サポーター体験記
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私たちの生活と密接にかかわるごみ。「捨てた」その先にある真実とは?

私たちの生活と密接にかかわるごみ。
シンプルな施設の外観
もしかすると、足繁く通うことになるかも?
練馬区は谷原の自動車教習所前にある、「練馬区資源循環センター」。
区の粗大ごみの収集および再使用事業など資源の回収事業を行っている施設ですが、その詳細は意外と知られていないようです。プラスチックごみなどが話題になる昨今、ごみは私たちの生活と切り離せないもの。
エコロジーの観点とともに、私たちの暮らしに紐づくセンターの姿を取材します。

公益財団法人 練馬区環境まちづくり公社 資源循環センター

次長 増田 岳人さん
所在地:〒177-0032 練馬区谷原1-2-20
電話:03-3995-6711 (代表)
URL:http://nerima-shigen.jp
※以下、文中敬称略。

資源循環センターとは?施設の機能に迫る

増田 「練馬区資源循環センターは、練馬区が建てた建物で、それを練馬区環境まちづくり公社で施設の管理運営を行っています。桜台事業所、石神井分室と合わせて3か所で、練馬区から清掃リサイクル事業を受託する形で事業運営をしています」

 概要の説明をいただくお声がけいただければ、案内してくれます
概要の説明をいただくお声がけいただければ、案内してくれます

「委託されている主な業務内容は、
1.資源循環推進事業
2.可燃・不燃ごみの収集
3.粗大ごみ収集
4.容器包装プラスチック回収
の4つです。
資源循環推進事業の中で、粗大ごみや資源の持ち込みも受け付けています。一部の区立の施設にはで小型家電回収ボックスが設置されているのですが、資源循環センターでも回収しています。例えば日曜日に古着の回収なども行っているんですよ」
―ー資源の循環というのは、具体的にはどんな事をされているのでしょうか?
増田 「粗大ごみの再生使用事業では、粗大ごみのなかで状態の良いものに簡易な修理を行い、区内に4か所あるリサイクルセンターで、展示販売をしています。それから、普及啓発という形で、見学に来られた方に施設のご案内をする事業、また、廃食用油のバイオディーゼル燃料(BDF=Bio Diesel Fuel)の精製をこの施設で行っています。精製したBDFは、区の清掃車に利用されているんですよ」

 廃油食品などから精製される燃料
精製の段階で、驚くほど透明になる
廃油食品などから精製される燃料
精製の段階で、驚くほど透明になる

ーー様々な事を手掛けていらっしゃいますね。
携帯電話などに含まれている、レアメタルなど耳にしますが、そのあたりは何かされていますか?
増田 「金属類の資源化事業を行っています。粗大ごみで集めてきたものの中に、扇風機とか炊飯器、掃除機などの家電製品が含まれていますので、それを分解し、それぞれの金属部品ごとに分けています。金属部品を分けて、それぞれをまとめ資源化事業者に引き渡したり、粗大ごみを簡易修理してリサイクルセンターに提供したり、これらの作業を資源循環センターで行っています。これらの売却収入や、先ほどのリサイクルセンターでの再利用家具の売り上げは、区の歳入となります」

いよいよ作業現場を見学!新しく命を吹き込まれる再利用家具たち

ーーこちらでは、何を行っているのですか?
増田 「粗大ごみの中から多少の補修で、『まだ使えるもの』を一次分別しています。
使えるものは、機能を復元します。係の中には大工の経歴を持った人材もいるんですよ。

 多少の補修ならこの施設で復元できる
こちらはタンスの引き出しを修理する様子
多少の補修ならこの施設で復元できる
こちらはタンスの引き出しを修理する様子
 金属部分のくもりや錆もこの通り
見た目には新品そのもの
金属部分のくもりや錆もこの通り
見た目には新品そのもの

