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光が丘公園バードサンクチュアリで野鳥に親しむ
〜武蔵野の自然が守られている場所〜

取材日:平成30年5月9日 更新日:平成30年6月11日

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「野鳥の聖域」を意味するバードサンクチュアリ。光が丘公園内の一角にあるバードサンクチュアリは、備え付けの望遠鏡があるので気軽に野鳥観察ができる上、解説員が常駐しているという、都内でも数少ない場所なんです。野鳥観察の楽しみ方や、ここで取り組んでいる自然保護についてお話を伺ってきました。
光が丘公園バードサンクチュアリ
所在地:練馬区光が丘4-1-1(光が丘公園内)
電話:03-3977-7638(光が丘公園サービスセンター)
開園:土・日・祝日(12/29〜1/3は閉園) 9時〜17時(11月〜1月は16時半まで)
公園指定管理者:(公財)東京都公園協会
運営管理受託:認定NPO法人 生態工房  事務局:増永 望美(ますなが のぞみ)さん
ホームページ : http://hikarigaoka.blog35.fc2.com

年間で60〜70種も野鳥が見られる野生保護区

 出迎えてくれたのは、光が丘公園バードサンクチュアリを運営管理する認定NPO法人生態工房の増永望美さんです。ここではどんな野鳥を見ることができるのでしょうか。

 「年間で60〜70種類ほどの野鳥を観察することができます。春から夏にかけては、ツバメ、カルガモ、ヒヨドリ、シジュウカラなど、1日だいたい15種類くらい。秋から冬にかけては越冬のため、モズやカモの仲間、小鳥ではジョウビタキやシメ、シロハラなど多くの野鳥が見られます。通年観察できるのは、カイツブリ、カルガモ、カワセミ、アオサギなどです」

 冬は野鳥の数も多く、樹木の葉が落ちて見やすくなるので、夏よりも野鳥観察に適しているとのこと。野鳥観察ができる場所はたくさんありますが、スタッフが常駐する自然観察施設は数少ないため、都内でも貴重なスポットと言えそうですね。

 「バードサンクチュアリ内の林や水辺で繁殖する鳥もいるのですが、ちょうど今、カイツブリが抱卵しているところです。カモより少し小さめで、潜るのが得意な水鳥です。カイツブリの剥製(はくせい)がありますから、自由に触ってみてくださいね」

 ちなみに鳴き声や動きで鳥を見つけることも多いので、よく耳を澄ませ、目を光らせることが野鳥観察のコツだそうです。鳥たちに干渉したり、驚かせたりしないよう静かに観察しましょう。

スタッフの愛情と工夫がたっぷりの展示

野鳥以外の生き物も見られるのでしょうか。

 「カブトムシやトンボ、チョウなどの昆虫もたくさん見られますし、池には希少なニホンイシガメがいます。今年は暖かく、いつもより早く季節が進んでいるので、すでにギンヤンマやシオカラトンボの羽化が確認されています。これから秋にかけては、いろいろなトンボが見られますよ」

 バードサンクチュアリ内で見られる生き物たちの様子は、写真やイラスト入りでパネルやボードに展示されています。わからないことは常駐のスタッフに聞けば教えてくれるので、まさに“自然学習の場”といったところでしょうか。

 「せっかく来ていただいても鳥が見られない日もあるので、少しでも楽しんで帰ってもらえるように、”旬”の情報を工夫して展示するようにしています」と増永さん。写真愛好家から写真を提供してもらったり、来園者が撮影した写真展を行うなど、スタッフと来園者が和気あいあいと交流している様子がうかがえます。

武蔵野の自然の保全と復元を目指して

 戦時中、成増飛行場の建設によって自然が失われた地が、戦後は20年近く米軍家族の住宅地(グラントハイツ)となり、ようやく全面返還されたのが昭和48年。その跡地に人工池を造ったり、周辺の生態系に合う樹木を植えたりして光が丘公園ができ、昭和60年にバードサンクチュアリが開園しました。野生生物の生息環境を復元し、保全するために、どのような取り組みをしてきたのでしょうか。

 「人工的に造った場所は、手を入れていかないと目指すものとは違う形になってしまいます。目標としているのは、武蔵野台地の昔ながらの自然の復元ですが、外来の動植物がたくさん入ってくるので、それらを取り除いて本来の生態系に近づけることが重要なミッションですね」

 ウシガエル、アメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)などがその対象。40〜50年も生きるミドリガメは、飼い主が持て余し、「自然に返そう」という意識で池や川に捨てることが多いそうですが、野生の中で在来種のニホンイシガメの生息地を奪い、カルガモやカイツブリのヒナ、ヤゴなどを食べてしまうのです。

 「林は放置しておくと照葉樹が増えて暗くなってしまうため、ここ10年ほどは間伐にも力を入れています。また、水草を定期的に刈って水鳥が利用できる環境を整備したり、土の崖にトンネルを掘って巣を作るカワセミのために、人工的に崖を作ったりしているんですよ」

 こうしたさまざまな取り組みによって、バードサンクチュアリの環境が維持されているんですね。

自然保護の第一歩は”知る”ことから

 自然保護のために私たちが普段からできることはありますか?

