サポーター体験記
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本を貸すだけじゃない、図書館の仕事 知られざる意外な機能

本を貸すだけじゃない、図書館の仕事 知られざる意外な機能
ブルーのタイルが印象的な練馬図書館
その機能や賢い利用法とは?
皆さんはどの位の頻度で図書館を利用しますか?
学生時代、社会人時代、子育て時、そして今は・・・?
あらゆる情報が身近になり、デジタルツールも全盛の今、「本」に向き合う時間は
シニアの皆さんも意外と減っているのではないでしょうか。
改めて、私たちにも身近な図書館の秘密に迫ります。

練馬区立練馬図書館

館長/倉田 広さん、副館長/佐藤 有里さん、主任図書館専門員/新開 優子さん
※以下、文中敬称略。

所在地
176-0012 練馬区豊玉北6-8-1(生涯学習センター併設)
電話
03-3992-1580
URL
https://www.lib.nerima.tokyo.jp/institution/detail/4

練馬区内に12の図書館!それらの連携はもちろん、全国の図書館から欲しい本を探します

練馬区内に12の図書館!それらの連携はもちろん、全国の図書館から欲しい本を探します 館長の倉田さん、なんと別のシニアナビの
取材で何度かお会いしていました!
館長の倉田さん、なんと別のシニアナビの
取材で何度かお会いしていました!

倉田 「今、練馬区には区立図書館は12館あります。

この図書館は、練馬区の図書館第一号として開館しました。
開館は昭和37年の8月ですので、もう50年以上前のことになりますね。

この建物は、一度改築されているのですが、
最初の建物はちょうどこの南側、今は広場になっている場所に建っていました。
昭和60年ころに、当時隣に建っていました練馬公民館と一つの建物として改築することになり、
現在の形になりました」


――12の図書館での連携や、図書館同士での取り組みなどあれば、教えて下さい。

倉田 「現在練馬区では、光が丘にある図書館が中心的な機能を有しています。

自治体によっては、中央館が一番大きく、それ以外の地域館は
比較的小さい規模のところも多いと聞いていますが、練馬はそこまで大きさに差はありません。

図書館の基本的な仕組みを説明しますと、例えば皆さんが、本を予約します。
色々な館が同じ本を持っていますので、皆さんのお手元に来る本は特定の館のものではないのです。
少しでも早く届くように、図書館が連携して手配しています」


――練馬図書館の特徴などはあるものなのでしょうか?

 副館長の佐藤さん 図書館勤務だけに
とある分野にとてもお詳しい!
副館長の佐藤さん 図書館勤務だけに
とある分野にとてもお詳しい!

佐藤 「区内12の図書館で、実は保存するジャンルの割り当てが決められています。

練馬図書館は一番古い、ということもあり、区の昔の資料なども保存されています。
“日本十進分類法”という、図書館分類の方法の中の2類、歴史に関する部門を担っています。

ここには郷土資料にはじまり、歴史に関するもの全般、保管されています。

ちなみに皆さんにお使い頂いている、館の一階部分は、開架の書庫ですので自由に入れるのですが、
地下に私どもの事務所や閉架書庫※がありまして、
そこにも多くの資料や図書が保存されているんですよ」
※閉架書庫(へいかしょこ)・・・書架(本)が外部閲覧者に公開されていない書庫のこと


――そちらは一般には公開されていないのですか?

佐藤 「残念ながら、一般の方が自由に出入りはできない書庫になっています。
ただ、事業の一環として、図書館による“検索講座”を予定しています。
どうやって本を探しているか?をご案内する事業でして、
そういった際には、地下の閉架書庫も特別に公開することがあります」


――月並みなのですが、蔵書数はどの位あるものなのでしょうか?

