サポーター体験記
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実は家の中が危険?!シニア特有の状況も~熱中症を季節を先取りして取材!~

実は家の中が危険?!シニア特有の状況も
夏本番前に熱中症そのものと
対策について知る
毎年のように耳にする「熱中症」のニュース。
暑いな、と感じてからでは手遅れかもしれません。
シニアナビサポーターが実体験を含めつつ、皆さんを代表して取材。
知ってるつもりの症状と対策を、丁寧にひも解いてみましょう。

名称:健康部 健康推進課 計画担当係
所在地:176-8501 東京都練馬区豊玉北6-12-1
電話:03-5984-1636
URL:https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/hoken/oshirase/necchuushou2.html
(練馬区ホームページ:お知らせ一覧「熱中症にご用心!」)
取材ご担当:主任主事 葛原 誠(くずはら まこと)さん
※以下、文中敬称略。

油断大敵&甘く見ると最悪のケースにも!熱中症を知る

油断大敵&甘く見ると最悪のケースにも!熱中症を知る ご担当の葛原さん
あらゆる手段で熱中症を啓蒙する
ご担当の葛原さん
あらゆる手段で熱中症を啓蒙する

――熱中症とはどんな病気か?どんな症状なのか?発症するとどこがどのように悪くなるのか?など、
改めて、熱中症について教えてください。

葛原 「まず、正確性を期すために、国や自治体で作成している資料がありますので、それを用いてお話していきましょう。

 環境省が作る「熱中症環境保健マニュアル」
もはや国民全員が意識しなければならない状況
環境省が作る「熱中症環境保健マニュアル」
もはや国民全員が意識しなければならない状況

まず熱中症対策は、環境省の管轄です。
このような『熱中症環境保健マニュアル』を作成し、各自治体に配布しています。

昨年度は特に猛暑でしたので、練馬区の対策としてもこちらの冊子を各部に配布し、使っています。
また昨年度、これらの配布以外に区として初めて行った対策もありますので、
そのあたりについてもお話ししていきたいと思います」


葛原 「熱中症の定義ですが、
・体温を低熱に保つために汗をかいて、
・体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の流れが滞るなどして
・体温が上昇する
・重要な臓器が高温にさらされたりすることによって

発症する障害の『総称』です。高温環境下に長期間いた時、あるいは、
いたあとの体調不良はすべて熱中症の可能性があるんです。


熱中症という症状には軽度から重度といった、症状の違いにより度合があります。
重度の熱中症になりますと、最悪の場合、死に至る可能性もあります。

しかし予防法を知っていれば防ぐこともできますし、あとは応急処置を事前に知っていれば
重症化も回避することができます。また後遺症も軽減できますので、ぜひ知っておいて欲しいです」

 熱中症は身近な症状だけに、
「予防」と「対処」両方を知っておくと安心だ
熱中症は身近な症状だけに、
「予防」と「対処」両方を知っておくと安心だ

――なるほど、甘く見ると大変ですが、
ちゃんと備えておけば、恐れることは無い、ということですね。

葛原 「そうですね。水分をこまめに摂るなどの予防が重要です。

また、ごく基本的な理解としまして、熱中症は”屋内でもかかるもの”なんです。
もちろん猛暑日や極端な高温下では外でもなりますが、
室内が圧倒的ですので、エアコンをうまく活用するなどの対策が効果的です。

意外と多いのは、エアコンも扇風機も家にあるのに、
”まだぜんぜん平気だ”ですとか”自分は大丈夫だろう”という過信から
これらの機器を使わないで、熱中症にかかってしまうケースです。

昨年、練馬区でもこういった油断などから、熱中症により亡くなられた方は6名いらっしゃいました。
23区でも124名いらっしゃいました。
殆どがやはり高齢者の方で、屋外が2名、屋内が4名と多いです。

ちなみに屋外で症状が出てしまった時の気温の記録もありますが、
7月16日は36.3度、23日に関しては、39.6度と、考えられないような気温を記録しました。
練馬は暑い、とよく言われるのは、練馬に観測地点があるために『練馬の温度は』と
ニュースなどで表現されがちですが、いずれにしましても注意が必要なのかもしれませんね」

高齢者の一人世帯は要注意!日頃の繋がりや声がけが、あなたを救うかも

葛原 「屋内で亡くなられた方の詳細を調べますと、一人世帯が比較的多いです。

やはり、まわりから”用心しようね”などと声をかけてもらえない、とか
水分を摂るべきタイミングで飲めていなかったりなどが原因で、
運ばれて亡くなられているかたも多いと聞いています」


――ニュースなどでは、グラウンドで・・・とか公園で・・・とか
お子さんが熱中症になるイメージでしたので、屋内というのは意外です。
ちなみに、熱中症に”かかる”のが屋内が多いということでしょうか?
それとも、”熱中症が重症化するのが屋内”ということでしょうか?

