重要なポイントは「高橋真琴先生」という指導者の存在です。現在84才になられますが、姿勢も美しく発声も明晰で、ストレッチでは、「この動きは今どの部位を鍛えているか」と説明しながらなされます。それもそのはず、先生は大学で体育を学ばれた後、学校を卒業した人達が全く体操をしなくなる現状を見て、“学齢期を終えた人にも体操が必要”と痛感し、社会人体操の分野を開拓されてきた方なのです。先生の生涯スポーツへの取り組みは、本文にあるとおり。またこの会は、年に一度の『ねりま体操フェスティバル』にも長年参加、高評価を受けてきました。
最後に先生から。「いくつになっても動ける身体を保つこと。その為には外に出ましょう、人と話しましょう!」
皆さんの動きを拝見し、楽しそうなこと、伸びやかなことに感動を覚えました。いつでも誰でも参加できるこのサークル、絶対おすすめです。

サポーター紹介

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