サポーター体験記
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地域の新たな憩いの場、武蔵野音楽大学「音楽」をもっと気軽に生活に取り込もう!

地域の新たな憩いの場、武蔵野音楽大学
武蔵野音楽大学コンサートホールのエントランス
奥に二つの大型コンサートホールを備える
突然ですが、「音楽大学」ってなんだか憧れませんか?
私たちの生活に潤いを与えてくれる音楽を、学業として学び、技術を研鑽する学生たち。
道で見かける姿も、なんだか大きな楽器ケースを抱えていたりと
クラシック音楽の雰囲気も相まって、男女問わず奥ゆかしさすら覚えます。
練馬区江古田にある、武蔵野音楽大学。
なんと今回は、特別に学生コンサート出演直後の学生さんにもインタビュー。
どんなお話しが聞けるのでしょうか?

武蔵野音楽大学

取材ご担当:演奏部演奏課 課長 二瓶 武廣さん
※以下、文中敬称略。

名称
武蔵野音楽大学
所在地
176-8521 東京都練馬区羽沢1丁目13番1号
電話
03-3992-1121(代表)
URL
http://www.musashino-music.ac.jp/

当時としては最先端の工夫!歴史的な価値も高い、 ベートーヴェンホール他、施設の歴史を探る

武蔵野音楽大学は、昭和4年(1929年)にここ練馬区で創立されました。創設者は福井直秋(ふくいなおき)氏で、当初は彼を慕う教員と学生とで新たな学校として始まりました。「武蔵野音楽学校」という校名で創立当時は木造二階建ての校舎だったそうです。
その頃のエピソードを、自らもこの学校の卒業生であり、トロンボーン専攻卒業で、現在は、演奏部演奏課課長として学生指導にもあたる、二瓶さんに聞いてみました。

 素人の私たちにも分かり易く音楽の知識を
説明してくださいました(二瓶さん)
素人の私たちにも分かり易く音楽の知識を
説明してくださいました(二瓶さん)

二瓶 「まだ私が入学する、はるか前の話、、、なのですが。創立当初は現在のように音楽の教員資格も取得できるような学校ではなく、純粋に西洋音楽を学ぶ場所でした。沿革を簡単にご説明しますと、昭和24年(1949年)に日本で初めて、私立の4年制音楽大学として認可されます。武蔵野音大の翌年に、現在の国立音楽大学が認可されました。昭和48年(1973年)に入間キャンパスで附属高校が認可、設置されました。昭和51年(1976年)には音楽学部一部(当時は音楽学部の一部、二部、短期大学の一部、二部に分かれていた)の一年生が、初めて入間キャンパスで学ぶことになりました。昭和50年代は、郊外にサテライトキャンパスを建設するブームでして、世の中全体もそんな状況で、良く言えば発展・拡大の時期だったのです。ここから、おおよそ現在のスタイルに近づき、ついこの間の平成28年(2016年)までは入間キャンパスを使用していました」

―――ここ江古田の新キャンパスは、かなり近代的で機能的な建物のようですが、建物の歴史についても少し、教えてください。
二瓶 「はい。昭和30年(1955年)に、旧江古田キャンパスである、鉄筋四階建ての1号館が完成します。この建物は平成28年(2016年)までずっと使用していました。次いで2~6号館、モーツァルトホール(7号館)、8、9号館と増築されます。今使用しているベートーヴェンホールは、昭和35年(1960年)に建設されたのですが、ここは日本で初めて、専門的に音響設計されたコンサートホールでして建築の面でも、大変に歴史的な価値があるものなのです・・・。と言いますのも、昔は、今のようにコンピューターで音響設計などができるわけではなく、舞台での響きや、楽器・声の音の高低なども考慮しての設計は、現在と比較にならないくらい地道で、根気が必要な作業だったはずだからです。ホールの建築も含め、段々と拡張していくキャンパスは、まさに江古田の街とともに成長していった、といっても過言ではないでしょう。私も当時、武蔵野音楽大学の学生でしたから、どんどん大きく、また充実してゆく校舎にワクワクしたのを覚えています。では、建物の話がでましたので少し、キャンパスの中をご案内しましょう」