 「まずは身近な自然を知ることから。例えば、“池の鳥に餌を与えない”。人間の食べ物を食べると病気になったり、池の水が汚れたりしますし、本来、鳥は自分の力で餌を探すもの。私たちも生き物たちが住みやすい環境を整備するだけで、餌を与えることはしていません。庭にメジロが来たら、“かわいいな”と思う気持ちだけにとどめておきましょう」

 その他にも、ボランティア活動や寄付という形もあるそうです。認定NPO法人生態工房で取り組んでいる、バードサンクチュアリ前にある区内最大の「すすき原っぱ」の保全ボランティアや、雑木林を育てるための苗木サポーター制度などがありますので、興味のある方はぜひ! 詳しくは生態工房のホームページをご覧ください。

 入園無料ということもあり、週末や祝日はたくさんの来園者で賑わうバードサンクチュアリ。特に桜と紅葉シーズンは1日1,000人超えることもあるそうですが…実は、ほぼ毎月、平日開園日が1日あるんです。静かで空いているので、狙い目ですよ。

 また、毎年夏には13時〜21時の「夜開園」も実施。今年は7月29日(日)と8月11日(土・祝)の予定です。詳しくは入り口の掲示板や、バードサンクチュアリのブログなどでチェックしてみてくださいね!

 最後に、「バードサンクチュアリは野鳥だけのものではなく、さまざまな動植物を含めた自然観察の施設。気軽に遊びに来て、スタッフとおしゃべりをしながら自然を知ってもらえたらうれしいです」と、メッセージをいただきました。

 取材が終わった後、孵化したヒナが初めて確認できたとスタッフや常連メンバーから歓声が上がり、教えてもらった場所を望遠鏡で見てみると…母鳥の背中に乗っている小さなヒナを発見!バードウォッチングの醍醐味をちょっぴり味わえたような気がしました。

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みずすまし

光が丘バードサンクチュアリで繁殖する鳥と、渡り鳥としてこの地を訪れる鳥で、計60種を超すとは驚きです。さらにトンボが飛び交い、小魚やエビが住む自然の楽園の素晴らしさは言葉では言い尽くせません。維持していくためには外来生物・植物の駆除が必要ですが、多くのボランティアの力を借り、地道に一歩ずつ努力しているのを感じます。光が丘バードサンクチュアリを知るためには1年、春夏秋冬の観察が良いようです。訪問して初めて自然と、それを守る努力の大変さの一端が解りました。私が取材で訪れた日、池でふ化した「カイツブリ」ベビーが観察できたと聞きました。観に行かなくちゃ。

オーパちゃん

バードサンクチュアリは土日祝のみの開園で、人が多くてゆっくり観察できないと思っていましたが、平日開園や夜間の特別開園日もあるとのこと。取材で訪れたのは平日だったので、ゆっくりお話を伺うことができました。武蔵野の自然の環境を復元するのに大変な努力と時間が必要なことがよくわかりました。外来の動植物の除去には、ボランティアの協力も得て作業をしているとのこと。飼育していたミドリガメが捨てられ、野生化して成長すると、在来種のイシガメなどを圧迫しているとの説明を聞き、生態保全の大切さを肝に銘じました。宅地化が急速に進む昨今、四季折々の生き物たちや自然に触れるのに、バードサンクチュアリは絶好の場所だと思いました。

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生態工房・増永さん。野鳥や生き物などについて幅広い知識を持つ、“自然界のプロ”!

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カイツブリとカルガモの剥製(はくせい)。手に取ってみると、くちばしや水かきの構造などがよくわかります

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野鳥を観察するのは、この小窓から。備え付けの望遠鏡は自由に使うことができます

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園内にはバードサンクチュアリ内の生き物たちの観察日記も。手書きのボードに書かれたヒキガエルや野鳥、カメなどの様子を読むだけでも楽しい♪

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季節に合わせて年に5回、内容を変えている企画展示。自然の良さを知ってもらおうと、毎回スタッフが工夫しながら作っています

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観察舎の小窓から見える景色。平成29年11月に、16年ぶりにかいぼり(池干し)を実施した池では、外来魚のブルーギルの根絶が確認されたそう

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バードサンクチュアリの入り口。掲示板のイベント案内は要チェック!

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サポーターの取材の様子