サポーター体験記
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年末年始、救急車の出動件数が急増! 『入浴中のおぼれ、転倒、窒息・誤飲』 ~あなたは知っていますか?もしもの時の応急手当~

年末年始、救急車の出動件数が急増! 『入浴中のおぼれ、転倒、窒息・誤飲』
区民の安全を守るヒーローである消防
隊員、彼らを支えるポンプ車両前にて、
迫力が違う
寒い季節になると、高齢者が自宅での事故で救急搬送されるニュースを耳にします。
※65歳以上の方
中でも入浴中のおぼれは冬場に特に多いそうで、救出後も実に8割以上の方が重症以上と診断されている事を東京消防庁のホームページで知りました。
また、高齢者に多い事故は何と言っても「ころぶ」事故で、昨年1年間の65歳以上の方の救急搬送件数7万6889人のうち、約7割を占めています。特に地面が濡れていたり凍っていたり、雪が降った日は注意が必要ですが、危険なのは外に限ったことではありません。いざという時の応急手当、また対策や予防策など、年末年始を迎えるこの時期だからこそのお話を、消防署に聞いてみました!

東京消防庁 光が丘消防署

予防課 防火管理係長 田中 信さん
予防課 防火管理係主任 保坂 未樹さん
警防課救急係長兼光が丘二部大隊長 富塚 龍二さん

所在地
〒179-0072 練馬区光が丘2-9-1
電話
03-5997-0119 (内線520)
URL
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hikarigaoka/index.html
(東京消防庁 光が丘消防署のページ)
※以下、文中敬称略

事故の現状を知ること 消防署が発行する冊子やサイトを賢く利用し、正しい対応を知ろう

事故の現状を知ること 消防署が発行する冊子やサイトを賢く利用し、正しい対応を知ろう 浴室などの事故は決して他人事ではない
防止のヒント現状についてヒアリングする
浴室などの事故は決して他人事ではない
防止のヒント現状についてヒアリングする

―――早速ですが、ニュースでも見たのですが、自宅における浴室での事故について、教えてください。

保坂「はい。まず昨年1年間で65歳以上の方のうち、溺れる事故により527名の方が救急車で搬送されています。救急搬送件数だけで見ると全体の1%にも満たない数ですが、527名の方のうち、98.7%が中等症(※)以上となっています。
注意点としましてはいくつかありますが、体調不良の時は風呂に入らない、脱衣所と浴室の温度差には注意いただければと思います。冬場の寒い時期であれば、夜に入浴することにこだわらないなどの工夫も必要です。日中の比較的温かい時間帯に入ることで、浴室と脱衣所の寒暖差が少なくなりますので」※中症等・・・生命の危険はないが入院が必要な状況のこと

―――なるほど。そういう広報はどのくらい積極的にご案内しているのでしょうか?

田中「東京消防庁では、ホームページ等に浴室で滑る、またお正月に多く発生するお餅の窒息・誤嚥などを『日常生活における事故情報』というページでご案内しています。案内方法としましては、(サイトのコピーを見せて)『ストップシリーズ』と題しまして、入浴中の転倒、おぼれ、窒息、夏の時期であれば熱中症などが、多い事故としてまとめてあります。この他にも練馬区には福祉施設や高齢者関連の施設も数多くありますので、消防訓練などのタイミングで私たち職員が出向いた際に、利用者の皆さんにご案内や注意喚起を行っています」

 予防課の保坂さん 体力的にも
厳しい訓練を経て消防官に
予防課の保坂さん 体力的にも
厳しい訓練を経て消防官に

―――では、「どうすればこれらの事故が防げるのか」あるいは「万一起きた場合の対応」についても教えてください。

保坂「はい。皆さん良くおっしゃるのは、例えばテレビのバラエティ番組や友人同士の会話で、『こういう場合、こうすればいい』と耳にするが、これが果たして合っているか不安であると。正しい知識をお知りになりたい、という方は多いと思います。例えばお餅が喉に詰まった時、背中をたたくと良い、という認識があると思いますが、咳ができる状況であれば、まず咳をしていただきます。できない状況で、窒息しているのであれば、背中を強くたたく、これは背部叩打法(はいぶこうだほう)、というのですが、その流れなどのご案内を、冊子などでしています。
他にも、自衛消防訓練や応急救護訓練、救命講習などで合わせてご案内しています。参加者の年齢層に合わせて必要な情報を案内することに努めています。防ぐポイントとしては、食べものを小さく切る、ゆっくり食べる、飲み物を用意して喉を湿らせる、できればご家族やご友人と一緒だと、さらに安心ですね」