いざ学内見学へ!武蔵野音楽大学の中身をご紹介

いざ学内見学へ!武蔵野音楽大学の中身をご紹介 渡り廊下を超えるとレッスン室です
学生は週一回のレッスンを受け、進捗をチェックされるのです
渡り廊下を超えるとレッスン室です
学生は週一回のレッスンを受け、進捗をチェックされるのです
 順にコーラスホール、オーケストラホール、モーツァルトホール
壁の作りが異なっていることに気づきますか?
順にコーラスホール、オーケストラホール、モーツァルトホール
壁の作りが異なっていることに気づきますか?
 ベートーヴェンホールでは、日本のマリンバ奏者の第一人者である
高橋美智子さんがプロデュースするコンサートの練習風景が
(奏者は武蔵野音楽大学の先生です)
ベートーヴェンホールでは、日本のマリンバ奏者の第一人者である
高橋美智子さんがプロデュースするコンサートの練習風景が
(奏者は武蔵野音楽大学の先生です)
 ショパンプロムナード ショパン、コダーイ、ベートーヴェンの胸像があり、
ホールまで続く道で音楽に想いを馳せられるような作りになっています
ショパンプロムナード ショパン、コダーイ、ベートーヴェンの胸像があり、
ホールまで続く道で音楽に想いを馳せられるような作りになっています

、、、ほかにも、リストプラザ、と名付けられた中庭は、音楽の詩人と言われたリストにあやかっており、多方面に交流が広かったリストのそのチャレンジ精神や、他者を受け入れる感性を持ってほしい、と、学生たちへの願いを込めて作られているなど、学内随所にセンス溢れる施設が揃っています。

新しくてキレイなのはもちろん、機能面も大変素晴らしい施設です。練習室などは普段の生活では殆ど関わりがありませんので実際に足を踏み入れると、驚きや緊張やらで、ただただ感嘆の声が出てしまいます。さて、まもなくコンサートが始まりますが、音楽は素人の私たち。初心者のために、「音楽の楽しみ方」のアレコレを教えていただきます。

二瓶 「そうですね・・・。ではまず、音楽の演奏形態から説明しましょう。まず『ソロ』があります。分かり易いのはピアノとかヴァイオリンのコンサートですね。一人で演奏する形式です。次に『室内楽』という言葉を聞いた事はありますでしょうか?これは、2~15名くらいまでの人数規模の形式を指します。もう少し人数の規模が大きくなると『室内管弦楽』という名称・形式となります。音楽の授業でも習う、有名なハイドンの交響曲などは、殆どこの規模の編成で作曲されています」

「音楽を歴史的な観点でごく端的に解説しますと、バッハやベートーヴェンの時代は『バロック~古典派』、ベートーヴェン以降は『ロマン派』と呼ばれており、この時代以降は作曲家が生み出す音楽も、より壮大で豊かなものになってゆきます。ロマン派の有名曲で言えば、ムスログスキー作曲の『展覧会の絵』があります。もともとはピアノ組曲でしたが、管弦楽への編曲版が分かり易いです(ラヴェル編曲)。主題と呼ばれるプロムナードのメロディ(二瓶さんが口ずさみます。ターターター、タラタータラターター、ターターター)・・・これは絵を見る前の作曲者の期待感を現していると私は思います。絵を見る前の気分や見た後の気持ちを同じメロディが形を変えて表現されているんですよ。音楽用語では主題やテーマと呼ばれるのですが、例えばトランペットソロから、バイオリン、はたまた管楽器など、楽器を変えて演奏されたり、今度は違う主題が出てきたりと、様々な形で音楽に深みを出していくのです。展覧会の絵の編曲版では、文字通り絵画のように鮮やかで、作曲家・編曲家が表現できる幅や奥行が広がったのです。

