サポーター体験記
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AEDの取り扱いも学べる「救命講習」を体験〜身近な人の“万が一”に備えよう〜

AEDの取り扱いも学べる「救命講習」を体験
突然、目の前にいる人が倒れたら、あなたはすぐに行動できますか? 正しい応急処置やAEDの使い方を身に付けていれば、家族や友人、あるいはたまたま居合わせた他人でも、万が一の時には救命率を上げることができるのです。そんな場合に備え、目の前の命を救う“救命法”を学ぶために、石神井消防署 石神井公園消防出張所で行われている救命講習に参加してきました。

石神井消防署 警防課救急係

笹村 進(ささむら すすむ)さん

所在地
練馬区石神井町2-16-1
電話
03-3995-0119
ホームページ
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-syakujii/index.html

都内で年間25万人が受けている救命講習

都内で年間25万人が受けている救命講習 指導員の笹村さん
指導員の笹村さん

今回お話を伺ったのは、東京消防庁の非常勤職員で、石神井消防署で指導員として活躍されている笹村 進さんです。

「救急車を呼んでから救急隊が到着するまでの時間は、平均すると約7〜8分。しかも最近は出動要請の増加から、さらにその時間は伸びているんです。つまり、それまでの間、周囲の人たちが応急手当や心肺蘇生をしないと、傷病者が助かる確率は低くなってしまうということ。目の前の命を救えるかどうかは、周囲の人次第と言えるかもしれませんね」

なんだか責任重大ですが、自分が倒れた時は周囲の助けが必要になるわけですから、“おたがいさま”の精神で身に付けておきたい知識ですね。現在、東京都では年間25万人もの人が消防署の「救命講習」に参加しているそうです。

「今の10代から20代くらいの若い人たちは、高校までの間に授業の一環として救命知識を学ぶ機会があるので、もし傷病者を発見した際には、若い人にも声をかけてみてください。大抵の人が知識を持っているので協力できるはずですよ」

それでは早速、救命講習スタートです。約20名の受講者と一緒に、みっちり3時間学びます!

一人ひとりが救命の意識を持って!

一人ひとりが救命の意識を持って! 受講料はテキスト代を含め、1,400円。講習で習ったことはテキストを見ながら復習できます
受講料はテキスト代を含め、1,400円。講習で習ったことはテキストを見ながら復習できます

講師を務めるのは、救急救命士として35年間活躍された東京防災救急協会の嶌崎(しまざき)正昭︎さん。ご自身の実体験を交えつつ、傷病者への声のかけ方から心肺蘇生法、AEDの使い方や止血法まで、わかりやすく説明してくれました。

「震災時などで大量に傷病者が発生した場合には、救急車の台数も限られているので、救助を必要とする方が100名いたとしたら、警察や消防、自衛隊などの公的機関が助けられるのは、たった2人なんです」との言葉に、受講者の間でどよめきが…。

「あとの98名は一般の人、つまりバイスタンダー(=救急現場に居合わせた人)が助けなくてはいけないということです。応急手当によって傷病者が助かる確率は格段に上がりますから、しっかり身に付けて帰ってくださいね」

 講師は、救急救命士の嶌崎さん。テキパキとした動作で講義も非常にわかりやすく、真剣に話を聞いていたら3時間があっという間でした
講師は、救急救命士の嶌崎さん。テキパキとした動作で講義も非常にわかりやすく、真剣に話を聞いていたら3時間があっという間でした

もはや、救命講習を受けるのは国民の義務とも言えるのではないかとすら感じ、気持ちが引き締まりました。
でも、嶌崎さんのお手本を目に焼き付け、いざ心肺蘇生法をやってみると、思っていたようにはできません。傷病者への声かけや呼吸の確認、周囲の人への指示や心肺蘇生、AED…と、やることがたくさん。さらに、胸骨圧迫(心臓マッサージ)には予想以上に体力を要することがわかり、一連の救命活動には冷静な判断力が不可欠といことを実感しました。

参加者からは、「頭を打っていたり出血したりしていたら、動かさない方がよいのでは?」「胸骨圧迫でけがをさせてしまわないか?」などの質問が出て、真剣に取り組んでいる姿勢が感じられました。ちなみにどちらの場合も、心肺蘇生が必要なケースであれば、けがよりも命を助けることが最優先だそうです。

AEDの使い方を学び、体験することが大切

AEDの使い方を学び、体験することが大切 心肺蘇生法やAEDの使い方など、参加者全員が順番に体験。胸骨圧迫は、ひざを立ててしっかり重心をかけるのがコツ
心肺蘇生法やAEDの使い方など、参加者全員が順番に体験。胸骨圧迫は、ひざを立ててしっかり重心をかけるのがコツ