 STOP!高齢者の「窒息・誤飲」(東京消防庁ホームページより)http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/stop/stop-old03.html

AEDはどこにある? 講習を受けていない方にこそ、その使い方を知っていてほしい

―――入浴中のおぼれ、転倒、窒息や誤嚥など目の前で見ている時にわかるものは、対処ができるような気がしてきました。
そうでない場合、例えば家に帰ったら、急に誰かが倒れていた、なんて時はどうすれば良いのでしょうか?

富塚「まずは声をかけて、肩を叩いてみて、意識や呼吸の有無を確認してください。反応がない場合はすぐに救急車を呼びましょう。次に気道確保を行ってください。息をしていても、体勢がおかしく苦しそうであれば気道確保をお願いします。

また、呼吸をしているかが大切です。この時、普段どおりの呼吸をしていなければ、頭を打っていても胸を打っていても心臓マッサージが必要になるので、あおむけにしてあげると良いでしょう」

 【命を救う応急手当より/東京消防庁発行】
AEDはこういったガイド冊子だけでなく、
実際の機器から音声で手順が案内されるものも
【命を救う応急手当より/東京消防庁発行】
AEDはこういったガイド冊子だけでなく、
実際の機器から音声で手順が案内されるものも

―――AEDの存在を知っていても使い方が分からない人は多いと思いますが、講習などの需要はあるのでしょうか?
また、例えばの話ですが、AEDは個人で購入することはできるのでしょうか?

富塚「AEDの訓練をしてほしい、という要望は多いです。普及当初に比べると、だいぶ認知されて、使い方も広まっていると思います。しかし講習などに参加される方は、そもそも熱心なので、逆に興味をもたない方への呼びかけや広報が大切と思っており、継続しています。
AEDは公共施設などには基本的に設置されていますが、実は設置の基準はありません。また報告の義務もありませんから、消防署で練馬区にある一台一台を把握することが難しいのです。東京都や区のホームページでは「AED」と検索すると一覧を見ることができます。
ちなみに、AEDは購入することもできますが、それなりの価格になります。また定期的なメンテナンスも必要になりますので、
警備会社等からのリースが一般的ではないでしょうか?使い方は非常に簡単でどなたでも使えます。中に説明も書いてありますし、音声メッセージで使い方を教えてくれるので、そのとおりに扱ってください」

「AEDの講習に関しましては東京防災救急協会のサイトで日程や詳細情報が掲載されています。ご参加に年齢などの制限は特になく、普通と上級など、講習の区分にもよりますが、土日の講習もしています。学校では避難訓練と並行して講習会を実施していることもあります」

 AEDの案内(東京都福祉保健局ホームページより)http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kyuukyuu/aed.html
 AEDの案内(練馬区ホームページより) https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/iryo/aed/aed.html
 サポーター体験記(シニアナビねりまより) https://snavi-nerima.jp/supporter/detail.php?id=sprepo179

 消防と救急による連携した回答は、まるで
現場のスムーズなチームワークを彷彿させる
消防と救急による連携した回答は、まるで
現場のスムーズなチームワークを彷彿させる

家庭内・家族で救える命もある 日常のわずかな慣れや気のゆるみに注意が必要

―――出動の回数について教えてください。年間ではいつが多いのですか?冬が多いイメージなのですが。

保坂「主に夏と冬の時期となります。特に今年は暑かったので、熱中症にかかる方、体調を崩される方が多かったです。
H29年では12月が一番多くて、全体13万6213件の出動回数のうち、1万3119件、次いで1月、7月、10月は1万2000件前後と、多かったです」

―――その中で自宅での事故も多いと聞きますが、毎日暮らしている家なのに、家の中でつまずいてしまうのはなんだか不思議な感じがします。

保坂「例えば布団や座布団などは認識として、段差と思わないこともありますし、着衣のサイズが合わない、つまりズボンのスソを引きずるなどのケースも多いんです。ですから、こういったケースで転倒されてしまう方は、必ずしも高齢な方だけではなく、65歳くらいから、など決して特別なことでは無いのです。ただ、昨年1年間で転倒により救急搬送された方の年齢のグラフを見ますと、75歳くらいから83-84歳がピークにはなっていますから、やはり注意は必要ですね」

 予防課係長田中さん 最新の機器や
緊急時の具体的な対応を説明いただく
予防課係長田中さん 最新の機器や
緊急時の具体的な対応を説明いただく

―――家族や夫婦など誰かが居れば安心なのですが、一人暮らしの場合の非常事態はどのように対応すればよいのでしょうか?