倉田 「練馬区の教育要覧というものがありまして、こちらに教育に関する統計が出ています。
この中に“図書館”という項目があるのですが、こちらの数字を見ていただきますとわかります。

一般の図書が約10万7000冊、
青少年向けが約3000冊、
児童書の蔵書が約4万冊ですので、図書資料は全部でおおよそ15万冊となります。

それ以外に雑誌、これはバックナンバーも含みますが約3000冊、
それからCDなど視聴覚関係も11000程あります。
そして点字図書も1000冊程あります」


――およそ17万冊(アイテム)ということですね。すごいですね。
それを日常的に入れ替えたり、廃棄したりしている、ということですね。

 専門員の新開さん。練馬の前には光が丘、
平和台、大泉でと、区立図書館で長く働かれています
専門員の新開さん。練馬の前には光が丘、
平和台、大泉でと、区立図書館で長く働かれています

新開 「雑誌や新聞など、定期的に刊行されるものについては、保存年数をきめています。

練馬区全体では図書館同士で連携をしていますので、全体で保管する、という考え方です。
先ほどのお話しにあるように、分類ごとにそれぞれの館で分担して保管し、
どの図書館からもご予約いただけます。
つまり、区内のどの図書館でも同じように利用していただけるということです」

運営に欠かせない、ボランティアの存在と「布で出来た絵本」

――練馬図書館は何人くらいのスタッフさんで運営しているのでしょうか?
また、ボランティアさんも運営に携わっていると聞いたことがあるのですが。

倉田 「非常勤の図書館専門員と私ども事務職員を合わせ35名ですね。
夜間に関しては、委託業者に運営をお願いしています。

ボランティアの方には事業のサポートをお願いしています。
ブックスタートや、読み聞かせの事業などで関わってくださってます。
本の整理や案内などはしていません。

ほかに面白いものとしては“布の絵本”でしょうか。
こちらを作ってくださるボランテイアグループもあります」


――何の絵本ですか?布ですか?紙ではなく?

佐藤 「はい、そうです。区立図書館全てにボランティアサークルの皆さんがいらっしゃいまして、
ミシンや手縫いで本を作ります。

例えば小さな赤ちゃんでも安心して触っていただけたり、
安全に配慮して一部の部品が取れるようにできていますので、遊べますし
視覚に障害がある方でも触って楽しむことが可能です。
年に一度、新作の発表会を会議室などで開催し、
ボランティア活動に興味のある皆さんにさらに呼びかける活動もしています」

 こちらが布の絵本 かわいいネズミが
立体で、ページから引き出すことができます!
こちらが布の絵本 かわいいネズミが
立体で、ページから引き出すことができます!
 オリジナルストーリーのねりま大根、
ちゃんと本物同様に長いです(笑)
オリジナルストーリーのねりま大根、
ちゃんと本物同様に長いです(笑)
 おなじみ練馬だいこんスパゲティもこのとおり!
毛糸を使って麺を表現しています
おなじみ練馬だいこんスパゲティもこのとおり!
毛糸を使って麺を表現しています

様々な取り組みと挑戦、図書館のこれからとは?

――改修工事の予定などはあるのでしょうか?

倉田 「正直、建物が老朽化してきていまして、雨漏りなども多いです。
ご存知の通り、本は水や湿気を大変嫌います。
区民の皆さんのためにも、大規模改修の計画は進行中ですが、
具体的な時期などは今後決まり次第お示しする予定です。

また、実はこの建物自体、様々な建築関連の賞を受賞するなど、評価されています。
例えば、昭和61年度『東京建築賞/優秀賞』や、同じく
『日本建築士事務所協会全国大会/会長賞』や、『東京都都市計画局長賞』などです。

特徴的な外壁の青いタイルは、デザイン面で優れている点もあります。
感じ方は様々ですが、地域のシンボル的な役割も担っています。
それもあって、予算の関係だけでなく、大規模改修を行うタイミングや内容を、
慎重に進める必要性もあるわけです」


――私たちの若い頃は、図書館と言いますと、ご年配の本好きの男性がたくさん利用している
というイメージなのですが、最近の傾向などはありますか?

倉田 「時間帯や曜日によって差があるとは思いますが、
やはり比較的時間に余裕のある方で興味がある方は長い時間ご利用されていることが多いですね。
ただ、学校に通っているお子さんも、学校が終わったあとに来られたり、
土日は親子で来られたり、と以前よりは様々な利用のされかたになっていると思います。

また検索目的だけでなく、CDの試聴やパソコンを利用した調べものが出来るコーナー、
社会人優先のスペースなどもありますので、
より使いやすい環境が広がっていることも、関連しているかもしれませんね」


――図書館だけでなく、昨今、活字離れが顕著だと思います。
“図書館に来ていただく”工夫などはされていますか?