ーー素朴な疑問なのですが、再利用家具の値段はどうやってきめるのですか?
増田 「再利用家具の価格は、展示販売しているリサイクルセンターで決められています。資源循環センターは、状態の良いもの、簡単な修理で再使用できることを第一に選別しています。たまに有名なメーカーの家具がでることもありますが、私たちはあくまでも状態と簡単な修理ができることを基本に、担当者が判断して再利用家具として、修理等を行っています」
ごみの全体量、練馬区の可燃ごみ・不燃ごみの量はみなさんが分別をしっかりしていただいていることもあり減っています。しかし、粗大ごみに関しては増えてしまっているのが現状です。長く大事に使う、というよりも安く買って変えていく、というスタイルや製品が増えているように感じます。
例えば昔は豪華な装飾のタンスなどを長期間使うこともありましたが、技術的な発展もあり、量販店などで比較的安価な家具を購入し、引っ越して間取りやイメージが合わないとその都度買い替える、という事が多くなっているようです」

ーー確かに、子どもの成長に合わせて家具を買い替えたり、というのは当たり前にありますよね。
増田 「そうです。また、成人して親御さんのもとを離れると、家具が不要になったり、住居自体のサイズを小さくする方も多いですから、生活スタイルに合った家具に買い替えることによって、
粗大ごみが出るという状況もあるのではないでしょうか。皆さんは、再使用できるものも増えているのでは?と思われるかもしれませんが、ここが難しいところでして、現代のニーズや流行に合わせて、安く、大量に作られているものもありますので、それらは作りが簡素になっている部分はあります。見た目はキレイでも、修理の手間をかけても使えるようにならないものが多いですね」

 これは全てごみでなく、ほんの一部の
再利用家具 それでもこの量というから驚き
これは全てごみでなく、ほんの一部の
再利用家具 それでもこの量というから驚き

修理する担当者も、障害のある方や高齢者の方の雇用をしているそう。修理の時間もかかりますので、ここに集まる粗大ごみの全部修理できる、というわけではないようです。ちなみに、H29年度では、およそ8300点の使用家具がここから出てリサイクルセンターで販売されたそうです。きちんと使えてきれいなものであれば、最近ではエコロジーの観点から、私たちシニア世代でも「人が使ったもの」という抵抗は、薄れている実感もあります。しかしこの広いスペースが年末年始には一杯になることを考えると、切実な問題として再認識されます。作業スペースには、何やら箱型の製品のようなものが沢山積み上げられています。

 何かわかるでしょうか?皆さんの家庭にも
必ずといっていいほどあるモノです
何かわかるでしょうか?皆さんの家庭にも
必ずといっていいほどあるモノです

ーーこちらは・・・?同じように見えますが、何のごみでしょうか?
増田 「電子レンジですね。皆さん普段、分解して中を見ることはありませんから、想像できないですよね。意外とたくさん出るんですよ」
ーー分別も細分化されていますね。家電製品の分解は、専門知識がいるのでしょうか?
増田 「ここで行っているのは大まかな分解ですので、技術者レベルのものではありません。ただもちろん、専門的なところで勉強をさせてもらい、ある程度の知識は得たうえで作業を行っています。分別と選別までをこの資源循環センターで行っていて、資源化事業者に引き渡されます。金とか銅とかに精製するのは、資源化事業者の領域です。資源循環センターでは区の指示のもとで、モーターや基盤、銅線などに分別しています。種類ごとに選別することで資源化事業者が再資源化しやすい状態にしています」私たちは何気なく「リサイクル」という言葉を使っていますが、実に細かく、また丁寧な作業で、使えるものとそうでないもの、ごみの中から再利用できる資源を取り出すなど、根気のいる作業をされています。


 例えば電子レンジから「モーター部」のみ
取り出して、まとめるなど細かな作業を行う
例えば電子レンジから「モーター部」のみ
取り出して、まとめるなど細かな作業を行う

増田 「区の資源化ルートに回せず残った粗大ごみは、東京湾にある23区の処理施設に運ばれます。処理施設ではまず大きなハンマーで砕いて、電磁力や風を使って金属やアルミなど分別し、リサイクルできる素材は極力取り出し、燃やせるものは焼却されます。それでも残った灰は、東京都が管理する埋め立て処分場で埋め立てられます」

