今回の「シニアナビ通信」は番外編となります!
去る、2019年9月28日、に西武鉄道主催のイベントが
大泉学園の『T・ジョイSEIBU大泉』で行われました。
そのイベントは、「高畑勲監督作品上映会in大泉学園」。
なんと以前の取材のご縁から、私たちシニアナビねりまサポーターが
メディアとして招待(取材依頼)されたのです!
イベントでは、2018年4月に亡くなったアニメ監督の高畑氏を偲び、
また、監督が長年を過ごした大泉学園で、代表作品の一つである
『平成狸合戦ぽんぽこ』を観ながら、「大泉」の魅力を感じよう!と
開催されたもの。
前編のゲストは、同作品の絵コンテ作画を担当された、
アニメーション演出家の百瀬義行さん、
そして高畑勲監督のご長男の高畑耕介さんです。
司会は、フリーランスアナウンサーの宇賀なつみさんで進行されました。
===============================
【シニアナビ特別編:前編 ~高畑監督を偲んで~】
===============================
【宇賀】「いろいろとお話を伺っていきたいんですが、
まず高畑勲監督はどんな方なのか、お人柄などを伺っていきたいなと思うのですが」
【百瀬】「高畑さんは、仕事に集中されているからだと思うんですけど、
スタジオではけっこうゆるい・・・(笑)。
監督さんがスタジオに入ると緊張感が出るとか、空気がピリッとするとかよくありますが、
そういうのはあまり感じたことが無くて。
それは作品にすごく集中しているからだと思います。
それと、スタッフの行動やプライベートに対して干渉しないです。
一人でふらっと自転車で野川公園にでかけてしまう、みたいな、そういう感じの人でした」
【宇賀】「息子さんとしてはどう感じられますか?」
【高畑】「おもしろいというか、仕事場での姿というのは全く見えないので、
逆に聞いていて新しい発見があります。イメージとちょっと違ったりとか」
【宇賀】「どういうところが違いましたか?」
【高畑】「うちでは逆にほったらかしに近い状況でしたから
こちらから問いかけない限り、特に何かああしなこうしなとかは無かったですね」
【百瀬】「(仕事場でも)同じ気がします。
ああやれこうやれって細かく指示はしないですもん。
その人がどう感じてどういうものを描いてくれるか、というところを
見ようとしてくれるタイプでした」
【宇賀】「ほったらかしているようですごく見てくれている、
見守ってくれているという感じなんですかね!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【宇賀】「続いて、作品についてお話を伺っていきたいと思うのですが、
百瀬さんが作品で印象深いものはありますか?」
【百瀬】「印象深いのは、やはり初めて関わらせてもらった『火垂るの墓』でしょうか。
高畑さんが、あの作品で主人公の幽霊を出したんですね。
その幽霊が(生前の)自分の姿を見ているという構造なんですが、
あれはすごいなと思いました。
幽霊を出すことによって、これがただの昔ばなしじゃなくなるというか、
めんめんと続いている歴史の中の1ページなんですよという感じがすごくして
これで現代へ継続されたというようにとらえられて、びっくりしました」
【宇賀】「高畑さんはいかがですか?お父様の作品で」
【高畑】「やはり『かぐや姫』が、非常に完成度が高いと思います。
背景と動く映像が一つになって見れるという意味でも素晴らしいですし、
作品全体としてもお話としてもすごい。止めた絵ですら絵になるというか。
父が、記者会見だったと思うんですけれども、
はじめて『良くできた』、というふうに自ら言った作品だったと思います」
【宇賀】「そうだったんですね。。。
では、続いて、大泉学園の魅力について伺っていきたいんですけれども、
高畑さんは、ずっと住んでいらっしゃる?」
【高畑】「そうですね。
父が東映動画に入り、大泉学園から程近い新座市に最初の自宅があって、
その辺りに物心付いた時から住んでいました。
ちょうど東映撮影所で『がんばれ‼ロボコン』という人気テレビシリーズができたり、
例えばオズ大泉ができたときには、すごく奇怪なエスカレーターが外にあったりとか、
小学校3・4年のころには西武ライオンズが九州からやってきてファンクラブに入ったり。
そういう意味では西武線沿線というところでいろんな楽しみがあって。
また、当時は公共交通機関がそんなに便利じゃない部分もありましたので、
自転車が必須でした。
平林寺まで行ったり、石神井公園、善福寺公園、井の頭公園などと
緑地がたくさんあって親しめましたしね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【宇賀】「私も大泉学園出身なんですけれども、
私の時にもまだ畑などもけっこう残っていて、その辺りで遊んだりしていたので、
なんでしょう、東京23区内でありながらすごく懐かしい風景、自然が残っていて
魅力的な街だなと思います。
この後ご覧いただくのが、『平成狸合戦ぽんぽこ』ですが、
この作品の魅力はどういうところだと思いますか?」
【百瀬】「この前の作品が『おもひでぽろぽろ』だったかな。
その日常、主人公の心の揺れや微妙なところ、リアルに描いていくという
作品だったんですけれども。それと比べると、擬人化した狸が出てくるわけで。
擬人化も、あれは狸の意思によって変擬しているという。
人前では四つ足の、実はそれは人間の手前そういう風な形をしているわけで、
狸自身は本来二足歩行だって決めているわけです。それもすごくおもしろい」
【宇賀】「そういう発想ってどこからくるんでしょうね」
【百瀬】「やっぱりアニメーションで表現するっていうことを
すごく考えていらっしゃるというか、アニメーションならではじゃないですか。
今はCGで何でもできますが、でもCGだな、って見えちゃう。
手描きの場合、ちょっと違うように見える、人の手で描いていることによって」
【宇賀】「確かに、こんなこと本当にあるわけないと思いつつ、
あるかもと思わせちゃう力がありますよね」
【百瀬】「だから、そういうふうに思わせる作品になったのは、
やはり監督の力だと思いますけどね」
【宇賀】「高畑さんはいかがですか。この作品については」
【高畑】「非常に楽しんでる感じでしたね。
やはりばかばかしいところとか、ふざけたところがふんだんに入っていて、
色んなこと、こんなことやってみるんだ!というアイデアを思い切りぶち込んでいく
っていうような感じで、他の作品に比べ、家にいたときに作品について話すときは、
明るい感じだった気がします」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【宇賀】「百瀬さん・高畑さんから、この作品のここに注目してほしいなど、ありますか?」
【百瀬】「狸にとってはずいぶん悲しい話です。
悲しい話なんですけど、でもたくましく生きてるという。
東京で狸が暮らしているんだ、という現実を、
憐れんで、上から目線で見ないでほしいですね」
【高畑】「おっしゃる通りだと思います。
この作品の良いところはいろいろあると思うんですけれども、
私は絵自体がけっこう好きなので、そういう意味では百瀬さんや大塚さんたちに、
いろいろ描いていただいたものが絵画として素晴らしいです。
これが今、竹橋の東京近代美術館に置いてあるんですが、
あと2週間ちょっと見れる状況ですので
是非それをご覧になっていただければ、さらに楽しめるんじゃないかなと思います」
※東京国立近代美術館:高畑勲展「日本のアニメーションに遺したもの」は
10/6(日)で終了しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~後編に続く!~
その他、おでかけの情報はコチラ!!
→練馬区のお出かけ、イベント情報がいっぱい!「とっておきの練馬」サイトへ。
https://www.nerimakanko.jp/