サポーター体験記
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練馬をそのまま召し上がれ!野菜でお客様みんなを応援~地元野菜を提供する人気ビストロ、ボンクラージュ~

練馬をそのまま召し上がれ!野菜でお客様みんなを応援
練馬駅からすぐの路地、ビルの2Fが店舗
赤い手すりのらせん階段が目印!
西武鉄道の練馬駅からほど近く、昼時ともなれば平日・休日問わず主婦やママ達に(最近では男性にも!)大人気のビストロがあります。
練馬の野菜、練馬らしさにこだわった若き店長の想いに迫ります!

名称:練馬野菜×ビストロ Boncourage(ボンクラージュ)
所在地:176-0001
練馬区豊玉北5-2練馬1-6-18 コンフォートⅢ 2階
電話:03-6915-8822
URL:https://www.boncourage.jp/  営業時間:11:30~13:30LO、17:00~22:00LO
取材ご担当:店長/野菜ソムリエ 大越 喜夫さん
※以下、文中敬称略。

区外出身なのに練馬が地元?!ボンクラージュ誕生の秘密

――ボンクラージュ開店のきっかけがあれば、教えてください。

 若き店長、大越さん
店舗の凝った内装はその殆どが手作り
若き店長、大越さん
店舗の凝った内装はその殆どが手作り

大越 「きっかけは、一緒に始めたメンバーが練馬育ちだったことです。
彼は一つ上の先輩で、当時私はいつも彼にくっついて遊んでいて、
もう練馬が地元のような感じだったんです。私は杉並区の出身なのですが。
かれこれ20年の付き合いなのですが、いつの頃からか、『ここでお店をやろう! 』という話になりまして。
飲食店にいく理由は様々でしょうが、練馬に住む沢山のみなさんが気軽に来られて、
笑顔になれる場所を作りたくて、オープンさせました。
ボンクラージュはフランス語の直訳で、良い勇気を、です。転じて“頑張ってね! ”という応援の意味合いがあります」


――最初から「飲食店」と決めていたのでしょうか? もしきっかけなどあれば教えてください

大越 「飲食店と決めていました。実は私、祖父の時代から飲食業(中華料理店)を
やっていまして、父が店を継ぎ、そのあと私が・・・という予定でしたが、
子ども心に『いつか自分が店を継ぐなら、他の業種も経験してみよう』と。
それでいろいろな会社や調理の現場で働いて、そうするといつか自分の店を持ちたいという気持ちも芽生えて
今からちょうど10年程に転機があり、この店をオープンさせました。

ずっと一つのジャンルを続けることも武器になると思いますが、
総合的な経験も武器になると考えて、ジャンルにはこだわらず様々な職種を経験したんですよ。
キッチン、ホール、ホテルで働いたことも、居酒屋にいたこともあります。
その結果、サービスの方にも興味がでてきて、完成したのがこのお店だと思っています」


――お料理は独学で習得されたのでしょうか? 

大越 「いえ、キッチンでちゃんと教えてもらいました。
こうして自分で店を開店すると、両方できなければダメだと思っていまして、
その点では色々と経験したのはよかったのかなと思っています。
思い返せば、『食べる事』には昔から興味がありました。
高校生の頃などは、店なんか全然知らなくて、雑誌に出ているお店や、
おしゃれな店を友人と探したり、休みの日を利用して店を巡ったりしていました。

実際に店に行くと、内装や盛り付けなど『あぁ、こういうのもあるんだ、こんなサービスもあるんだ』と気づくことも多くて。先ほどお話しした先輩と一緒に食事することが多かったですね。
なんだかんだで週1回は一緒にいたと思います」

低迷期での気づき、原点に戻ることで見つけたコンセプト

――冒頭でみんなが笑顔になる場所を、ということでしたが、大越さんにとって、
お客さんの喜ぶ姿がいきがいになったのはいつごろからなんでしょうか? 

