サポーター体験記
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地域の力を集めて生まれた「みんなのドア」がオープン~空き店舗を利用した、地域の居場所づくり〜

地域の力を集めて生まれた「みんなのドア」がオープン
我が家の近くに気軽に立ち寄れて、お茶が飲めて、ちょっと時間が過ごせる。そんな場所があれば、毎日の暮らしのアクセントになる。そんな思いを込めた「みんなのドア」が、平成30年4月に富士見台にオープンしました。場所を提供する大家さん、そして地域の人たちの力がひとつになって生まれたスペースです。プレオープン期間の3月に取材に行ってきました。

みんなのドア

代表:藤田 庄子(ふじた しょうこ)さん
(前)高野台在宅介護支援センター長:髙橋 美樹(たかはし みき)さん
(高野台在宅介護支援センターは、平成30年4月1日より高野台地域包括支援センターに名称変更)
運営委員:草野 芳郎(くさの よしろう)さん
空き店舗提供・管理者:坂下 十四(さかした とよ)さん

所在地
練馬区富士見台2-47-14 ベルデ坂下
オープン
月曜日〜金曜日の10時〜16時
電話
090-4612-1633(藤田)

「空き店舗を使ってほしい」から動き出した

「空き店舗を使ってほしい」から動き出した 左から、藤田さん、髙橋さん
左から、藤田さん、髙橋さん

「みんなのドア」は練馬高野台駅から歩いて12分程度、環八通りを東側に入った住宅街の中にオープンしました。取材にお集まりいただいたのは、主要となる4名の方。「みんなのドア」代表の藤田庄子さん、(前)高野台在宅介護支援センターのセンター長の髙橋美樹さん、運営委員で地域の老人クラブ・満葉会(みつば)の会長を務める草野芳郎さん、空き店舗を提供した坂下十四さん、それぞれの立場からお話を伺いました。
「みんなのドア」は、平成29年1月ころの坂下さんのひらめきから始まりました。

 左から、草野さん、坂下さん
左から、草野さん、坂下さん

「仕事を引退して、家にいる時間が長くなりました。運動のために近所を散歩するうちに、練馬高野台駅高架下にある『街かどケアカフェこぶし』に多くの年配の方が集まっているのを知りました。体操に参加したり、読書をしたり、思い思いに過ごしている。『こんな場所があるといいなあ…。あっ、ウチの1階も空いているぞ』と思って。ここを使えば、皆さんに集まってもらえる場ができるんじゃないかと、『街かどケアカフェこぶし』のスタッフに話を持ちかけました」(坂下さん)

「富士見台2丁目は、高齢化率が26%と高く、戸建の多い住宅街。高齢の方々には駅へは遠く、集まれる場所が少ない地域です。そんな中に寄り合える場所ができれば、地域の皆さんにもとてもいい場所になる。坂下さんの申し出は、願ったりかなったりでした」(髙橋さん)

メンバーがそろい、内装から地域住民を巻き込んで

メンバーがそろい、内装から地域住民を巻き込んで 左が談話室やサークル活動をする「みんなのドア」、右が静かに本を読める「みんなの図書室」。平成30年1月20日に開所式を行い、プレオープン期間を経て、4月からスタートしました
左が談話室やサークル活動をする「みんなのドア」、右が静かに本を読める「みんなの図書室」。平成30年1月20日に開所式を行い、プレオープン期間を経て、4月からスタートしました

高野台在宅介護支援センターで相談窓口を行っていたため、地域活動を行う団体との人脈も広い髙橋さん。さっそくこの話を、高齢者が集まれる場所を探していた藤田さんに伝えました。
藤田さんは、相談情報ひろば「ウェルカム石神井公園」などの活動を通じ、地域コミュニティの活性化のためにさまざまな活動を行ってきました。「街かどケアカフェこぶし」でのイベント開催のほか、認知症の方などが集まれる場所を作る「オレンジカフェ設立委員会」も主宰されています。

 廃材を利用した、掲示用のボード。煩雑になりがちなイベントチラシや写真などがセンス良くまとめられています。また、室内には地域情報のチラシなどを置くスペースもあります
廃材を利用した、掲示用のボード。煩雑になりがちなイベントチラシや写真などがセンス良くまとめられています。また、室内には地域情報のチラシなどを置くスペースもあります

「空き家を活用した『地域の居場所作り』は区内の他の地域でも始まっていました。私たちの活動でも取り組みたいと考えていたところだったので、『おっ、次は私たちの番!』とすぐに飛びつきました」(藤田さん)

そして、ご縁のつながりで草野さんも運営委員に。草野さんは当時、老人クラブの会長職を引き継いだばかり。これからの活動をどうしていくか…、というタイミングでした。

「元気な人は『街かどケアカフェこぶし』まで歩いていけますが、そうでない人、特にひとり暮らしの男性は家にこもりがちになる。そんな課題解決を考えていたので、これは老人クラブの活性化にもなると思いました」(草野さん)

