サポーター体験記
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身近なのに意外と知らない、シルバー人材センターの意義~新しい世界への扉をどう活用するかは、皆さん次第~

身近なのに意外と知らない、シルバー人材センターの意義
取材中のヒトコマ
車座で和やかに進行する
シニア世代のみなさんにとって、「シルバー人材センター」は身近な存在でしょうか?
もう利用されている方も、聞いたことのない方も。
シルバー人材センターで、新しい自分を見つける、
さらには超高齢化時代に突入している日本の救世主になる?!
そんな可能性を秘める場所を覗きます。

名称:公益社団法人 練馬区シルバー人材センター
所在地:176-0012 練馬区豊玉北5-29-8 練馬センタービル5階
電話:03―3993―7168
URL:http://www.nerima-sc.or.jp/
取材ご担当:
会長  山下 越子さん
常務理事/事務局長 石川 久美子さん
事務局長代理 三ツ橋 由郎さん
※以下、文中敬称略。

「仕事よりも大切なこと」シルバー人材センターの本質とは

そもそも、シルバー人材センターは国の法律で定められた団体です。
「高齢者等の雇用の安定に関する法律」というものがあり、これはごく簡単に言うと、「高齢者の方が定年後、活躍する場を作ろう」という動きのなかで生まれたもの。

高齢者の定年退職後、仕事をしたい、というニーズがあり、しかもそれは普通の仕事だけではなく、「社会貢献をしたい」という、ある意味、レベルの高いニーズです。
仲間や社会とのつながり、しかもそれが収入にも繋がる、それがシルバー人材センターの本質です。
常務理事であり、事務局長の石川さんに成り立ちを伺います。

 事務局長の石川さん
組織運営面でセンターをサポートする
事務局長の石川さん
組織運営面でセンターをサポートする

石川 「シルバー人材センターは、もともと会員制の組織としてスタートします。
練馬区においては、今年(令和元年)で42年目となり、全国的に見ても、一番早くに設立されたところで44~45年ですから、比較的歴史は長いと思います。

シルバー人材センターは『地域』との繋がりを大事にする、という意図もあり、ハローワークや就職を斡旋する一般の会社と違って、地域に会員がいて、地域で活動する、という制限があります。

ですので、練馬区の会員さんが、例えば新宿区で働く、ということは無いわけです。
あくまで会員の地域内で、自分の能力を生かして活動する、という団体です」


――会員の費用や、組織規模などについて、もう少し詳しく教えてください。

石川 「会員制ですのでもちろん会費(年会費¥2000)をいただきます。
組織を運営する、会長・副会長・理事さんは、すべてこの会員から選出しています。
ほかに班長、女性幹事、組長、などの役員さんも会員で構成されており、無報酬のボランティアで活動していただいています。

この意味においても、会員の皆さんがさまざまな場面で自ら積極的に活動している団体なんです。
会員は現在3600人以上います。練馬区は人口が多いので大規模会員組織です。
    
平均年齢は74歳。ですので60代の方が入られると超若手です(笑)。
ちなみに最高齢の会員さんは、今年94歳の方がいらっしゃいます。
一定年齢をすぎると年齢そのものは、あまり意味を持たないと思っていまして
60代でも気持ち的にご年配の方もいれば、80代でも考え方や行動がものすごく若々しい方もいらっしゃり、年齢差というより個人差が大きいです」

バリエーションに富んだシルバー人材センター就業、男性に人気の意外な“あの仕事”!

――仕事をすると、賃金が支払われる、という考えでよいのでしょうか?