展覧会の絵に限らず、オーケストラの名曲にはこのように思わず口ずさんでしまうような、いいメロディが必ずあると思います。オーケストラの楽曲は難しいイメージがあるかもしれませんが、例えばこのように好きなメロディの部分をCDなどから探してみるのも楽しみ方の一つではないでしょうか。万人に愛される、よいメロディを生み出した作曲家は例外なく偉大な作曲家たちと言えるでしょう」

―――楽しみ方のイメージが沸きますね。実際にコンサートに行く場合、音楽鑑賞のルールやマナーはどんなものがあるのでしょうか。
二瓶 「まず第一に、開場時間に余裕を持っていらして欲しいと思います。大抵の場合、コンサートは開場時間と開演時間には30~1時間程度、開きがあると思います。ぜひこの『開場時間』に来てほしいのです。なぜかと言えば、ギリギリに来られますと、純粋に音を楽しむ心の準備ができないからなんです。ご自身も息を落ち着かせたりと大変でしょうが、周りのお客様にも焦る雰囲気は伝わってしまうものなのです。また、クラシックの演奏会では、未就学児のご入場を禁止している場合も少なくありません。そのくらい、演奏前の雰囲気や時間は重要なものなのです。ゆったりとした気持ちでいらしていただければ、音楽もよりゆったりと楽しめるはずですから。それから、オーケストラの曲は、殆どの場合3~4楽章で構成されており、1楽章だけで演奏が終わる、というケースはあまりありません。ですので、どれだけ盛り上がっても、あるいは素晴らしい!と感動しても、1つの楽章が終わったところで思わず拍手をするなどは、本来マナー違反です。できれば事前に、CDなどで学習しておくと、ご自身の聞きどころや先ほどの主題の変化など、また違った楽しみ方もできると思います。服装に関しては、あまり堅苦しく考える必要はないですが、靴以外の、たとえばサンダルやスリッパなどでの鑑賞はNGと考えてください」    

・・・そろそろ、定期に行われる無料コンサートが開演します。二瓶さんに教わった通り、「場の雰囲気」を壊さないように、早めにホールに向かいましょう。

 ブラームスホール
平日にも拘わらずシニアの姿も多く見られた
ブラームスホール
平日にも拘わらずシニアの姿も多く見られた

5つの別の楽器が織りなす、一糸乱れぬアンサンブル 演奏者の素顔に迫ります

5つの別の楽器が織りなす、一糸乱れぬアンサンブル 演奏者の素顔に迫ります 左から宮原さん、菅田さん、金子さん、
高橋さん、箕輪さん
左から宮原さん、菅田さん、金子さん、
高橋さん、箕輪さん

本日は、江古田キャンパス内にあるブラームスホールにて、室内楽演奏会が開催されました。
全てここで学ぶ学生たちによる演奏です。無料の学生演奏会といっても、学内での選抜オーディションを突破しないと演奏の機会が与えられませんので、一定以上のレベルに達している演奏です。プログラムは弦楽四重奏、弦楽五重奏、木管五重奏、金管五重奏が行われました。
素晴らしいホールでのコンサートの感動が冷めやらぬ中、まさに先ほどまで演奏をされていた学生の皆さんにお越しいただきました。
(宮原さん/ファゴット:3年、菅田さん/クラリネット:4年、金子さん/オーボエ:3年、高橋さん/ホルン:4年、箕輪さん/フルート:4年)

―――素晴らしい演奏をありがとうございます。いくつかお話を聞かせてください。このグループにはリーダーのような存在はいらっしゃるのでしょうか?また、今日の楽曲はどのように決めたのですか?