大越 「30歳を過ぎてからですかね。それまではガムシャラに走っていたというか、余裕がなかったというか。
自分の立ち位置や目標が明確になってきたタイミングで『こうあるべきなんだ』と気づいた気がします。
この気づきのタイミングがちょうどお店の開店のタイミングだったのかなと思います。

 飲食店の競争は激しい
一足飛びにここまでこれたわけではない
飲食店の競争は激しい
一足飛びにここまでこれたわけではない

ただ、オープン当初は、物珍しさもあり順調でしたが、徐々にお客さんが減った時期がありまして。。。
その時に、自分がやりたかったこと=お客さんの笑顔、というテーマを思い出し、
練馬のお客さんは何を求めているんだろう、皆さんのために自分は何ができるんだろう、と考えました。
お客さんの話に耳を傾けると、練馬の人の地域愛/地元愛の強さに驚きました。みんな練馬が大好きなんですね。
地域密着を考えた時に、練馬を代表する『野菜』というコンテンツは外せないな、と思ったのです」


「実はオープン当初は、練馬野菜を使っていなかったんです。私自身、練馬の野菜は練馬大根くらいしか知りませんでした。
お客様や区役所の方などから色々話を聞き、自分でも調べてみると、東京で採れる7割の野菜は練馬産である、
という事実にたどり着きます※。そんな東京を代表する野菜の産地で、自分達のスタイルで提供する食事に喜んでもらいたい、と思いました。

たまたま仕入れた野菜が練馬産だった時、お客さんに料理を説明する場面で「今日の野菜は練馬産でして」と説明すると、物凄い喜ぶんですよ。それがずっと頭に残っていました。
今の店舗のスタイルを確立したのが今から6年程前。
それまでは普通の洋食屋さんといいますか、どこにでもある店だったと思います。
仕入れたもの、頂いたものをお客さんに出すだけでは野菜の真の魅力は伝わらない、と思いまして、作る過程も経験しよう、と農業にも挑戦しました。こうやって手間をかけて、これが大変で、だからこれだけ美味しくなるんですよ、というストーリーをお客さんに伝えたかったんです」
※様々な統計・見解の一例です。

お客さんの声に耳を傾け、お客さんのために、とより添った結果が今のスタイルを生み出したようです。
お客様はどこでもいい、というわけではなく、この街で、そしてこの店で食べるなら練馬の野菜がいい、という思いがあるのだと思いました。

こだわり野菜の秘密、農家さんを足で探して契約にこぎつけた

――大越さんは野菜ソムリエの資格もお持ちですね? 
『身土不二(しんどふじ)』という言葉があると思います。地元の旬の食品や伝統食が体によい、長生きできる、と昔から日本で言われている事なのですが、練馬で育つ野菜の特徴などを教えていただけますか? 

大越 「個人的には野菜は“環境”プラス、“農家さんの愛情“が全てだと思っています。良い環境で育てれば、それだけで野菜はおいしくなるんです。もちろん肥料や技術などの要素も影響はしますが、練馬の場合は温度もポイントではないかと思っています。
ニュースでも全国規模で上位に入ることもあるくらいですから、夏はしっかり暑く、冬は寒い。
この寒暖差が練馬野菜の美味しさに関係していると思いますよ。
野菜なので暑すぎたり、寒すぎたりすると痛むようなイメージがあると思いますが、実は逆で、野菜にとって厳しい環境であるほど、その中でなんとか成長しようする。その生命力がうまみに繋がっているんです」

 契約農家の西貝さんと
試行錯誤しながら野菜を育てる
契約農家の西貝さんと
試行錯誤しながら野菜を育てる

――契約されている農家さんについて、教えてください。このお写真に写っているのが、先ほどのご友人(先輩)ですか? 

大越 「いえ、西貝さんという農家さんです。
店を始めるにあたって、野菜の安定的な仕入れは欠かせません。どうしようかと考え、やはり農家さんと直接パイプをもたないと、このスタイルの継続は難しいだろうなと考えました。
大泉とか石神井とか、それこそ飛び込みで一軒一軒回ったんですよ。意外と皆さん優しくて(笑)、話は聞いてもらうことができました。『嬉しいけど今は家で食べる分しか作ってない』とか、
『農協に卸す分だけでわけられるほどの量はない』といった返答が殆どでした。
感覚値ですが、100軒くらいの農家さんの7~8割がそうでしたね。

そんなある時、別件で区内を移動しているときにふと、畑を見つけたんです。
『あれ? 前に回った時にここ、リストアップしてないぞ』と思いまして。ここにも畑があったんだな~、なんて見てたんですよ。その時、たまたま西貝さんがいらして。
アポも何もなく、話しかけていました。そうしたら、なんと同じ年齢で。若い方もいるんだと思いながら、色々話し込んで、何度か通って想いを伝えるうちに『じゃあ、ぜひ』となりました。これがスタートです」

今では年間100種を超える野菜等の取扱い! 宝石のような練馬の野菜たち

大越 「西貝さんも、メインは農協への卸で、最初は食卓に普通並ぶ、だいこんやキャベツ、じゃがいもとかトマトなど10種類程を作っていました。
ただ、私の店のスタイルでは数も種類もたくさんの野菜が欲しかったんですね。
これを相談したところ、西貝さんも『挑戦してみたい』と。