処分場に黄色信号?!未来の私たちへの宿題とは

ーーひとつ気になりました。ごみの処分場は、いつまで使えるのでしょうか?
増田 「23区の埋め立て処分場は東京都が管理しています。その東京の埋め立て処分場の寿命、つまりいつまで使えるか、ですが、実はあと50年とも言われています。
『処分場の周りの海に埋めればいいんじゃないの?』と思っていませんか?
しかし湾の中側は船の航路になるので処分場をこれ以上広げることはできません。じゃあ高く積んじゃえば?というと、傍には羽田空港があります。飛行機の航路に影響がでます。高さの制約あるので、高く積み上げることもできません。
23区の最終処分場は今の処分場の大きさが限界で、これ以上伸ばせない状況なのです」


 23区全域のごみを埋め立てる事を考えると、
決して広くないことがわかる
23区全域のごみを埋め立てる事を考えると、
決して広くないことがわかる

23区のごみは、現状ここにしか捨てられませんから、どうやってごみを減らして埋め立ての寿命を延ばすのか?は私たち一人ひとりが考えなければいけない問題なのですね。
増田 「その通りです。50年の寿命の、その先のシナリオは、現時点ではないのです。これは未来への宿題という事になります。ですから小学校の環境学習などでも、ごみを減らす、要らないものは買わないなど、取り組んでいます」

“これから”を考える、私たちのはじめの一歩

増田 「ごみはなんといってもその『量』を減らすことが重要です。生ごみの重さの殆どは、水分なんです。ですから完全に乾燥させれば良いですが、水気を切るだけでも、かなり違います。生ごみは、さわりたくないと思うのですが、量とともに、生ごみ特有のにおいは腐敗臭です。水気を切ることで、においもかなり軽減されます」
練馬区では学校給食の食べ残しや調理くずを加工して「ねりまの大地」という肥料にして、再利用しています。昨今では、未開封の食品をそのまま家庭ごみとして出してしまうなど、手軽に買えるものを手軽に処分してしまっている現状があります。フードロスの観点からも改善したいですし、ごみ処分場の寿命を延ばすためにも、私たち一人ひとりが、ごみを減らす努力をしないといけません。日本は、モノを生み出すことへの技術はすごく発達している気がしますが、「捨てる」ことにも、もっと気をつけないといけない。私たちが出来る事から取り組みたいと感じました。

 最後に見学した施設屋上にて
美しい空やごみの無い空間で、
改めてごみ問題を意識します
最後に見学した施設屋上にて
美しい空やごみの無い空間で、
改めてごみ問題を意識します

サポーターの取材後記

豆柴
私たちは朝、集積所にごみ出しをすればそれで終わりと思っていませんか。練馬区は、23区で二番目に一人一日当たりのごみが少ないが、粗大ごみの実に19%はリサイクル可能という。とにかくごみを減らし、使えるものを出来るだけ使う、そして資源として再生利用する。電子レンジを分解し、金属の再生利用に向けて、黙々と作業をされる姿には頭が下がる思い。環境汚染で大問題の容器包装プラスチックの処理技術が進みリサイクル可能となったいまだからこそ、余計に分別が大事である。正直、何をどのように分別するか難しいが台所の生ごみの水切り、スプレー缶は使い切る、など、まずは配布されている小冊子で確認するなど区民として最低限の義務を果たしたい。区内には3万もの集積所があるとか。作業員の方、ご苦労様です。私も分別に一層協力をしたい。資源循環センターは確かに中継的な役割だが、極めて重要な施設と思った。見学は予約不要、皆さんも一度訪れることをお勧めする。
みずすまし
「粗大ごみ」「不燃ごみ」を処分する時、薄々「もったいない」と気が付いてはいたが、やむを得ず「ごみ」としてきた。今の住宅事情では、不要になった物を保存するスペースも少なく、また、次々と出てくる「便利」「新しい」の言葉につられ、物を購入する習慣が身につき、我が家には「粗大ごみ」「不燃ごみ」が溜まり続けている。この不要になった物を、「リサイクル品」や「有用な資源」へと循環させている事業所を訪ね、環境への負担を低減している施策を肌で感じ、頼もしく思いました。これからの生活の中で、「ごみを出さない」生活スタイルも重要だが、すぐ出来る事として、作業に従事している方々が、安全で効率の良い仕事が出来る様、また、再利用される方々へのバトンタッチを思い、不用品を出すときには、「分別」「綺麗」に一層気を付けて行きたいと思う。

サポーター紹介