今回は、イベントのお知らせです。
ご存知、中村橋の練馬区立美術館では、
12/1(土)~2019年の2月11(月・祝)まで
『人間国宝・桂 盛仁 金工の世界―江戸彫金の技―』
を開催しています。
彫金、と聞くと、一般的にはジュエリー加工をイメージしますが、
なかなか聞きなれないもの。
そこで、彫金について色々な角度から、調べてみました。
■そもそも、彫金はご存知ですか?
もともとは、3種類の技法があります。
金属工芸(=略して金工“きんこう”と呼びます)の中に
・鋳金(ちゅうきん)
・鍛金(たんきん)
・彫金(ちょうきん)
という技法があるのです。
彫金とは、その文字の通りで、
『金属を専門の道具で彫ったり削ったりすること』
です。
が、この技術だけでは実物が制作できないため、
ここに「叩く」とか「曲げる」、あるいは「切る」などの技法も、
当然一緒に行われています。
現在ではこの作業一連を総称して『彫金』と呼ぶことが一般的です。
総称なので、どこからどこまでが厳密に彫金なのか?
という区切りがなくなり、一般的にはアクセサリーを作る技法、
とイメージされることが多いようです。
鋳金は鋳型(いがた)という型を作り、
そこに溶かした金属を流し込んで貴金属製品などを作る技術で
鍛金は金属を叩いてぼこぼことした模様を打ち出していく技術です。
花瓶や水差し、生活の小物などを主に作ります。
■では、彫金師は、どんな仕事をしているの?
具体的には、鏨(たがね)という、
マイナスドライバーを太くしたような、
釘が巨大になったような工具を使って金属を彫る仕事です。
私たちに身近なところで代表的なものは
家具(取っ手部分・飾り金具)や仏具などの製作です。
他に、前述のようにジュエリーやアクセサリーなどの装飾品なども
手掛けることが多いようです。
なお、彫金師になるために、
特別な資格や学歴はありません。
しかしながら、想像通り、簡単にできるものではありません。
正しく、また高い彫金の技術を身につけるためには
日々の努力はもちろん、長年の経験と勘が欠かせないのは
他の伝統工芸や芸能と全く一緒です。
一般的には、学校で専門知識を身に着けて、
ある程度の技術が使えるようになってから
例えば彫金工房や宝石メーカーに就職する、
あるいは彫金師に直接弟子入りするのが一般的なようです。
・・・概ね、10数年で一人前、と言われており、
この世界だけで10年以上続けている人は、全体の2割程度、と
なかなか厳しい世界と言われています。
■人間国宝「桂 盛仁」とは?
桂 盛仁氏は長年にわたり、この練馬区に在住し制作を続けている
金工作家です
日本伝統工芸展などで高い評価を得ており、
2008年には重要無形文化財「彫金」保持者(=人間国宝)に
認定されています。
現在、人間国宝に認定されているのは、
能楽や歌舞伎、音楽、舞踊、演劇などの「芸能」の分野と、
陶芸や染織、漆芸、金工、人形、木竹工などの「工芸技術」の分野が
あります。
人間国宝はどのように選ばれるかというと、
まず文化庁内で候補が挙げられ、その後、
文化審議会で話し合い、
文化財分科会の調査・報告という段階を踏んで、
最終的に文部科学大臣が認定します。
芸術・表現・音楽などの世界は、
コレ!という正解がありません。
経験を積み、技術を磨いて鍛錬を重ねた人に与えられる、
ある種のご褒美・称号が「人間国宝」というわけです。
■長い技術の積み重ねと経験が生み出す「技」を鑑賞してみよう
この展覧会は、
桂 盛仁氏の初期から近作までの一連を
通して鑑賞できるだけでなく、
ルーツである盛行、そして光長、光春の作品も併せて展示されます。
今に生き続ける江戸彫金の匠の技をその目で確かめてみませんか?
<イベント概要>
・開催期間等:
2018/12/1(土)~2019/2/11(月・祝)
10時~18時(入場は17:30まで)、
月曜休館日※詳細はホームページまたはちらしを確認。
・会場:練馬区立美術館 2階展示室
・観覧料:一般300円ほか。
・関連URL:https://www.neribun.or.jp/museum.html
その他、おでかけの情報はコチラ!!
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https://www.nerimakanko.jp/