佐藤 「図書館の目指すところは、究極的には『資料の提供』なのですが、
それだけでは来館につながりませんし、ご指摘のとおり活字離れなどもあり
利用者は減少していきます。
今まで以上に地域と連携していこう、という様々な動きも考えています。

例えば、地域の学校や高齢者の施設に私たち図書館側から出向いて、
本の紹介やおはなし会をしています。
将来的には電子書籍などの導入も検討をしないといけない状況ではあります」

 図書館は「借りに行く」イメージでしたが、
思った以上に情報発信にも取り組まれています
図書館は「借りに行く」イメージでしたが、
思った以上に情報発信にも取り組まれています

「ご自身で目的をもってお越し頂けますと、どうしても選ぶ本が決まってしまいますので、
私どもとしましては、“今月は環境月間だから、環境に関係した本”など、
この場所で新たな発見や接点を生み出すような提案は、現在も力を入れて行っています。

他にも今月※は太宰治の生誕110周年ということで、
6月は全国の図書館において、各都道府県のどこかでは必ず“太宰治関連の展示をしよう”という
地域を超えた連携なども積極的に行っています。
※取材は6月

これはそもそも、図書館という機能、位置づけがそういうものでして、
練馬区の公立図書館という側面とは別に、
区や県などを飛び越えて、全国の様々な図書館から資料をお借りしたり、
情報を得たりしています。

ですので、先ほどの練馬区の12館で解決しない、探せない資料などは、
近隣自治体や都立・国会図書館だけでなく、小さな専門図書館などにも問い合わせて
連携・協力して対応しています」

 全国の図書館で連携した企画に取り組んで
いるとは!毎月覗いてみよう
全国の図書館で連携した企画に取り組んで
いるとは!毎月覗いてみよう

図書館の意外な実力?!調べものやアドバイス、まるでコンシェルジュ

――地域を超えた図書館の連携、そのような役割は知りませんでした。
逆に全国から問い合わせがあるようなことは、どのようなものなのでしょうか?

新開 「例えば、光が丘地域にはかつてグラントハイツがありました。


“できた当時の関連資料を調べている”などのお問合せは、
それこそ北海道から九州まで、全国から来たこともあり、その都度
関連資料を貸し出ししたり、提供したりしています。

ですので、練馬区で起きたことは、どんな小さなものでも大事な資料です。
光が丘地域で発行された区民誌やミニコミ誌などといったものも保存しています。

本の貸し借りをするだけが図書館の役割ではなく
日々の生活において、例えば病気のことや、ちょっと気になる事などを
お越しいただいてお話いただくことで、
資料の検索や取り寄せなどで対応できることも多いのです。

その意味でも講座へのご参加を含め、様々な形で図書館を利用して頂ければ
嬉しいですね」


――身近な相談が来ることも、あるんでしょうか?

新開 「もちろんですよ。

 生活の疑問に答えてくれる機能が
あったとは!!これは頼りになります
生活の疑問に答えてくれる機能が
あったとは!!これは頼りになります

相続のことから、ビールの飲みごろの温度は何度か?ですとか。
本になっていないものや、文献が残っていないと、すぐに調べることが難しいので
時間がかかってしまうこともありますけど。

最近ですと、機関車のブレーキに関することとか、
コーヒーのミルで音楽が出るものを本で読んだことがあるんだけど、実際にあるのか?とか。
この場合は、大手コーヒーメーカーさんはじめ思いつく限り、
コーヒーに詳しいところを探し、電話して聞いたりもしました」


――専門図書館でない分、カバー範囲が広いと言いますか。
森羅万象、全ての事を知っていなくてはいけないことになりますね。

新開 「お気軽に、図書館を活用していただきたいです。

“こんなこと聞いてもいいのかな?”という些細なことまで、遠慮せずにお問い合わせください。
もちろん、全てのご要望にお応えできるとは限らないんですが、
必ず何かしら、(知識やヒントなど)お持ち帰りいただけるように心がけています。

あ、ただ1回の質問は1つにしてください」

レファレンスとリクエスト、区民と密接に関わる図書館のお仕事

佐藤 「レファレンス(相談)機能は全ての図書館で持っている役割です。

ここもレファレンスにかなり力を入れています。
本を探したり、質問に答えるのと同時に、“探し方”を一緒に考えることも多いです。
お客様からのご質問のほとんどは、私たちも知らないことばかりですので、
色々聞いていくうちに『じゃあこの分野のこの辺に関連するものがあるだろう』という
宝さがしが展開されていきます。
これは、大変ですが、素直に楽しいことでもあります」


――多くの問合せの中には、最新刊・刊行物の問い合わせもありますよね?
みなさん、どのくらい本を読むのでしょうか?