石川 「まず、シルバー人材センターは公益社団法人ですから、
“賃金=お給料”という概念ではありません。『配分金』と言い、就業の対価としてお渡ししています。

配分金は、月締めで会員に配分されます。
会員ご本人が就業した内容について就業報告書をご提出いただきます。
1つの就業で1枚ですが複数のお仕事をされている方もいらっしゃいますので、これが毎月だいたい、2200枚くらいくるわけです。
この就業報告書の計算をし、翌月に会員指定の口座に振り込む、こういう業務を事務局はおこなっています」

「事務局のもうひとつの大きな役割として『お客様から仕事をもらってくる』というものがあります。
一般的に言われる、いわゆる営業活動です。

公共の仕事と民間の仕事と2つありまして、例えば公共のお仕事ですと、代表的なものは、朝、小学生の通学時に学童を安全誘導する、『児童通学案内』というお仕事があります。
昔は『緑のおばさん』なんて愛称で親しまれていましたが、今はシルバー人材センターのお仕事としてやっています」

石川 「実は今、この児童通学案内を行っている方は圧倒的に男性が多いんです。
この就業は思う以上にハードなお仕事でして、雨だろうが雪だろうが学校がある時は発生します。
朝1時間ほど立ち、低学年の学童が帰る午後、また1時間立ちます
1日やっても3~4時間のお仕事です。お金のことだけ考えると、途中空きますから、ある意味で非効率です。

ですので、やりがいを感じてもらえないと、なかなか続ける事は難しいです。
ここに、かつて企業戦士と言われ、朝から晩まで仕事をし、ご自身の子供が通う小学校すら知らなかったような男性の皆さんが、大変に生き甲斐ややりがいを感じているそうです。
子どもたちの笑顔や、ちょっとした挨拶で、いままで全く見えなかった世界が広がる、ということで中には5年10年と続けてくださる方も居ます」


――他にはどのような就業がありますか?

石川 「他には駐輪場の管理ですとか、学校の施設管理などがあります。

施設管理ですが、小中学校は平日の日中は生徒さんと先生がいらっしゃいますが、休日の開放や時間外の体育館の貸し出しなどの管理業務、そして鍵の閉め忘れや水の出しっ放しなどがないように見回りする業務を、全小中学校で数人の会員がローテーション勤務で行っています。

民間のお仕事ですと、マンションの清掃管理の業務が多いです。
練馬区は住宅街ですので、実に700名以上の会員がこの仕事をしています。
地域の管理会社さんから信頼いただいて、長い期間お仕事をいただいています。
やはり会員さんが熱心に取り組んでいる結果、このような継続に繋がっているのではないかと」

「面白いところでは職人仕事なんていうものがあります。
植木の剪定、畳、障子ふすまに網戸の張替え、ハウスクリーニング。これは普通の掃除ではなく、
エアコンですとかお風呂でも、いつもより丁寧にやるようなもの、などがあります。
これらは経験、腕に覚えのある方が登録されています。

植木は少し、難しい就業かと思います。
練馬区の特長として、やはり戸建てが多いものですから、植木、除草の仕事の需要は多いですね。
植木では2300件ほど、除草では年間2500~2600件の仕事がありますから、
毎日どこかしらでシルバー人材センターの会員さんがこれらの業務をしている、ということになりますね。

ただ、やはり安全就業が第一ですので、高い木やチェーンソーを使うようなものは対応できません。
深夜の仕事、工作機械を使うもの、あるいは特殊な薬品を使うものなども対応していないんですよ。

このほかにも特徴的な仕事として、会員の皆さんが『先生』になる仕事があります。
教室事業といって、子供向けの学習教室、オトナ向けの英語教室、
それから折り紙、編み物、朗読、カメラ、書道、絵手紙、ボトルシップはわかりますか?
瓶の中で模型の船を組み立てる、あれなんかも人気がありますね」


石川さんいわく、「人材が居れば、それが仕事になる」、とのこと。
シルバー人材センターの仕事は、なんとなく掃除中心なのかな、なんて思っていましたから
そのバリエーションに驚きました。
当然、色々な能力や技術を持つシニアが会員になれば、新しい仕事も増えると。
自分のキャリアを生かすもよし、違う道を見つけるもよし、かなり柔軟に選択肢がある印象です。

会員全員が“動く広告塔”、発展の背景は一人ひとりの真摯な姿勢

会員全員が“動く広告塔”、発展の背景は一人ひとりの真摯な姿勢 取材中、40周年を迎えた
人材センターの記念事業の映像を鑑賞
取材中、40周年を迎えた
人材センターの記念事業の映像を鑑賞
 記念祭のヒトコマ 大舞台で臆することなく
軽やかな足取りの会員さん、皆お元気!
記念祭のヒトコマ 大舞台で臆することなく
軽やかな足取りの会員さん、皆お元気!