葛原 「猛暑日になると、屋外でも熱中症のリスクは高まります。
ですので一概に屋外だからとか屋内の方が、とか比較することは難しいです。

”暑さ指数”というのはご存知ですか?
日本のような蒸し暑い状態では、気温だけで暑さを評価することが難しいんですね。

そのため、熱中症に関する
・気温
・湿度
・日射
・輻射(ふくしゃ)※
・風
の要素を積極的に取り入れた指標として、
特に高温環境の指標として労働や運動時の予防として使われています。
※輻射とは・・・物体に反射して熱源となること。太陽光はそのものが温かいのではなく、
電磁波が地球の地表に当たり反射することで熱となる。

”暑さ指数”は気象庁の観測要素を用いて計算されていまして、
夏期には全国約840地点の暑さ指数の実況値が『環境省熱中症予防情報サイト』に
公開されますので、ぜひ一度、見て頂ければと思います」


【参考:環境省熱中症予防情報サイト】
http://www.wbgt.env.go.jp/

 暑さ指数、は聞きなれない単語だが
環境省のホームページでぜひチェックしておいて欲しい
暑さ指数、は聞きなれない単語だが
環境省のホームページでぜひチェックしておいて欲しい

「そしてこの、”暑さ指数”に応じて
練馬区では、小学校や保育施設などに注意喚起を行っています。
『この気温を超えた時には屋外での運動は中止してください』などですね。

お子さんですと、学校などの場合では、このような通知もありますし、
また集団で行動していますから、万一熱中症になった場合でも
水分を摂らせるなどの処置が早く、重症化しないケースが多いです。

ところが、先ほどのような一人世帯の高齢者の場合には、
対応が遅れ、結果的に亡くなってしまう、という状況なのだと思います。

ですので、普段からの予防がとても重要なのです」


――普段からの意識づけのための声掛けなんですね。
屋内では高齢の一人世帯が注意は必要ということは分かりました。
では、屋外で熱中症にかかりやすいケースや、どのような人がなりやすいなどの傾向はあるのでしょうか?
先ほど屋外で亡くなられた方の例もありましたが、どのような場合なのでしょうか?

葛原 「ケースバイケースですが、
より重症化しやすい条件として、肥満傾向であったり、
糖尿病などの持病がある方は、より注意が必要だとは思います。

ちなみに熱中症で亡くなられた方の情報は東京都の監察医務医に確認をしますし、
搬送された方の数は消防庁に確認し、詳細を把握しています。

他の病気もそうかもしれませんが、それだけ熱中症を重大な症状として
認識・対策をしているからこそ、このような細かな情報が資料として整理されているのだと思います」

汗がなかなか止まらない!こんな症状が出始めたら、熱中症のサインかも?!対策のまとめ

――搬送された場合に、医学的な処置はどのようなものがあるのでしょうか?

葛原 「ではまず、熱中症の症状について整理していきましょう。

Ⅰ~Ⅲ度まであるのですが、まず初期の段階としては
『めまいや顔の火照り、立ちくらみ』が熱中症のサインになります。
次に『筋肉痛や、筋肉の硬直』です。

ここまではⅠ度の分類です。
次にⅡ度ですが、『頭痛や吐き気、嘔吐』などです。
身体がぐったりしたり、力が入らないなど、です。

ほか注意点としては、『汗の出方の異常』ですね。
拭いても拭いても汗が出る、あるいはまったく出ないなどの場合は
熱中症にかかっている場合があります。

Ⅲ度は意識障害やけ痙攣(けいれん)、高体温などの症状です。
ここまでくると、自己判断での救急要請は難しいと思いますので、
周りの方の速やかな協力が欠かせないと思います。熱中症も早期発見が重要です」


――比較的程度の軽い、Ⅰ度とかⅡ度であれば、自分でなんとか対処できるものなのでしょうか?