6年前から二人で種を探しに行ったり、色々工夫したりを続けるなかで、今では取り扱いは年間で80種類は超えていると思います。
例えばこの「ロマネスコ」なんかはもともとイタリアのもので、日本の食卓に並ぶことなんて殆どありませんでした。
いろいろチャレンジするなかで練馬の土に合うものを見つけて、それで育ててもらっている状況です。


――練馬でそこまでの種類が収穫できることがオドロキです。
やはり素材が変わるとメニューに刺激を与えたりするものなのでしょうか? 

大越 「そうですね。最初は採れたものに合わせてメニューを作っていましたが、今は年間でスケジュールを組んでいます。どの時期に何が収穫できるか、自分で把握しているので、時期に合わせてメニューを組んでいます。とはいえ、その都度入って来る野菜でひらめくことも多いですけどね。

農家から直送なので、まず鮮度が全然違うんです。通常だったら生で食べられない野菜も提供することができるんですよ。
本当にフレッシュなので、それこそ届いた瞬間は、野菜が光ってるんですよ。ゆでることもせず、朝入ったものをそのまま生で提供することもありますよ。

直契約だから、本当にギリギリまで畑で育てることができます。流通を考えると、タイムラグの間に熟すことも踏まえて、
例えばトマトなどは、通常店に並ぶ時に赤くなるように、少し青いうちに収穫します。西貝さんのように畑で赤くなるまで育てたものと、味が違うのは当然ですよね」

 取材時に見せていただいた朝どれホウレンソウ
確かに色も濃く、シャッキリしている
取材時に見せていただいた朝どれホウレンソウ
確かに色も濃く、シャッキリしている
 ほんのりと紅く色付いた大根やきゅうり
ミョウガなど様々な写真を見せてもらう
ほんのりと紅く色付いた大根やきゅうり
ミョウガなど様々な写真を見せてもらう

練馬のおいしい野菜の旬、野菜のベストな食べ方を提案

――野菜を使った、店の料理のレシピはどんどん変わっていくものなんですか? 
シーズンで代表するような食材/メニューがあれば教えてください。

大越 「そうですね。あまり同じメニューは出さないです。
これだけ新鮮な野菜をつかえるので、季節感や旬は大事にしています。普通野菜は、主役の肉などを引き立てるものなのですが、ウチでは、メインを消さない程度に、野菜も主役になれるレシピを心がけています。

まず、夏と冬が野菜の種類としては多いです。旬で言えば、冬は根菜類がメインとなりますが、ホウレンソウ、小松菜、大根、カブなんかも甘いですね。夏はやはりトウモロコシですかね。これも時期なら生で提供します。あとトマトやキュウリ、オクラも美味しいですよ。他に代表的なものとしてズッキーニがあります。
春はソラマメ、そして春キャベツです。秋は先ほどと違う種類のカブ、カリフラワーもオレンジ、紫、黄色、白、と色とりどりでキレイですよ。

ホウレンソウもゆでないとアクが強い印象ですが、フレッシュなものは生で提供しています。通常メニューにあるスムージーにも使っていますよ。小松菜はやってみたのですが、やや苦みがあって、スムージーには向かないと思いました。火を入れたほうが美味しいです」

――・・・すごいですね。まさにこちらに来ないと食べられない野菜や料理ですね。メニューのレシピをお客さんが「家でも作りたい、教えて欲しい」なんて言われることはあるんでしょうか?

 若者の活躍に興味がつきない
様々な質問をぶつける
若者の活躍に興味がつきない
様々な質問をぶつける

大越 「ありますよ。レシピは隠さず全て教えます。家でも作れるように、素材や調理器具の代用方法などもアドバイスしています。この間も区役所から『練馬の大根を使ったパスタを開発して欲しい』とご依頼があり、レシピを開発しました。
もともと練馬では学校給食に「練馬大根パスタ」という定番のメニューがありまして、練馬に住まれる方は、一度は食べたことがあるくらい、メジャーなメニューです。これを『ボンクラージュ風にアレンジすると・・・』ということで、開発しました。
練馬大根と挽肉のパスタなのですが、名産の練馬大根をより味わっていただくために、調理したものとフレッシュなもの、2種類を使って食感の違いも楽しんで頂く提案です。大根は捨てる部分がありませんので、茎と葉っぱも刻んで、さらに気軽に食べて欲しいと思い、あっさり目の出汁風味を利かせています。

ご家庭で再現できると、ご家族やお友達の皆さんで召し上がっていただけますから、意図的に凝ったレシピにもしていません。レシピは区役所のホームページにも掲載されています」
https://toretate-nerima.tokyo/
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kyoiku/kyushoku/recipe/nerima.html

「ボンクラージュらしさ」とは? 練馬への熱い思い

――大越さんの考える、ボンクラージュらしさって何だと思いますか? 