――会長からもお話を伺います。会長になられて感じられることはどんなことがありますか?

 山下会長は、元英語教師
バイタリティ溢れながら温和な方
山下会長は、元英語教師
バイタリティ溢れながら温和な方

山下 「まず、この組織が40年と発展を継続しているのは、ひとえに皆さんが熱心に、また真摯に取り組んでくださっているお陰と感謝しています。
就業の姿勢、会員としての在り方を、一般の方は皆、『ああ、シルバー(人材センター)さんね』と好意的にとらえてくださいます。

スタート時は853名でしたから、3600人強まで成長したのは事務局の存在も大きいと思いますし、忘れてならないのは、今までの諸先輩方の存在ですね。
責任ある就業姿勢、責任ある地域貢献、これらを一つ一つ積みあげてきたからこその今です。
その意味で、3600人の会員さんお一人おひとりがいわば、広告塔。
いずれにしましても、皆の協力で成り立っている、と思っています」


――シルバー人材センターに興味がある場合、窓口ではどのような相談に乗って頂いているのでしょうか?

 十分ご納得いただいたうえでの入会が
オススメです、と三ツ橋さん
十分ご納得いただいたうえでの入会が
オススメです、と三ツ橋さん

三ツ橋 「会員制ですので、もし活動される場合はご入会いただくことになります。
この際に”入会説明会”というものを開催しています。
月に2−4回、予約制で開催します。中身をよく聞いて頂いて、十分にご納得いただいてからのご入会をおすすめします。
(入会説明会は事前予約制です。電話:03-3993-7168/受付は月~金、9:00~17:00)

意外と知られていないのですが、『区内でのみ業務を行う』、『週に20時間までしか働けない』などの制限がある点です。
フルタイムで働きたい方や、月に20~30万の収入を考えている方は、ハローワークさんをご案内しています」


三ツ橋 「仕事の流れとしましては、班組織をつかって”事務局だより”を配布します。
この事務局だよりの中に受注表があり、ここに仕事が書いてあるわけです。
これを見て、会員のみなさんが事務局に直接電話していただく、という流れになっております」

 こちらが受注票(一部)
かなりの種類・数があり需要の高さがうかがえる
こちらが受注票(一部)
かなりの種類・数があり需要の高さがうかがえる

――具体的にはどのように申し込みをしたらよいのでしょうか?ネットで申し込みなどは出来ますか?
石川 「まだ圧倒的にネット環境に不慣れな会員さんが多いので、お申し込み等にはネットはつかっておりません。
ご案内はホームページでも行っていますが、ご不明点やご興味があれば、遠慮なくお電話いただくのが良いと思います」

活躍の姿は多種多様、自分にあった「場所」の一つとしてうまく活用する

――会員さんの中には、バリバリと頑張られている方もいるのでしょうか?

石川 「そうですね。目一杯掛け持ちされる方も結構いらっしゃいますよ。
先ほどのように、週20時間、と時間に上限があるのですが、たとえばマンションの清掃などの場合、長くても1回2時間程度の場合もあります。
しかもゴミ出しの日だけ、などの場合は週に2日とか3日とか。
そうなると、一つのマンションで6時間ですから、清掃が得意な方は3つ掛け持ちされたりとか。

学校の管理等も毎日出ない場合もありますから、ご自身の体力とご希望とをうまく組み合わせて、
効率よくやられている会員さんもいらっしゃいます」


――労働だけでなく、横のつながりを求める会員さんも多そうですね。
三ツ橋 「そうですね。
班会議、練馬は15班あって、全部で900人くらい集まるのですが、
人によってはその後の交流会で会話を楽しんだり、シルバー人材センターの活動から派生して、
カラオケサークルなど新しいグループができていたりしています」