内装の改修などの必要があったため、「みどりのまちづくりセンター」の活動助成事業に応募し、助成金を得ました。内装のプロの指導のもとに行う「壁紙貼り体験会」を実施して、作業段階からに地域住民に関わってもらうように呼びかけ、多くの人が参加してくれました。

男性の皆さんも、ぜひ図書室のドアを開いて

男性の皆さんも、ぜひ図書室のドアを開いて かわいいイラストが描かれた扉。「傷んでいるのを隠すために、スタッフが描いてくれました(笑)」と藤田さん
かわいいイラストが描かれた扉。「傷んでいるのを隠すために、スタッフが描いてくれました(笑)」と藤田さん

特徴的なのは、隣り合う2店舗が空き店舗だったため、片方は談話室、もう片方は図書室として開放されること。図書室の開設については、坂下さんの思いが込められています。

「自分も読書が好きなので、静かに本を読める場所があれば、イベントやグループ活動に抵抗のある男性も利用しやすいのではないかと考えたんです」(坂下さん)

 「みんなの図書室」では、ボランティアの方が本棚を整理していました。ご近所の方が、読み終わった本を持ち込んでくれます。本棚には、小物などの手作り作品も置かれていました。
「みんなの図書室」では、ボランティアの方が本棚を整理していました。ご近所の方が、読み終わった本を持ち込んでくれます。本棚には、小物などの手作り作品も置かれていました。

地域の住民から本の寄贈も募っており、人気の時代小説から図書館なら長く予約待ちになってしまうようなベストセラーまで、多くの本がそろっていますよ。

多数のサークルを企画、「ドア友」を作りませんか

多数のサークルを企画、「ドア友」を作りませんか 「みんなの図書室」の奥の壁は、ギャラリーとして使われています
「みんなの図書室」の奥の壁は、ギャラリーとして使われています

裁判官として長く活躍され、現在も弁護士活動を続ける草野さん。自身の経験も活かして、「ちょっとしたことを気軽に相談できるような場所にもしたい」と意欲を語ってくださいました。
「みんなのドア」は、地域の誰もが気軽に立ち寄れる場所になるようにと、藤田さんが命名しました。そんな思いがベースにあり、サークル活動を通じて活性化していきたいと語ります。

 サポーターの取材の様子。「みんなのドア」の室内は、多種のサークル活動に対応しやすいシンプル空間です
サポーターの取材の様子。「みんなのドア」の室内は、多種のサークル活動に対応しやすいシンプル空間です

「高齢者を支える仕組みの中で、足りないと思っている『共助・近助』の部分を『みんなのドア』で実践したい。図書室を管理する『図書クラブ』、園芸好きな人たちが育てた花を、地域の高齢者のお家に届ける『花いっぱいクラブ』の活動も準備中です。『みんなのドア』を通じて、友だちができる。これを『ドア友』と名付けて、100くらいサークルを作りたいと考えています」(藤田さん)

地域活動の新しいモデルとなりそうな「みんなのドア」。こういった居場所が区内に増えていけば、シニアのお出かけの機会がどんどん増えていきそうです。

サポータの取材後記

富士男
「住み開き」として開放した大家さんと、民と公的機関が連携して現代版高齢者の向こう三軒両隣拠点「みんなのドア」が開きました。区民参加型の「壁紙貼り」や「床貼り体験会」の告知チラシを見てビックリ! 2つの空き店舗をみんなで内装し、「居場所」と「図書室」ができました。地元の方々のアイディアが活かされ「花いっぱいクラブ」などクラブ活動もいろいろ計画されているとのこと。このような地域情報拠点も兼ねたコミュニティ施設が、区内各所にできるのが望ましいと感じております。乾いた地域社会の湧き水が清流となり、肥沃な地域社会へと変容するきっかけになればと、勝手に思った次第です。
オーパちゃん
シャッターを閉めて「借主募集」の看板が貼られながら、数年も経過した元店舗を区内各所で見かけます。そこに、誰でも気軽に寄れる場所ができたらいいなと思っていたところ、空き店舗に「みんなのドア」が開かれると聞いて、取材に行きました。施設の管理と運営には、法的な規約が問題になるのではと想像していましたが、運営に弁護士の草野さんがいらっしゃること、地域に理解が深く、場所を提供された坂下さんのような方がいなくては実現できなかったと思います。また、公的機関と区民を結びつけた髙橋さん、経験豊富な藤田さんの献身的な努力の賜ものだということが理解できました。今後、この様な施設が区内各所に開設できれば、素晴らしいことだと存じます。

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