新開 「お客様からの質問の関連で、仕事で読むもの、
自分の趣味とは関係なく、オススメを聞かれることもありますので、
年間では、相当数読みますね」

倉田 「選書会議は毎週行っています。
時期にもよりますが100冊を超える本から検討し、だいたい年間で8000冊くらい購入しています。
これでも年間で発行される全図書・出版物に比べるとごくごく一部です。

 大切に扱われ、私たちの知識や興味を
満たしてくれた本は、リサイクルにも出されます
大切に扱われ、私たちの知識や興味を
満たしてくれた本は、リサイクルにも出されます

スペースの限界もありますから、処分しなければならない本もあります。
ただ、処分するということは、図書館の機能をある意味捨てる作業ですから、
これは相当慎重に判断して対応します。
その中から、状態の良いものはリサイクルということで無料で配布し、
皆さんにお持ち帰りいただいています。年間で1500冊くらいは、無料配布の対象になりますね。
リサイクルには、利用者から寄贈いただいた本が出ることもあります」


――ありがとうございます。
最後に、秋にかけてのイベントの予定などあれば、教えてください。

倉田 「練馬図書館の特色の一つは、
もと公民館、つまり現在の生涯学習センターとの複合施設という点です。

生涯学習センターでは区民文化祭やサークルの発表会など、様々な事業を展開しています。
その中に高齢者を対象としたものもあります。
図書館の中にも生涯学習のコーナーがありますし、
地域の別の施設とも連携し、様々なイベントを開催しています。

詳細はホームページなどでもご確認いただけますと幸いです。

https://www.lib.nerima.tokyo.jp/index.html

ぜひお気軽にご利用ください」

 こちらが閉架書庫、見えてる範囲だけでも
膨大な蔵書量です!
こちらが閉架書庫、見えてる範囲だけでも
膨大な蔵書量です!

最後には、普段立ち入ることの出来ない閉架書庫もご案内いただき、
文字通り、「しられざる図書館の一面」を見ることができました。
知の集合体としての図書館を、賢く使ってみたいと思うと同時に、「知識に向きあうこと」という、
図書館の本質を垣間見た取材でした。

サポーターの取材後記

豆柴
日頃利用している練馬図書館、更に知りたく訪れた。
年間8000冊を入れ替えるとのこと、毎週の選書会議に、いつどんな質問が来館者から来るかも分からない状況。相当難儀されるのではないか。一方で全国の図書館とはネットワークがあり緊密な連絡が取れる由、遠く鹿児島の離島のお祭りの資料も調べられる。これは大いに利用したい。地下には、貴重な古地図、新聞、辞書、郷土資料など大切に保管されていたが、今度は私の生年月日の出来事を調べてみよう。皆さんも仕事帰り、散歩の途中、公園での寛ぎの際でも寄ってみましょう。明るく親切なスタッフ、豊富な情報が待っています。
GEN
膨大な本を見ることができたのが、先ず嬉しかったです。本と資料の森のようなストックヤード(閉架書庫)は圧巻!童話の本が整然といっぱいあるのにも感心しました。大きな文字の本は、冊数もジャンルも増えており、まだまだずっと本を読んでいられそうです。また手作りの、それぞれ世界で一冊の“布の本”に初めて触れました。CDもあるし、展示コーナーをじっくり見るのもいい、そして居心地の良い大好きな椅子を見つけて…、図書館は最高ですね!
らいな
実は私は「図書館記念日」の生まれ、縁を感じての取材となった。
開架の本が多くないという印象は以前からあったが、その代わり閉架で資料をきちんと揃えていてくれることが、書庫に入っての取材でよくわかった。例えば図書館を利用して、本気で勉強したい人にとっては、頼もしい存在であることは間違いない。
今まで図書館で立ち読みばかりしていたが、練馬駅を利用することが多くなったので、これをきっかけに利用者登録をしようかと考えている。

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