サポーター体験記
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認知症を防ぐために今日からできること〜認知症予防出前講座 有楽ねりま〜

認知症を防ぐために今日からできること
「最近、物忘れがひどくなってきた気がするけど、認知症の始まりかしら?」…そんな疑問が頭をよぎったことのある方は多いのではないでしょうか? 認知症は、日頃の生活習慣や食べ物、運動などにより発症を遅らせることができると言われています。出前講座で認知症予防の啓発を展開しているボランティア団体「認知症予防出前講座 有楽ねりま」を取材し、“今日からできる認知症予防”についてお聞きしました。

認知症予防出前講座 有楽(うらく)ねりま

代表
小野 すみ子(おの すみこ)さん
電話
03-3931-3448

脳の認知機能を鍛えるプログラムを体験!

やってきたのは、はつらつセンター豊玉で行われている「心と体の若返り〜健康長寿はつらつまつり〜」。この中の公開ステージプログラムで、「有楽ねりま」による認知症予防出前講座があると聞き、さっそく参加してみました。

 高円寺の「和楽連」の皆さんが阿波踊りを披露してくれました
高円寺の「和楽連」の皆さんが阿波踊りを披露してくれました

まず登場したのが、阿波踊りの踊り子さんたち。会場に集まった参加者たちも、一緒に手や足を動かしながら「ヤットサー」の掛け声に合わせてノリノリに! 阿波踊りは、有酸素運動をしながら仲間と一緒に踊るので、認知症予防には有効なんだそうです。

おそろいの黄色いTシャツを来た「有楽ねりま」のメンバー6名が、その後も次々とテンポよくプログラムを展開していきます。独自に考えた脳トレ体操やクイズゲーム、『あんたがたどこさ』の歌詞の「さ」を発音しないで、その代わりにももをタッチしながら歌うなど…。とにかく楽しくて、気付けば思わず夢中になっていました。

 右手と左手が違う動きをすることで頭と体を同時に鍛える「脳トレ体操」
右手と左手が違う動きをすることで頭と体を同時に鍛える「脳トレ体操」

参加者の平均年齢は、70代前半くらいでしょうか。笑い声や、「あ〜間違えた!」の声を上げながら積極的に体操やゲームに取り組み、あっという間に30分の講座が終了しました。最後に全員で歌った『認知症予防の歌』は、日常生活で心がけるべきポイントが簡潔に歌詞になっているので、覚えておけば役に立つこと間違いなし!

 『認知症予防の歌』の1 番〜3 番の歌詞。有楽ねりまの作詞作曲で、6番まであるそう
『認知症予防の歌』の1 番〜3 番の歌詞。有楽ねりまの作詞作曲で、6番まであるそう

こういったプログラムや歌などをすべてオリジナルで作っているという「有楽ねりま」は、いったいどんな団体なのでしょうか。

“楽しく、分かりやすく”をモットーに

「メンバーは60代後半から80代まで10名。全員、練馬区主催の認知症予防推進員養成講座の修了生です。平成17年にスタートした講座の修了生たちが、グループに分かれ、認知症予防推進員としていろいろな活動を行っていました。その中で、『認知症予防推進員の会有楽ねりまミニ講座グループ』として発足したのが、この会の始まりです。平成22年から現在の名称に変わりました」と、説明してくださったのは、代表を務める小野さんです。

 平成30 年4 月から代表を務める小野すみ子さん
平成30 年4 月から代表を務める小野すみ子さん

「有楽ねりま」の活動は、認知症への理解を深め、“認知症予防のために今日からできること”を、わかりやすく伝えるのが目的。そのために、地域の敬老館やデイサービス、地域包括支援センター、高齢者向けの集まりやイベントなどに出向いて、出前講座を行っています。練馬区内全域から年に20回ほど講座の依頼があり、2人1組で1時間〜1時間半の講座を担当するのが一般的だそう。

 練馬区発行のパンフレット「認知症に強い脳を作ろう!」
練馬区発行のパンフレット「認知症に強い脳を作ろう!」

「私たちの活動の基本理念は、練馬区が発行している認知症予防のパンフレット『認知症に強い脳を作ろう!』に基づいています。啓発活動をしているとはいえ、専門家ではないので断定はせず、この内容を正しく伝えるのがミッションです」

最大の特徴は、“楽しくなきゃ続かない!”との思いから、参加しながら楽しく認知症予防に取り組めるような工夫を凝らしている点です。

「次はどんな企画にしようか考えるのは楽しいですね。参加者の反応や会話の中から学ぶことも多く、うまくいった時は本当にうれしい! また、区で年に1回開催している研修を受講したり、講演会に参加したり、各自ウォーキング講座や体操教室などに参加してアイデアやヒントを得たりと、みんな常にアンテナを張っているので、この活動自体が認知症予防になっているんじゃないかしら(笑)」

 メンバーの皆さんで記念撮影!
メンバーの皆さんで記念撮影!