葛原 「私も改めて調べてみたのですが、Ⅱ度の『頭痛や吐き気、嘔吐』などの症状では、
自分で水分を摂るなどしても回復しない場合があります。医療機関での処置が必要です。

これまで話した通り、状況によっては死に至ることもあるのが熱中症という症状です。
自己判断は大変危険ですので、異常を感じたら、救急車を呼んで頂ければと思います。

別の資料を見ますと、昨年の猛暑では、救急車で搬送された患者数、
もしくは救急車を使わずに直接医療機関を受診した
患者数は、23区で7000人くらいいらっしゃいました。

6年間の推移を見るとわかるのですが、患者数は2倍3倍になっています。

こうなると、区でどうこう、というよりは、やはり国で熱中症のきちんとした対策を考えることも
重要だと思います」


――では次に具体的な対策について教えてください。
熱中症にかかってしまった時にはどうすればよいのでしょうか?

葛原 「はい。まず、
・屋外であれば、涼しい環境への避難
・衣服を緩める
・身体に水をかける、タオルがあれば濡れタオルを身体にあて、あおぐ
など、身体を冷やしてあげることがまず重要です。

冷やすべき部分も決まっています。
代表的なものの一つは太い血管がある部位です。
わきの下だったり、あとは首筋の両側、足の付け根などです。

皮膚の直下を流れている血液を冷やすことが重要です」


「重症化を防ぐために大事なことは、
異常な状態になっている体温をいかに早く下げるかにかかっていますし、
救急車の要請はもちろん、到着するまでに時間もかかるわけですから
その間、どのように対処するかが非常に重要です」

私たちに普段から出来ること、友人や知り合いを救うために区の対策を知り、賢く利用しよう

――私も含めてなんですが、周りの友人などは、軽度のもの、Ⅰ度の状態で
『俺、熱中症かもしれない』『ちょっとおかしいぞ?』と皆で気づくことが多かったです。
私個人の場合は、筋肉のこわばりですね。動かなくなることがありました。
割と頻繁になるので、逆に対応に慣れてしまっていて、そんな時はすぐに水をのみ、
冷房の前に陣取っています。
しばらくすると回復するので、逆に通常時、油断してしまっているのだと今日の取材で思いました。

 実体験を語るサポーター
重症化する前に速やかに対応することが重要
実体験を語るサポーター
重症化する前に速やかに対応することが重要

葛原 「そうですね。やはり過信はいけませんね。

私が作ったポスターがあります。
”自分は大丈夫”が危険、声を掛け合いましょう!と書いてあります。
過信してしまうと、熱中症に、よりなりやすいですから、
・外出時には帽子や日傘を準備する
・こまめに水分補給をする
・部屋の中でも注意してエアコンや扇風機を上手に活用する
そしてやはり、暑い日は無理をしないこと。
用事がないなら、冷房の効いた屋内で過ごしていていいんです。

これは本当に実践的な熱中症予防策の一つだと思います」


こまめな水分補給は、私たちの普段の生活のなかで尿や発汗等(呼吸でも体の水分は失われるそうです)で
多くの水分を常時排出しており、その概は2500cc/日と言われています。
この補給が間に合わないと汗による体温調整が出来ない、ということなのですね。

 葛原さんお手製のポスター
大人用/子供用とあり、丁寧に注意喚起する
葛原さんお手製のポスター
大人用/子供用とあり、丁寧に注意喚起する

――区の対策について、お話をお伺いします。
こういったポスター以外にはどのような対策をされているのでしょうか?


葛原 「はい、いくつかあるのでご説明いたします。

一つは、区の清掃事務所への依頼です。
こちらは、高齢者の世帯の個別のゴミ回収を行う仕事もしています。
その際に、環境省が作ったチラシを配ってもらっています。
石神井・練馬地区でおよそ2000人くらいの方がいらっしゃいますので、
その方たちにお配りしています。
粗大ごみなどではなく、体の具合や様々な理由で一人でゴミを出せない方が対象です。

以前チラシを持って行ったのですが、枚数が足りない、と言われました。
一年で大体400名くらいずつ、そういったサービスが必要な方が増えている、とのことです。
その合計が現在2000名です。

私たちも様々な方法で、高齢者の一人世帯の方に注意喚起を行っていますが、
まだできていない場所もあるかもしれず、これは今年度も気を引き締めて
やっていこうと考えています」


「次に二つ目です。
地域包括支援センターの職員にお願いしまして、
高齢者世帯への訪問支援事業があるのですが、そこでも熱中症対策の
チラシを配ってもらっています。

ここまでは高齢者の話なのですが、
子どもや赤ちゃんにも気を配っています。

赤ちゃんも熱中症になりやすいので、三つ目として、
新生児訪問指導実施、赤子指導で家庭訪問をする機会があるのですが、
この時にもチラシを配布してもらったり、指導員による声掛けをしています。