AED(自動体外式除細動器)は、心肺停止に陥った傷病者の心臓に、電気ショックを与えて心臓の震えを止めた後、胸骨圧迫により正常なリズムに戻すための医療機器です。平成16年から一般の人も使えるようになり、救命率は2倍以上に! 最近は街のいたる所に設置してあるのを見かけますが、「ある」ということを認識しているだけで、使った経験がある人は少ないのではないでしょうか。

 AEDは、電源の入れ方で2種類のタイプに分けられます。電源を自分で入れるタイプ(上)と、ふたを開けると自動的に電源が入るタイプ(下)。その他の取扱方法はどちらも同じ
AEDは、電源の入れ方で2種類のタイプに分けられます。電源を自分で入れるタイプ(上)と、ふたを開けると自動的に電源が入るタイプ(下)。その他の取扱方法はどちらも同じ

“体に電気ショックを与える”と聞くと、何だかとても大変なことのように感じられますが、実際にはAEDの電源を入れたあとは、機械から流れてくるアナウンスの通りに手を動かすだけ。難しいことは何もなく、冷静に対応すれば誰でも使えます。
ただ、一度も触ったことがないと、やはり不安を感じるもの。“何となく知っている”のと、“実際に使ったことがある”のとでは大違い。講習を受けることの重要性を、ひしひしと感じました。

「まずは、自分ができることをやってください。あとは周りに声をかけて、救命活動に引き入れてしまうこと。1人でやろうと思っちゃダメです。救命講習の受講者は大勢いますから、いざという時、協力してくれる人はきっといるはずです」と、嶌崎さん。

いざという時は「おたがいさま」の精神で助け合う

いざという時は「おたがいさま」の精神で助け合う 気道異物除去のデモンストレーション。子育て世代には必須の知識!
気道異物除去のデモンストレーション。子育て世代には必須の知識!

笹村さんによれば、「救命講習は、高齢者や体が不自由な方でも受講できますし、年齢制限もありません。また、人形を使っての実技は、けがをしないよう、無理のない範囲で受講してください」とのこと。

「1回で完璧に覚えられる人は少ないですから、消防署としても3年以内の再講習の受講が望ましいと考えています。実際、3年以内に受けに来られる方は多いんですよ」

練馬区内で救命講習を受けられるのは、次の3か所。テキスト代1,400円は共通ですが、実施日は署によって違うので、必ず確認をしてから申し込みをしてください。
・石神井消防署(毎月第3日曜日に、石神井公園出張所で実施)
救命講習の申し込みは、03-3995-0119(内線380・381)
・練馬消防署  詳しくはこちら(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-nerima/notice/course.html
・光が丘消防署 詳しくはこちら(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hikarigaoka/information/

 サポーターの取材の様子
サポーターの取材の様子

最後に、笹村さんからメッセージをいただきました。

「これからどんどん高齢化社会が進みますから、シニア世代の方はもちろん、それを支える若い人にも受講してもらいたいですね。高齢の方であっても、いざという時には助ける側に回るくらいの気持ちで参加していただければと思います。誰かを助けようという気持ちや行動は、いつか必ず自分に返ってきますから」

講習を受けてみて実感したのは、受講によって身に付くのは知識だけでなく“自信”なのだということ。いざという時、一歩前に踏み出す勇気を、あなたも身に付けてみませんか?

サポータの取材後記

waffle
何かあった時、119番通報してあとは待つだけ、救命はプロにお任せ、というのはもはや大きな間違いで、救急車が到着するまで、その場にいる人がそれぞれにできることをすれば助けられる時代なのだそう。そのため、多くの学校では救命講習が行われており、若い世代なら高い確率で受けているとのこと。だとすれば、学校で習わなかった私たち世代こそ、救命講習の受講は区民の義務と言えるのではないか。救命は「お互いさま」の気持ちで、みんなが「自分ごと」として考えなくてはいけないのだと痛感。「救命」に対する意識がガラッと変わった、目からウロコの体験でした。心肺蘇生、人工呼吸、AEDなど、いざやってみると細かい気配りや体力が必要だったり、手順がなかなか覚えられなかったり、かなり大変でした。考えずに体が動くよう、これからは年に1回くらい講習を受けるようにしたいと思っています。
ベジタブル
石神井消防署石神井公園出張所にて救命講習を体験しました。3時間かけて心肺蘇生、AEDの使用方法、窒息の手当、止血の方法を学びました。傷病者がいたら勇気を持って一歩前に出て、そして声をかけて励まし、迷わず119番通報する。救急隊員がくるまで、最初にできること、速やかに行動をとることを学習しました。1年に1回くらいは講習を受けて復習すると効果的で忘れないとのことです。とても有意義な時間でした。

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