183
カテゴリ
ココネリで三遊亭はらしょうさんの落語を聴こう!
~落語の楽しさ、寄席への誘い~

取材日:平成30年4月26日 更新日:平成30年5月25日

sprepo183_top
ココネリの2階で、手持ち太鼓をトントンと鳴らし、着物姿で呼び込みをする人を見たことはありませんか? その人は、独自の「ドキュメンタリー落語」の世界を繰り広げる落語家、三遊亭はらしょうさんです。それって普通の落語とどう違うの? なんだか面白そう! ということで、ご本人のインタビュー&ドキュメンタリー落語体験をしてきました。
落語家:三遊亭 はらしょう(さんゆうてい はらしょう)さん
■公演名:ドキュメンタリー落語の世界
■会場:練馬区練馬1-17-1(ココネリ3階・多目的室)
■三遊亭はらしょう&ド落連公式サイト:http://blog.livedoor.jp/dqrr
 ドキュメンタリー落語ブログ:https://ameblo.jp/harashows
 はらしょうの会 電話:090-4288-4659

ドキュメンタリー落語ってなんだろう?

 ココネリ3階の多目的室を拠点に、月に4回のペースで独演会「ドキュメンタリー落語の世界」を開催している三遊亭はらしょうさん。会場で着物に着替えを済ませたところで、お話をお聞きしました。

 まずはドキュメンタリー落語について、教えてください!

 「古典でも新作でもない、全く新しい第三の落語です。簡単に言うと、実話を落語調で話すこと。それをドキュメンタリー落語と呼んでいます。ココネリで平成27年10月からスタートしました。1回に2話、そのうち1本は新ネタを入れ、現在は持ちネタが180本になりました。区の施設ですから入場料はいただきません。無料ですが、おひねりは大歓迎です(笑)」

 テンポも歯切れもよく、話に引き込まれてしまう、さすがは落語家さん! 初対面でも話しやすい気さくな方で、いっぺんにファンになりました。それにしても、新ネタを月に4本作るのは大変ではないでしょうか。

 「ココネリの他に、新宿でも毎週月曜日の夜に独演会をしているので、合わせて月に8本新ネタを作っています。『よくそんなに面白いことが次から次へとあるね』と言われるのですが、日常の普通のことを自分のフィルターを通して、多少オーバーに話しているだけ。ココネリではアルバイト体験や飲食店の話など、練馬の地元ネタをよくやります」

 それだけのネタを良く覚えられますね!?

 「タイトルと簡単な内容は箇条書きにしてパソコンに保存し、固有名詞は相手に迷惑にならないよう特に注意しています。セリフを覚えなくても実体験として体で覚えているので、台本は作りません」

 はらしょうさんは1977年生まれ、神戸市出身。落語家のほか、司会者、俳優などの肩書きも。どんな子ども時代を過ごされたのでしょう。

 「まあ、落ちつきのない子どもで『お前のようなヤツはよしもとに行け』と、よく言われていました。一緒に住んでいた祖母が新舞踊の先生で、子どもの時から裏方として手伝っていました。自分もいつかは表舞台に出たいなあと思っていましたね。中学生の頃からネタを作って友達に聞かせたり、お笑いのオーディションに応募したり、いろいろやってました」

 これまでを振り返ると、ちょっといいことがあると「売れる!」と調子に乗り、「あれっ、仕事がない」と落ち込む、その繰り返しだったそうです。

 「島田紳助さんの番組で一次審査に合格し、少し浮かれ気分で京都でデビュー。一人芝居をやっているうちに人気が出てきたので、『これならいけるかも。やるなら東京で勝負」と一念発起して上京。練馬に住むことになったのは12年前、28歳の時でした。NHK朝の連続テレビ小説『瞳』にセリフ付きの役で出演し、『役者で売れるかも』と思いつつも、相変わらずアルバイトの日々。不安でいっぱいでもうダメなのか、どう生きようかと悩む毎日でした」

円丈師匠との出会いが転機に

 何をしていいかわからず、好きだった寄席に足を運んだある日、新作落語の神様と言われる三遊亭円丈師匠(正確には圓丈。ご本人が円丈を使用することが多い)の高座を聴きました。一人芝居と通じるものを感じ、「自分がやりたかったことはこれだ!」と、31歳で目覚め、その後、師匠の楽屋に足を運んで弟子入りを頼み込み、ようやく1か月後に弟子入りを許されたと言います。

 「バイト先の先輩の話をネタにして師匠の落語会で演じたら、周囲から『面白い』と言われ、師匠からも『お前は一人でずっとしゃべり続けるのが向いている。その話芸に名前をつけてやれ』と、褒めたことのない師匠から認めてもらい、うれしかったですね。この言葉がなければ今の自分はない。いわば原点です」