田中「はい。これは一定の条件に合致した場合なのですが、『緊急通報システム』と言いまして、例えば、ペンダント型の通報機器のボタンを押して通報が出来るような制度もあります。(※詳細は練馬区サイト『高齢者在宅生活あんしん事業』を確認
https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/koreisha/hitori/zaitakuseikatusien.html
区の事業ではあるのですが、私たちも区と連携して最新の情報を手に入れるようにしています。意外と知られていないだけで、現代における様々なライフスタイルに合わせたツールが用意されています。

ほかにもこれは、東京都で発行している資料なのですが、スクワットや柔軟体操など『体を動かしてみよう』という案内もありますし、ヒヤリハットレポートなど、怪我予防の呼びかけも行っています。光が丘消防署内でも特に件数の多い、転倒事故に関しては、独自にチラシやツールを作成し、各施設に配布したり、防災訓練時、講習会などで積極的に案内をしています。
光が丘消防署のホームページでも、随時情報を掲載しています。
※URL:http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hikarigaoka/index.html
当然、区とも連携してますので、各種情報については、消防署だけ・区だけと決めず、複合的に確認するのも良いかもしれません」

―――具体的な話なのですが、私は家族二人暮らしです。例えば、私よりも大きな男性がお風呂で溺れかかったら、どう対応すればよいですか?

富塚「まずはお湯を抜くのが先決ですね。焦って無理に抱えたりしますと別の事故を誘発することもあります。
そのあとは、心臓マッサージです。その方の体勢にもよりますが、マッサージができない体勢であれば、ご近所さんなどに応援を要請し、寝かせてから、速やかに処置をすることをお勧めします。
ケースバイケースですが、一人で対応できないことが多いので、冷静に人を集めることも重要です。
もちろん、近くにAEDがあれば持ってきてもらう、また浴室は床が濡れていることが多く、AED使用の際は、感電する可能性もありますので、床を拭くなども救護活動の一部です。

 【命を救う応急手当より/東京消防庁発行】
救命の可能性を表す曲線 実際に見ると
時間とともに急激に低下することがわかる
【命を救う応急手当より/東京消防庁発行】
救命の可能性を表す曲線 実際に見ると
時間とともに急激に低下することがわかる

心臓マッサージを続けることはとても重要でして、カーラーの救命曲線、と言って、例えば心肺停止状態から2分以内に処置を行えば、蘇生率(助かる可能性)が50%以上になる、というデータがあります。
これは4分になると、30%まで落ち込むなど、わずかな時間の差が生死を大きくわけることになりますので覚えておいていただきたいです」

―――119番通報をしてから、救急車が現地に到着されるまではどのくらいに時間がかかるものなのでしょうか?

富塚「出動は、連絡(指示)が入ってから1分以内が基本なのですが、現場までの到着は、東京消防庁ですと、
平均時間7分19秒となっています。電話でお尋ねすることは決まっています。
 1.まず火事なのか救急なのか
 2.次に消防車が向かう住所
 3.状況の確認
という流れになっています。
ご自身では怪我や事故の程度が軽度のものかあるいは重症なのかは分からないと思います。
もしご判断の余裕があるのであれば、『#7119』にお電話いただくと、『救急相談センター』に繋がり、医師や救急隊経験者などが病院のご案内や、症状を聴いたうえで、救急車を呼ぶべきか、判断します。

他にも、設問に従って回答することで、すぐに救急車を呼ぶべきか判断できる冊子やWEB情報も用意しています。
『東京版救急受診ガイド』で検索するとご覧頂けますので、一度インターネット等でシミュレーションしておくと良いかもしれません。どんな時に救急車を呼ぶべきか、1回でも事前に把握しておくと、安心です」

