サポーター体験記
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練馬区の遊園地が舞台のホラー、『映画 としまえん』。 それを生み出した監督・東映東京撮影所に迫る!

練馬区の遊園地が舞台のホラー、『映画 としまえん』。 それを生み出した監督・東映東京撮影所に迫る!
『映画 としまえん』のポスター前で
監督・プロデューサーと!貴重なショット
東大泉にある、東日本最大規模の撮影所、東映東京撮影所。
役者や女優さんが衣装のまま出歩いたり、
近所の喫茶店で休憩したのはもうずいぶん昔の話。
最近では私たちの練馬区にある憩いの場所「としまえん」がホラー映画に?!
普段なかなか見る事の出来ない撮影所内、また『映画 としまえん』の制作秘話に、
シニアナビねりまのサポーターが迫ります。

東映株式会社 東京撮影所

スタジオ営業部長 阪井一哉さん
第二製作部 演出 高橋 浩さん(『映画 としまえん』監督)
東映ビデオ株式会社 事業開発部ライヴ開発室 プロデューサー 菅谷 英智さん(『映画 としまえん』プロデューサー)

所在地
178-8666 東京都練馬区東大泉2-34-5
URL
https://www.toei.co.jp/studio/tokyo/

映画やTVの撮影の秘密・工夫に溢れた撮影所内を、特別にご案内!

撮影所の見学の前に、まずは「映画ができるまで」のビデオを鑑賞します。
おおよその流れを把握することで、撮影所内の見学内容がよりリアルに想像できるようになるとか。

 スタジオ営業部長の阪井さん
映画製作のプロの経験を語ります
スタジオ営業部長の阪井さん
映画製作のプロの経験を語ります

<東映東京撮影所の概要を、少しご紹介します!>
・東映東京撮影所は、映像作品の撮影とポストプロダクション機能を備えた
 日本最大級の撮影所です。
・昭和26年設立、数々の名作を世に送り出しており、今でも年間で劇場用映画約40本、
 TVドラマ150本、CM150本を制作しています。
・所内に全部で16のステージを持っており、9つをヒーローものや刑事ドラマなど
 TV作品に使用。残りの7つのうち2つをCM、5つを映画で使用しています。
・東映の三角マークは太泉映画、東横映画、東京映画配給社の3つの会社の合併を意味します。
・一番古いセットは70年クラス!!
 しかし、昔のセットはかなり頑丈に作られており、震災にもびくともしなかったとか。

<知っておきたい、映画用語>
・台本・・・映画やドラマの設計図。この内容に沿って映像作品が作られる。
・ラインプロデューサー・・・スタッフ編成や予算組を担当。撮影現場の責任者。
・監督・・・演出の指揮が主な役割。準備から仕上げまで映画の内容に関わる全てに決定権を持つ。
・助監督・・・監督の指示を各部署に伝達する監督の補佐役。
・ロケハン・・・ロケーションハンティングの略。台本の設定に合った撮影場所を探すことを指す。
・製作部・・・ロケハンのほか、食事の手配や車両の手配、宿泊の手配なども担当!
・美術デザイナー・・・監督と相談しセットをデザイン。図面を作成。
・大道具・・・図面を基にセットを制作。家、建物、橋など「動かないもの」を担当する。
 他、撮影部、照明部、録音部、編集部、などなど!

いよいよ撮影所内の見学に!広い撮影所内は秘密や工夫がいっぱい!

坂井さん自らのご案内で、撮影所内をちょっとだけ見学します。

★第5スタジオ★

 回廊を組んで、その上から照明部が照明を当てて撮影します
回廊を組んで、その上から照明部が照明を当てて撮影します
 足元には木(もく)レンガ、直接釘が打てるそう
足元には木(もく)レンガ、直接釘が打てるそう

スタジオ内はかなり静かな印象ですが、それでも構造上、外の音が入ります。
そのため「本番灯」と呼ばれるランプがそこここに設置されており、
本番中はこれが光りながらくるくると回転。
暗黙の了解で、スタジオの前を通る人も車も止まり静粛にするルールです。

 これが本番灯、、、点灯する瞬間を見てみたい!
これが本番灯、、、点灯する瞬間を見てみたい!