 アルバイトなどの様々な経験も、ドキュメンタリー落語のネタとして生かされています。まさに練馬で生まれ、開花した話芸。その後は打つべし、打つべしのごとく、新ネタを連打しています。「300本を目標として、ゆくゆくはドキュメンタリー落語とは何か、教科書を作りたい」と、夢を語ります。

落語の楽しみ方や初めて聞く方へ

 「ネットで動画なども観られますが、ナマに勝るものはありません。落語を初めて聴く場合、独演会よりもまず寄席に行くといいですよ。寄席では多くの落語家が登場するので、自分に合った落語家が見つかる可能性が高い。そうしたら独演会などで追いかけていけばいいんです。初めに合わない独演会に行ってしまうと、落語自体を敬遠してしまいますから」

 寄席の情報は、どこで探せばいいのでしょうか。

 「『東京かわら版』という縦長の冊子は、東京の寄席情報が網羅されていますよ。落語好きな方は、皆さん持ってきます。鈴本演芸場などの寄席はもちろん、東京近郊で開かれる大小の会、毎月600件以上の情報を紹介している媒体はほかにはありません」

 落語の魅力は、どんなところでしょうか。

 「馬鹿な奴、どうしようもない奴が登場する話がほとんどで、それを聞いて安心するんです。『こんなヤツがいるのなら、自分は悩む必要ないな』と(笑)。そして、笑えば心身共に元気になる。自分も落ち込んでいる時に、笑うと救われますから」

 取材後、はらしょうさんの高座を拝見。当日のネタは、「モゴモゴ」という、としまえんのアルバイト時代の話と、新ネタ「豊の湯の玉子丼」という練馬の銭湯事情。汗だくになりながらしゃべり続け、あっという間の45分。ドキュメンタリー落語は初めてでも、わかりやすく楽しめました。

 最後は、はらしょうさんのモットー「真実は落語より奇なり」で終わります。皆さんもココネリに足を運び、ドキュメンタリー落語を楽しんでみませんか。

spcomtitle

豆柴

ドキュメンタリー落語を知る人は、まだまだ少ないが、はらしょうさんの体験による話なので分かりやすい、入りやすいのは間違いない。まず直接足を運ばれることをお勧めする。たまたま取材の2日後にココネリで高座あり、再び落語を聞いた。常連や初めて来た親子もいて、大いに盛り上がった。会場もほぼ満員、笑いの渦に包まれた。はらしょうさんは40歳、まだまだ若い。あの熱意と行動力でメジャーデビューも大いに期待できる。テレビで独演会が見られることを期待し、今後も応援をしたい。

かもめ

お笑い好きのミーハーとして、落語家さんに会えるのを楽しみに伺うと、自ら会場入口の看板を設置中。開演直前まで太鼓を叩いて呼び込みをし、その後の高座では、練馬での経験を汗だくで熱演されました。子どもの時から「表舞台に出たい」と、その時々の自分の感性を信じて、芸の道を突き進んできたはらしょうさん。取材時の真面目で飾らないお人柄もあり、応援したくなりました。多くの方に、気軽にドキュメンタリー落語を聴いてほしいです。それにしてもはらしょうさん、座布団が小さすぎませんか?

sprepo183_01

落語家の他に、劇団主宰、役者、ピン芸人、放送作家、映像作家、フリーターなど様々な経験をもつ三遊亭はらしょうさん

sprepo183_02

ココネリ2階にて開演の30分前から太鼓を鳴らして呼び込み開始。「落語は第一印象が大切。たまたま私の落語を聴いて『なんだ、わかりやすいんだな』と感じてくれたらうれしいです」と、はらしょうさん

sprepo183_04

ドキュメンタリー落語のチラシ。マンガでネタの一部が紹介されています

sprepo183_05

三遊亭円丈師匠(右)と、仲良くガッツポーズ! (写真提供:はらしょうさん)

sprepo183_06

普段は会議室などで使用されているコネリ3階の多目的室。常連さんや仕事帰りの会社員、主婦、親子連れなど幅広い客層です

sprepo183_07

入場無料ですが、おひねり大歓迎! 再利用のぽち袋も用意されています(笑)

sprepo183_08

サポーターの取材の様子。どんな質問にも歯切れよく答えてくれるはらしょうさんに好感度◎

sprepo183_09

映画好きのはらしょうさん。人生に影響を与えたベスト3を挙げてもらいました。1位「ゆきゆきて神軍」、2位「鬼が来た!」。3位の「パルプ・フィクション」は、脚本が落語に似ていて、台本の手本にしているそう