菅田(クラリネット)&宮原(ファゴット)「いいえ、リーダー、というのはいません。楽器を構えて始める合図を出す役割のメンバーはいますが、これも選んだ曲によって変わります。演奏する曲は自分達で相談して決めます。そもそもこの五重奏用につくられた曲は、他の形式と比べれば、曲数が少ないので、自分達のレベルや、お客さまに聞きやすい曲などを吟味しますと、だいたい曲目は絞られると思います」

 中央の金子さんのように、将来演奏家として
活躍したい強固な意思を持つ学生も多い
中央の金子さんのように、将来演奏家として
活躍したい強固な意思を持つ学生も多い

――皆さんはどんなきっかけで音大に入られたのですか?また、今後について何かあれば教えてください。
箕輪(フルート)&高橋(ホルン)「私は吹奏楽部に興味を持ったことがきっかけですね。先輩に憧れていまして、絶対フルートがやりたい!と、中学から始めました。オーケストラも子供のころから普通に鑑賞していました。楽器のホルンは、当初は希望ではありませんでしたがやり始めるとハマってしまい、好きになってしまいました(笑)」

金子(オーボエ) 「ヴィルトゥオーゾコースの私は、将来は海外の楽団に入って、演奏家として活躍したいと思っています。そのために留学も計画しています。今は音楽の勉強とともに、語学ももっとレベルアップをして、備えているところです」

皆さん、形は違っても音楽へのあこがれからこの世界に入り、小さなころからピアノや個人のレッスンに通われていたのですね。私たちの青春時代と比べてもみても、このひたむきな努力には、感動を覚えます。
二瓶さんは会話の中で、「コンサートは学生たちが、ステージに臨む気持ちとお客様と対峙する緊張感を経験させるため」とお話しもされていましたが、素晴らしい技術と感性を持つ若い力を、コンサートの鑑賞という形で応援できるのは、練馬区に住む私たちにとっても、ありがたいことだなと感じました。
無料で気軽に楽しめるコンサートも多数開催されていますので、まずは気軽に音楽を楽しむお出かけをしてみてはいかがでしょうか?
→詳しくは、武蔵野音楽大学ホームページ/学生・卒業生によるコンサートをご参照ください。
http://www.musashino-music.ac.jp/concert/students/

 最後に、記念撮影です 学生の活躍を
コンサート鑑賞で応援しましょう!
最後に、記念撮影です 学生の活躍を
コンサート鑑賞で応援しましょう!

サポーターの取材後記

みずすまし
過去、CDや他のメディアで多くの音楽を聴いてきました。今、改めて思うと、これは『音楽という完成した商品を聞く楽しみ方』だったと思います。音楽を学び、育て、成果を披露する空間を訪ね、音楽の楽しさと、コンサートを開催する迄の、教育・努力等、言葉にはできないエネルギーを強く感じました。その様な情景を思い浮かべながら聴くのもまた、『音楽』の違う楽しみ方だと思います。また、武蔵野音楽大学の無料コンサートは、気の向いた時に、生演奏を気軽に楽しめるのが大きな魅力です。今後も音大生の演奏するコンサートに出かけようと思いますが、その時は今回体験した感激を思い出しながら、開始の時を待ちたいと思います。日頃の疲れを忘れ、「さあ!音楽を楽しみましょう」。
KKK3
音大は私にとっては何かと縁があるのですが、武蔵野音楽大学の新キャンパスができてからは初めての訪問でした。ベートーヴェンホールをはじめ各ホールの音響効果は素晴らしいですね。私は30数年前にフルート教室に通っていましたが、上達にはほど遠く、仕事にかこつけて辞めてしまいました。学生の話を聞いて懐かしくなり、家に帰ってからフルートを引っ張り出して吹いてみたのですが、フルートの音とはとてもいえません。そこで実に20数年ぶりにフルート教室の先生に連絡を取りましたら、もう教室は閉じたとのこと。残念でしたが、懐かしのあまり話は尽きなく、取材が再び縁を結びつけてくれたようにも思えます。あの頃を思い出させてくれた取材でした。感謝感激!

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