大越 「シェフとも、ずっと考えています。
まず私たちの『ボンクラージュらしさ』は、通常ご提供するビストロメニュー+練馬野菜、なんですが、
これだけではだめだと思っています。
ご家庭で普通に食べる日常の献立・メニューに『ボンクラージュらしさ』を反映してもらえないだろうか、と考えています。

 取材時のディナーメニュー(一例)
ボンクラージュのこだわりが反映されている
取材時のディナーメニュー(一例)
ボンクラージュのこだわりが反映されている

たとえばまさに、本日から提供しているメニューに“洋風焼き春巻きボンクラージュ風”があります。春巻きの中にマッシュポテトと野菜の煮込みを詰めて、普段目にするもの食べられるもの、ご家庭の献立に普通に並ぶ中華のメニューですけど、中身の具材とそのアレンジに、ボンクラージュらしさを反映しています。

“ビストロ屋さんが作るYAKISOBA”もあります。こちらも見た目は普通のソース焼きそばなんですが、実は一切ウスターソースは使っていなくて、数時間かけて作るデミグラスソースを代わりにして香ばしく炒めています。お客様もメニュー表を見て、具材に練馬野菜を使ってるだけ? と思われるのですが、一口召し上がっていただくと工夫に驚いてくれるんです。麺にもこだわっており、見た目は焼きそばの麺なのですが、姉妹店のパスタ屋で、太目のモチモチの生パスタを製造し、使っています。
これ以外にも手間をかけて作る牛の出汁、フォンドボーに生姜を入れて“生姜焼き”を作るなど、アイデアと工夫でアレンジしています。

その意味でいえば、“普段を工夫して楽しむこと”がボンクラージュらしさなのかもしれません」

大越 「ボンクラージュで提供する料理は、カジュアルではあるものの、特別に安いものでもないと思っています。だからこそ、見た目の満足感、味の満足感、体の満足感が全て満たせるように提供することを意識しています。
ご年配の方もランチでいらっしゃいますが、特別感を意識しすぎてあまりに奇をてらっても、抵抗があったり、毎日は食べられなかったりすると思います。その意味でも、慣れ親しんだご家庭のメニューをアレンジすることにこだわりを持っています。
この店にフレンチを食べにくる、のではなく『ボンクラージュに食べにくる』になって欲しいなと思っています」


練馬にお店ができ、10年が経過して、少しずつ「ボンクラージュらしさ」が出せてきた、と大越さん。
今後はさらに練馬区をどう盛り上げるか、そのためにボンクラージュで何ができるか、そんなことに、新たに挑戦したいと考えているそう。野菜を食べるために、わざわざ練馬に来る、そんな世界観が完成する日も、そう遠くないのかもしれません。

私たちにとっての「食」、その根幹の一つを支える「農業」。練馬区の特色を活かしながら、私たち人間にとって大事な命の営みに気づかせてくれる名店でした。

サポーターの取材後記

パイレーツ
グローバルとローカルが合体した言葉がグローカルです。
ボンクラージュさんは、地元の人が気軽に入れる地域密着のビストロを目指しています。そして地元のお客さまの笑顔から練馬野菜をテーマにすることを教えられ、お店を変化させていきます。練馬野菜の美味しさを料理を通して東京や世界に発信する。そのことが、ボンクラージュをグローバルにつなげていくのだと、考えました。ローカルに徹することが、結果、世界につながっていく。夢が大きく広がるインタビューでした。
私も取材時、ランチメニューを食べましたが、スムージーで出されたホウレンソウやサラダは、生なのに苦くなく甘く美味しい! と思いました。
なかなか
練馬区に住んで最も嬉しいことの一つに「野菜が美味しい」ことがあります。
「ボンクラージュ」さんは、練馬の野菜をさらに美味しく提供してくださるレストランです。お話を伺った店長の大越さんがまた、野菜の持つ“やさしさ”“浄化力”“慈愛”等々を伝える心を持っていることが感じられ、今度は友人を誘ってランチをいただきに来たいと思いました。ちょっと長生きできるような気持ちにもなりました(笑)。

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