練馬区には保健相談所が6つあるのですが、
そちらで母子事業を行っています。
そこでも熱中症の注意喚起の啓発をしてもらっています」


「その他には、SNS(ソーシャルネットワークサービス)でしたり、
フェイスブック、ツイッターで『暑いので気をつけてください』などの投稿もしています。

また、これは私の部署なのですが、
健康推進課で『ねりまち+てくてくサプリ』というスマートフォンのアプリがあるのですが、
こちらは
・健康に関する情報や
・ウォーキングなど
様々な方面で活用できるアプリを独自で開発しました。
ここにも『熱中症に注意しましょう』というページを載せたりしています。
アプリ登録は無料ですので、ぜひご登録いただきたいですね。

こういったデジタルメディア・ツールも活用しています」


「その他、
・各施設や商店会さんにポスターを掲出する
・練馬区の公設掲示板(区内900か所)全てに7月に情報を掲出する(予定)
・区内の小中学校に”熱中症計”を配備する
・ミストシャワーを区内400か所に準備する(予定)
・区内の小中学校にエアコンの設置、それぞれ14校ずつ
・安全安心パトロールカーでの注意喚起の放送(7-9月予定)
などを行っている状況です」

 熱中症計(市販品)
簡単に手に入るツールも賢く使いたい
熱中症計(市販品)
簡単に手に入るツールも賢く使いたい

「環境省から手に入れたチラシ4000枚も各部署に配布していますし、
健康推進課作成のチラシ、大人用と子供用とがあり、各機関に適宜、配っています」

まとめ:高齢者が特に気をつけなければならないポイント2点!

まとめ:高齢者が特に気をつけなければならないポイント2点! 熱中症を判断する簡易チャート
ポイントと合わせてぜひ、活用しよう
熱中症を判断する簡易チャート
ポイントと合わせてぜひ、活用しよう

――最後に私たち高齢者が特に気をつけなければならない点を教えてください。


葛原 「はい。
まず、
1.衣服に関しては出来るだけ涼しいものを心がけてください。
2.食に関しては繰り返しになりますが水分を積極的に摂ってください。

高齢者の皆さんは、脱水症状を察知しにくいため、水分補給が遅れがちになってしまいがちです。
私が独自に調べてみたのですが、『朝、1杯のみそ汁を飲む』というのが、熱中症予防に有効のようです。

なぜ有効なのかというと、味噌は発酵食品で摂取すると腸内環境を整えます。
そうなると免疫力がアップします。
みそ汁の具材も夏野菜で体温を適度に冷やしたり、わかめなどの海藻類はカリウムが豊富なので
高血圧の方も熱中症になりやすいのですが、そういった方に一定の効果があるようです。

みそ汁に限らず、朝食を摂るということが人間にとっては重要で、
例えば若い世代などは特に、朝食をとらないことも多いようで
これは熱中症に限らず、体作り・健康づくりの基本ですから、ぜひ意識してほしいですね」


――他部署との連携によるチラシの配布に始まり、
注意喚起の啓もう活動、デジタルツールの利用、ほか、できうる限りのことを
区では網羅的・かつ積極的に対応されており、なんだか安心しました。

朝食時の工夫や、衣類など、生活において意識する「ちょっとしたこと」
発生のメカニズムも正しく理解することで、私たち高齢者の命を救うのだと、改めて理解しました。

サポーターの取材後記

みずすまし
「熱中症」。子供の頃は「熱射病」と呼び、自分は発症する事もなく、「死」とは無縁な病気だと、気にする事も有りませんでした。
年が経ち、高齢になった昨年、軽度の「熱中症」を経験し、周囲の適切な助言で事なきを得ましたが、突然やって来る「死」と隣り合わせのこの病気の怖さを知りました。
今回の取材で、この病気の予防の大切さと共に、予防に不足があって発症しても、早期に気が付き、適切な処置が有れば、それ程恐れる事もない様に感じました。
自身の予防努力と共に、この病気を理解し、周囲に目を向け、気配を感じた時は、適切な救護処置を行いたいと思います。
なかなか
油断大敵、私どもシニア世代は自覚がないままに熱中症になっている場合があることを知り、日頃の何気ない生活に注意が必要だと身に染みて感じた取材でした。
それにしても熱中症に対する区の取り組みは、微に入り細に入り、考えられることは即実行に移しておられることに感じ入りました。誠実そのものの取材対応や分かりやすい説明に感謝しています。なかでも、「やはり家族をはじめ隣近所や友人知人等々の関わりがあることが、熱中症を未然に防ぐもと」というお話に、少しくらいお節介でも、気づいたことは伝え合うコミュニティーの大切さを改めて考えました。

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