―――救命関連と少し離れてしまうかもしれませんが、冬場の乾燥など、この時期に特に注意すべき点などがあれば、教えてください。

 【電気火災って知っていますか?/東京消防庁発行】
長年、大事に使うことはとても大切だが
事故を引き起こす可能性も考慮しておくべき
【電気火災って知っていますか?/東京消防庁発行】
長年、大事に使うことはとても大切だが
事故を引き起こす可能性も考慮しておくべき

保坂「冬場は火災多発期、として消防署でも警戒しています。光が丘消防署管内では、平成29年中の火災は電気機器が原因で発生した火災がもっとも多かった、というデータがあります。電気ストーブに布団や洗濯物が触れたり、コンセントの差し込みプラグにホコリがたまって火災につながるケースも増えています。最近では電子レンジの温めすぎによる火災も多いです。時間を設定せずに、自動設定のままうっかり放置してしまいますと、水分の少ない野菜や、肉まんなどから火事になる、ということもあるんです。

もちろん、電気ストーブなどは普通に使っていれば安全ですが、電気はクリーンや安全というイメージが強いのでそこが落とし穴なんです。洗濯物がかぶさったり、乾いて軽くなり落ちてきたりすることもあるので、近くに燃えやすいものを置かないよう注意が必要です。
これから大掃除の時期ですから、電気のコンセントも抜いてみて、ホコリを取り除くなども注意してみてください。
長年愛用している家電はどうしても劣化していきますから、点検やメンテナンスもきちんと行うことをお勧めします」

命を救いたい、 訓練も講習も、その強い思いが原動力となる

命を救いたい、 訓練も講習も、その強い思いが原動力となる 警防課救急係長の富塚さん 緊急時にも
常に区民の立場を意識していると語る
警防課救急係長の富塚さん 緊急時にも
常に区民の立場を意識していると語る

―――最後に光が丘消防部隊からお知らせがあれば、教えてください。

富塚「救急隊からのメッセージですが、救急隊の想いはたった一つ、命を救いたい。これだけです。光が丘の救急隊が心がけていることとして、『常に病気の方、怪我の方、またご家族の立場に立って活動する』ということです。有事の際に、傷病者と接する時間はごくわずかなのですが、その瞬間瞬間を思いやりの気持ちをもって活動していくことを大切にしています。

救急隊から、経験を活かしたアドバイスとしては『お薬手帳』があります。ご本人が効能やその目的を正確に把握せずに薬を服用しているケースが意外とあるのです。お薬手帳には大変重要な情報が書いてあり、そこから病歴や処方をたどることもできますので、普段から意識して携帯、あるいはわかる場所に置いておく、などはぜひお願いしたいです。それから、ご家族と離れて住まれている方は、ご家族の連絡先も携帯してほしいと思います」

「また、地域で行う防災訓練などは、訓練の知識や経験そのものももちろん大事なのですが、人と人との繋がりができることもとても重要です。緊急時、一人でも多くの命を救うために、地域の様々な活動にもぜひ積極的に参加いただきたいと思います」


緊急時に駆けつけてくれる救急隊の姿勢や働き方に感銘しました。安心して頼りにすると同時に、普段からできる予防や横の繋がりは意識しなくてはいけない、という事をまざまざと感じる取材となりました。

サポータの取材後記

☆トコちゃん☆
今まで年末年始の事故多発のニュースを他人事の様に見ていました。お話を伺い事故が起こった時をいろいろ想定すると、これは他人事ではない、応急手当、AEDの場所の確認、ご近所さんとのお付き合い等、私には事前に準備する事がいっぱいあると思いました。
日々、私たちの命を守るために頑張ってくださっている隊員の方々、本当にありがとうございます。
KKK3
毎年年末・年始になると、お年寄りがお餅を詰まらせて死亡するニュースを耳にします。そのたびに、「また事故だ。食べなければいいのに」と言うと、家族から「そうは言ってもお年寄りはお餅が好きだし、美味しいからね」などと言い返されます。ちょうど1年前に、近所でお餅を詰まらせて搬送されたお年寄りがいました。幸い命は助かりましたが、それは家族がいたからです。死亡するのは独居か老夫婦が多いと言うことでした。ぜひ皆さんも近隣の方に、お餅を詰まらせない、おいしく食べる方法をご教示してください。今回の取材で、消防署員の「常に家族の立場に立って、思いやりを持って対応することを心掛けている」ことに感服します。

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