ターレット(トラック)を発見!築地市場でしか見たことがありません。
これは、大道具を運んだり、入り組んだ撮影所内では使い勝手が良いそう。
スタッフの方は一通り運転できるとか。

 ハンドルに見えますが実はアクセル(ブレーキにも見えますね)
ハンドルに見えますが実はアクセル(ブレーキにも見えますね)

★大森坂★
撮影所内に小さな坂道があります。
昔の映画作品に数多く登場する、通称「大森坂」。

わずかに曲がっているのは、「編集点」を作るため。
次のシーンへの切り替えポイントを作るには、人物や乗り物が
見えなくなるタイミングが必要でまっすぐだとこれが出来ないのだとか。

なお名前の由来は、昔の製作部長が、ご自身が携わる作品の予算で
この道をきれいに舗装したから、、、とのことです。

 大森坂は、この欄干(らんかん)が特徴!映画で探してみよう
大森坂は、この欄干(らんかん)が特徴!映画で探してみよう

★路地★
なんでもない路地裏ですが、現在では街中での撮影が様々な理由で難しいことが多く、
連続ドラマなどで需要が結構あるそうです。

 ゴミ箱なども「撮影小道具」としてそのまま使います
ゴミ箱なども「撮影小道具」としてそのまま使います

★スタジオ21★
しばしば、スタジオ入口の看板を取り替えて、警察署(〇〇署)として登場します。
建物の配置上、映像を撮るカメラ位置が固定されるため、
どうしても同じような体裁での登場となるそうです。
覚えておくと、様々な作品で楽しみができるかも?!

 「〇〇警察署」などの看板はパカッとかぶせるそう
「〇〇警察署」などの看板はパカッとかぶせるそう

★続いてD棟&B棟(倉庫)★
やや狭くて急な階段を上ると、ドアノブやセットに使う、ふすまや障子がいっぱい!
さながらホームセンターの様です。
東映では、京都は時代劇、東京は現代劇というおおまかな分担があるようで、
あらかた京都に揃っているのですが、東京で時代劇をやることもあり保存しています。

このような調度品や家具、またその金具などの部品は、モノによっては
作り手さんも減っており、処分してしまうと二度と手に入らないものもあるとか。
そしてここは美術を請け負った歴代の映画作品の名札が掲げられている場所ですね!
上の方は東映さんのもの、下に行くと他社さんのものも増えます。
時代とともに様々な作品を作るようになった歴史が、この場所にも息吹いています。

 まさに映画の歴史そのものの場所、これは貴重です
まさに映画の歴史そのものの場所、これは貴重です

『映画 としまえん』の製作秘話を、なんと監督とプロデューサーが語ってくださいました!

――『映画 としまえん』私も観ました。一番の観どころ、
工夫された点などあれば教えてください。

高橋 「これは苦労した点になりますが、劇中にミラーハウスのシーンが出てきます。
あそこが、一番手間がかかりました。

結局、ミラーハウスですから、どこに隠れても撮影スタッフが鏡に映りこんでしまうんですね。
それをどうにかして回避しないといけなくて、事前に何度もロケハンを行い、
僕自身も何回も確認しました。

中を歩きまわって歩幅で計り、ミラーハウスの詳細の見取り図を作りました。
図面を基に雑貨屋で小さな鏡をたくさん購入して、シミュレーションを行ったんです。
その結果、“真正面から撮影しなければ映り込まないこと”を発見しました。

恐らく、既存施設に手を加えることなく、ミラーハウスで撮影したのは
世界初、くらいに珍しいことじゃないかなと思っています。
CG処理なども極力行わず、編集で映り込みを回避しています」


――『映画 としまえん』の製作は、8日間と短いようでしたが、ご苦労はありましたか?
また、練馬区をアピールしよう!などという意図はあったのでしょうか?

菅谷 「そうですね。まず予算が潤沢にある状況ではなかったものですから、その点には気を遣いました。

例えば通常、映画ですとパンフレットを作ります。
これもどのくらいの予算で、どのクオリティのものを作って、どのくらい売れて、
などの原価を綿密な計算が必要なのですが、「としまえん」の場合
この映画ではもっと別にやるべきことがある”と判断し、
パンフレットはあえて作らない選択をしたんです」

 監督をプロモーションや興行の視点で
支える、菅谷プロデューサー
監督をプロモーションや興行の視点で
支える、菅谷プロデューサー

高橋 「区のアピールは、特に意識しませんでした。
「としまえん」というタイトル自体が練馬区にある施設の名称ですから、
自然とアピールになっちゃうのかな?(笑)

あ、でも印象深いのは、撮影に協力していただいた場所などに完成後、
ポスターを持って行ったり挨拶に出向くと、
学校の先生方や生徒の皆さんが本当に喜んでくれるんです。
その意味では、まさに練馬に住んでいる皆さんの誇らしさや、
大げさに言えば地域愛などには、少なからず貢献できたのではないかと考えています」

菅谷 「こちらの映画は、韓国の国際映画祭に出品するのですが(7/4~)、
現地韓国のバイヤーたちだけでなく、ヨーロッパの方も
『これは実在する施設なのか?東京のどこにあるんだ?』など、
多くの感心を持っていただいたことで、
練馬区の名前が海を越えて発信できたとも考えています」


――映画には象徴的にスマホを使う場面が多用されますが、スマホを使ったのは
どんな意図があるんですか?