実務に関しては、メンバーそれぞれの得意分野を生かして、企画、音楽、脳トレ、パワポで資料作りなど、役割分担をしているとのこと。活動を始めたきっかけは、「父の認知症を経験したので、もっと勉強したくなった」「主人の兄弟が高齢なので、これから知識が必要になると思って」など、家族や自分自身のため、という声が多く聞かれました。

活動を始めて10年。認知症予防活動の需要は増えているとのことですが、それでは具体的にどんなことに気を付ければよいのでしょうか。

今日からできる認知症予防と、長く続けるコツは?

「毎日の生活環境や生活習慣の変化が乏しい人や、“毎日が日曜日”な人は要注意! 家に閉じこもっているのは禁物です。最低でも週に1回は人と会って会話をしたり、目的をもって外出をしたり、定期的に体を動かすことをおすすめします」

この日の唯一の男性メンバーの澤瀉(おもだか)さんは、ウォーキング派。
「有酸素運動は脳に酸素が多く取り込まれて刺激になるため、認知症の予防に有効だという研究結果が出ているんですよ。私は1か月に約30万歩のペースでウォーキングをしていますが、大切なのは続けることですね」

 南田中敬老館での出前講座の様子。歌いながら手足を動かすなど、2つのことを同時に行う
デュアルタスク(二重課題)は、脳の血流量を増加させ、脳の機能低下予防になるのだそう
南田中敬老館での出前講座の様子。歌いながら手足を動かすなど、2つのことを同時に行う
デュアルタスク(二重課題)は、脳の血流量を増加させ、脳の機能低下予防になるのだそう

また、研究の進歩から、日常生活の中で頭を使うことが大切だとわかってきました。
「認知症になる前から、脳の『エピソード記憶』『注意分割機能』『計画力』の3つの機能が低下し始めるそうです。これらの機能を集中的に鍛えることが予防になるんですよ。たとえば、レシートを見ないで家計簿を付けるとか、2日前の出来事をノートに記録するのが『エピソード記憶』。料理など、2つ以上のことを同時に行いながら注意を配る『注意分割機能』。そして、旅行の計画を立てたり囲碁や将棋、麻雀など、段取りを考えて実行する『計画力』です。

食べ物では、野菜や果物に含まれるビタミンCやビタミンE、βカロチン、青魚に含まれるDHAやEPAが、認知症の予防に効果的とのこと。毎日の生活の中で、少し意識を変えるだけで将来の健康寿命が変わってくるかも!?

 サポーターの取材の様子
サポーターの取材の様子

生涯現役を目指して

今後の展望について聞いてみると…
「私たちも70代が中心ですから、いずれかのタイミングで若い世代にバトンタッチできたらと思っています。その時は、“発展的隠居”ということになるでしょうね。生涯現役を目指していますから!」と、皆さん元気に答えてくれました!

「脳トレや体操など、できないことを恥ずかしがる必要はありません。できるかどうかではなく、挑戦することが脳の活性化になるからです。そして、興味の持てそうなことを見つけて、楽しんで続けてほしいですね。私たちの講座が、そういった気付きのきっかけになってくれればうれしいです」

小野さんをはじめとするメンバーの方々の楽しそうな笑顔を見ていると、気持ちが前向きになり、やる気が出てくるから不思議です。今日からできる認知症予防、できることからさっそく始めてみませんか?

認知症についての心配や、相談がある場合は、お住まいを担当する、地域包括支援センターへ。

◇地域包括支援センター
https://www.city.nerima.tokyo.jp/shisetsu/koreikaigo/chiikihokatsushisho/index.html

サポータの取材後記

KKK3
わずかな時間でしたが、「有楽ねりま」が提供する体操、ゲーム、歌などを通して、誰もが認知症予防を楽しく、継続的に、身近にできると感じました。メンバーになったきっかけは、家族、兄弟、親戚、自分のためだそうです。自分も前日食べたものは忘れても、食べたことは忘れないのでまだ大丈夫かとは思いますが、物忘れは確実に進んでいるので、身近なことから始めてみようと改めて思いました。
☆トコちゃん☆
取材の前に【脳の認知機能を鍛えましょう!!!】をテーマに実際の出前講座を見学させていただきました。「最近物忘れが多くて困っています」という最初の一言で会場に笑い声が起こり、和やかなムードに。講話と実践(体験)で30分の構成でしたが、終始、来場者の笑顔と笑い声が絶えずあっという間でした。実際に講座を体験させていただいた私自身の脳も活性化して、鍛えられたような気がしました。

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