サポーター体験記
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シェアハウスを考える〜シニアの新しい生活モデルの可能性〜
- 取材日
- 平成28年1月15日
- 更新日
一般社団法人 日本シェアハウス協会
代表理事 山本 久雄(やまもと ひさお)さん
- 住所
- 〒179-0072 杉並区阿佐ヶ谷南1-8-3 プリエ阿佐ヶ谷内1C
- 電話
- 03-5305-5215
- URL
- http://japan-sharehouse.org/
シェアハウスとは…?

近年、若者に人気のシェアハウスは、1軒の住宅を複数人で共有して生活するスタイル。リビングやキッチン、バス・トイレなどの共有スペースと個室スペースに分かれているため、プライバシーを保ちつつ、住人同士の交流も楽しめるのが大きな特長です。
また、礼金や仲介手数料がかからないなど初期費用が節約できるケースが多く、共同購入やシェアにより生活費や光熱費も抑えられるので、経済的な負担が軽くなるのもメリットの1つ。
同世代でのシェアから発展し、現在では多世代共生型や地域応援型、地方創生型、空き家・空きビル応援型…など、シェアハウスは多様化しています。最近の傾向としては、料理や音楽など、趣味嗜好の共有を目指して住人の募集をするケースも増えているようです。

欧米では広く普及しているというシェアハウスですが、シニアライフの選択肢としてどんな可能性があるのか? 日本シェアハウス協会の代表理事の山本さんを訪ね、お話を伺いました。
実際にシェアハウスを見学してきました!

お邪魔したのは、協会がシェアハウス事業の支援をしている杉並区阿佐ヶ谷の一軒家。現在、30代〜60代の男女5名が実際に入居しています。取材の日は出勤のため、皆さんは不在でしたが、山本さんに共有スペースを案内してもらいながら、普段の生活の様子を聞きました。
「ここでは“料理好き・酒好き”というコンセプトで入居者を募集したので、週末に飲み会を企画したり、庭でカフェを開いたりバーベキューをしたり…と、趣味の合う者同士、楽しく生活をしています」と、山本さん。
役割分担などの貼り紙はなく、お互いに得意分野を担当して共同生活を送っているそう。共有しているからこそ、どのスペースもきちんと整理され、快適に暮らしている様子がうかがえました。

「プライバシー確保のため、いったん個室に入ったらノックすることは禁止していますが、ほかには特にルールはありません。入居希望者とは面接をしてコンセプトに合う人を慎重に選んでいるので、うまくいっているのだと思います」
――自分に合ったシェアハウスを見つけるには?
「インターネットで調べると驚くほどたくさんの物件が出てきますが、必ず見学をして自分の目で確かめることをおすすめします。また、どんな生活を送りたいかをイメージし、国際交流、旅行、サイクリングなど…そのコンセプトに合ったハウスを探すのも1つの方法です」
――このシェアハウスには60代の方がいらっしゃいますが、シニアが若い世代と共同生活を送るためのコツはありますか?
「聞かれない限り過去の経歴を話さない、ルールを守らない人がいても直接注意しないなど、他者と暮らす『共生マナー』を心がけることではないでしょうか」
シニアのシェアハウス事情

――シニアでも入居は可能なのでしょうか。入居後に介護が必要となったら、どうなるのかも気になります。
「日常生活に問題がなければ可能ですが、シニアを積極的に受け入れている例はあまりないようです。トイレや入浴が1人でできなくなった場合は、継続は難しいでしょう」

ただ、従来の高齢者施設とは異なる視点で、シニアのための新しい取り組みも始まっているようです。
「シニアが元気なうちに入居して社会活動に参加し、介護が必要になってもそのままケアを受けながら継続して住める共同体(= CCRC:Continuing Care Retirement Community)の計画が進んでいます。仲間がいるコミュニティだからこそ実現できることも多いのです」
こういったしくみが実現すれば、老後の不安材料も少なくなるかもしれませんね。
進化するシェアハウス

区外では、屋内に野菜カフェを作り、野菜ソムリエや料理人など野菜に興味のある入居者を募っているハウスも。健康関連のイベントを開催したり、子育て支援として子どもの食育に取り組んだり…と、地域と連携した活動が期待されているそうです。
単なるシェアハウスだけではなく、地域に密着した事業として色々な構想をお持ちの山本さん。
「練馬のように高齢者の多い郊外の住宅地で、点在する空き家を活用し、シェアハウスだけでなく、デイサービスや家事代行サービス、健康増進施設などをつくって地域の人たちで運営するアイデアもあるんです」
老後の住まいというと高齢者だけの施設を思い浮かべますが、年齢や性別に関係なく多世代が集い、交流が生まれることで地域活性につながる…。これからの超高齢社会の新たな住まい方として、多世代共生型シェアハウス(=シェアビレッジ)の実現も夢ではないかもしれません。
サポーターの取材後記
- ウェルビ
- 今回は、シニアがシェアハウスの入居者(利用者)となる場合にフォーカスした記事ですが、取材の中では、シェアハウスをビジネスと捉え、シニアが事業者側となる話もたくさん出ました。「興味のある方は、ぜひ日本シェアハウス協会にお問い合わせください」と、山本さんが仰っていました。
- ハニー
- 「歳を取ったら友達同士で家をシェアして一緒に住もうよ。お互いの趣味や仕事を生かせば困らないよね」と、友達と話し合っていました。それから15年。色々な問題が浮上し、リーダー不在で話はとん挫。時代は進み、シェアハウスが地域活性化につながり、介護問題、高齢社会への貢献、母(父)子家庭、ひいては空家対策へと構想を広げていることを今回知り、正に「目からうろこ」の取材でした。老若男女が集う多世代共生型シェアビレッジは夢でしょうか?
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