菅谷 「監督と脚本を練るなかで、この作品のターゲットは誰なんだろうと考えました。
結果的には小学校の高学年~高校1年生くらいにしようとなり、
比較的若い世代にドキドキ・ハラハラしてもらいたいと思いました。

彼らにとって、今一番大事なものってなんだろう?と考えた時、スマホに辿りついたんですよ。

誰にも見られたくないし、寝るときも、朝起きて一番最初に触るのもきっとスマホです。
この世代を象徴するアイテムの一つだと認識しています。
それでキーアイテムか、あるいは劇中に登場させられないか?
と相談したところ、高橋監督が見事に反映してくれました」

 高橋監督の感性や世界観を聞くと、
また「としまえん」の捉え方が変わって来る
高橋監督の感性や世界観を聞くと、
また「としまえん」の捉え方が変わって来る

高橋 「スマホを使って“怖すぎない怖さ”の表現が作品のポイントです。

というのは、怖くしすぎるとターゲット層が観てくれなくなってしまうんです。
狙ったのは痛さや血が出るなど、凄惨な恐怖ではなく、
ゾッとするような、あれ?よく考えるとこれ私たちと同じじゃないの?
というような、日常に潜む恐怖といいますか。
このバランスが難しかったですね。

みなさんは“キャビンフィーバー”という言葉はご存知ですか?

簡単に言うと、ひとところに閉じ込められて、逃げ場がなくなって
追い詰められてパニックになる。そんな状態のことです。

そういう状況をこのとしまえんでやってみたい、という気持ちはありました。
その中で主人公たちがどのように状況を理解し、危機を乗り越えるのか。
そういう物語を作りたかったのです」


・・・限られた条件の中で、狙ったターゲットに対し、絶妙な“怖さ”を届ける。
観客の期待感とギャップを計算しつつも、エンターテインメントとして面白さを追求する。

こういったものをバランス良く設計し、一つの作品に仕上げる奥深さに
改めて感心しました。
膨大な思考の時間と、綿密な作業の積み重ねが、ここ練馬区の東映東京撮影所で
日々作られていることに誇らしさを感じる取材でした。

今年の10月には、『映画 としまえん』がパッケージ化され、配信もスタートするとのこと。
練馬区を愛するシニアの皆さんは、ぜひお子さんやお孫さんとご一緒に楽しんでください!

サポーターの取材後記

なみ
この映画の狙いとするところを、直接高橋監督から「追い詰められた人間の行動」を撮ってみたかったとお聞きでき感激しました。映画のエキストラ、舞台を練馬区内で準備され、特に資金面でご苦労があった様子。私事ですが、私も以前、映画製作の寄付を多くの仲間と協力したことがありました。題名は「レオニ―」。天才芸術家「イサム・ノグチ」の母、レオニー・ギルモアの物語で、寄付者の多くと完成した映画に名前が出た喜びは忘れることができません。
アニメ、映画の製作に練馬に住む寄付者の協力による、作品ができないものかと思います。
ynishi
撮影所を見学させてもらい、セットの仕組みやロケの拘りなどがわかり、今後、ドラマを見る際の楽しみが増えた感じである。
現在、朝ドラで後半の舞台の中心になっている「東洋動画」のモデルも「東映動画」という事で、東映のアニメやドラマが数多く生まれた練馬区という事で、より親近感を感じた。今後も、映画を通して練馬区をアピールできればと思う。
そして、練馬区の遊園地と言えば「としまえん」と「東映」。これらがミックスし、遊園地にある色々な乗り物等の施設も登場し、映画を見終わってからでも、思わず「としまえん」に行きたくなる様なアピールを感じた。
mick
大泉の「東映東京撮影所」は、練馬の誇りだ!と、今回の訪問、インタビューで確信できた。実は、僕は20年ほど前、阿部寛さんとこのスタジオで、地球防衛軍がUFOを撃退するというシナリオのICT系のCMを撮影した。爆破シーンなどもある撮影が、ここ大泉でスムーズに進み制作は大成功だった。今回は、まずあらためて撮影所幹部のみなさんに、施設全体の事、各スタジオの歴史、制作エピソードを教えてもらった。さらに「『映画 としまえん』」の監督さん、プロデューサーさんに、制作秘話や狙いも確認することができた。昭和の映画量産の時代は昔だが、ここのスタジオ・スタッフの底力は、今もとてつもなく凄い。撮影所は、子供向け特撮番組(仮面ライダージオウ、リュウソウジャー)、社会派TVドラマ作品(相棒など)の制作拠点でもある。人気番組が、練馬で次々創られていることに、改めて誇りを感じる取材だった。

サポーター紹介