石川 「大切なことは情報の接点作りだと思っています。
社会的に孤立されないように、地域の皆で活躍できる状況を作ることが大切です。
会費をお支払い頂いている会員さんの中には、就業は卒業して、会合や講演会をたのしみにされている方もいらっしゃいますよ。
東京などの大都市では、自身の地域との接点、活躍の場のひとつとしてシルバー人材センターを活用されていて、一つの在り方として、事務局としてもありがたいことだと思っています」


シルバー人材センターの会員は大半が男性だそうで、
「シルバー人材センターは、いわば男性の地域デビュー」の側面もあるのだとか。
これは、現在60~90歳の世代の女性が、定年退職まで企業で活躍することは少なかった、という時代的な背景があります。
この背景が要因で女性は家を守るにつれて、お子さんの学校や地域との繋がりが自然とできていきましたが一方の男性は、いろいろな意味で会社ありきの生活になっていた。
そのため今、シルバー人材センターの就業を通じ、地域との繋がりを取り戻していく、そんな役割ももっているという点が、印象に残りました。

特別な資格などは全く必要がなく、気持ちの部分が大事。
やったことのない業務にチャレンジする、それが誰かによろこばれる、新しい世界が広がる。
この感動につながる流れも、私たちシニアの特権だと思いました。
新しい出会いや発見の場として、シルバー人材センターを活用してみませんか?

サポーターの取材後記

みずすまし
定年後、趣味や仕事のない日々が続くと、生活から緊張が失われ、元気さを失ってゆくと思われ、高齢になっても元気で暮らしてゆくためには、「働く」「人の役に立つ」事が大切な事と改めて感じられた。
又、高齢者3600名の就業を創り、元気に生活がおくれる様、会員と共に歩む会の思いと運営は、単に仕事を紹介するのではなく、訓練・研修により人の意識を変え、注文主の信頼を得て、新たな雇用を創っている。
更に、会の理念の「会員による自主的・主体的運営」「共働・共助のもとで働く」にも、高齢者と役員・スタッフとの一体感を感じ、会員が暮らす地域での活動は、顔見知りをつくり、外に出る機会を増やす事にもなり、「遠くの親戚より近くのシルバー」という言葉が頭をよぎった。
GEN
たくさんのことを教えていただいた取材でした。
なかでも特に印象的だったことが3つあります。

1.「シルバーでの就業は地域デビュー」~会社人間「特に男性」は地域とのつながりは無いのが現実ですから、なるほど、納得です。
2.「会員としての活動は、ボランティアではなくお金をいただいて働くこと」~だから研修も必要ですし、きっと楽しさも苦労もあるのでしょう。そして「地域貢献」「社会貢献」ができる…。
3.「93歳、94歳の元気な現役の方がおいでになる」~東京、練馬区、めざせ100歳現役でしょうか。

ありがとうございました。
練馬区シルバー人材センター、会員の皆様の、益々のご活躍をお祈りいたします。
シルク
今期からサポーターとして参加しています。活動はもちろん、取材も初めての経験で新鮮でした。
その感想をまとめてみます。

-私のビックリ・「練馬区シルバー人材センター」初取材-
【ビックリその①】
人生100年時代の高齢者<生き方・支え方>を実感する数字に素直に驚きました。
会員の平均年齢74歳、最高齢94歳。また、特に年齢に関しては
定年後は個人差が大きく、働く意欲のある高齢者の多いことに驚きました。

【ビックリその②】
多種多様な仕事がある点、会員が約3,600人もいる点、仕事の種類も増え続けているとのことで、
社会の需要を感じます。

【ビックリその③】
運営側のサポート体制が充実している点に驚きました。
・営業活動=会長自ら「はつらつシニアクラブ」に行って説明会を行い、人材の確保に
動くなど、役職に関係なく、最前線で会員のために活動されていること。
・相談活動=個別に就業相談を行い、入会後の動静把握を、会員記録として残しながら
サポートしている。これは仕事だけでなく、社会との接点・繋がりの意味でも意義を感じます。
ex)入会後、半年過ぎても働いていない人への面談など。
また研修では、東京都連合主催の無料研修なども行い、資格取得やモチベーション維持などに
役立つようにしている。
ex)植木剪定、調理実習、家事援助など。

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