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練馬にカレーの歴史あり?!
〜株式会社ナイル商会の「インデラカレー粉」〜

取材日:平成29年8月23日 更新日:平成29年10月10日

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練馬に、発売から65年のロングセラーとなっている本格的なカレー粉を製造販売している会社があるのをご存じでしょうか。こだわりの原料と製法で作られたカレー粉「インデラカレー」を作っている「株式会社ナイル商会」です。日本のカレーの歴史にも大きな影響を与えたこのカレー粉が、なぜ練馬で作られているのでしょうか? さらに、カレーで健康になれるって本当?!
株式会社ナイル商会
代表取締役:小泉 貞男(こいずみ さだお)さん
■ 所在地 練馬区豊玉北4-33-15
■ 電話 03-3993-4111
■ホームページ:http://www.nair.co.jp/

練馬でカレー粉が生まれた理由

 練馬駅から歩いて約15分。「インデラ・カレー」と書かれた黄色い看板が、株式会社ナイル商会の本社の目印です。さっそく社長の小泉貞男さんに、インデラカレーの歴史についてお話をうかがいました。

 「もともと私の祖父は練馬で米屋をしており、父も練馬で生まれました。昭和10年、文京区で業務用カレーの製造販売を始めた父は、昭和22年に練馬に戻り、『旭食品』を創業してカレーライスの素を作っていました」

 練馬とカレー。一見全く関係がないように見えますが、実はとても深いつながりがあったのです。当時、軍事物資として練馬の農家では練馬大根のたくあん漬けが大量に作られており、そのたくあんを黄色く色付けするために使われていたのがウコンで、練馬の漬物会社にはウコンの原料がたくさん保管されていました。

 「ところが戦後、たくあん漬けを作る農家が減り、ウコンが余ってしまいました。そこで父がそのウコンを分けてもらい、カレーのスパイスとして使うようになったのです。父は、使い切れないほど在庫が残っていたウコンの原料を都内の他のカレーメーカーにも紹介し、農家に代わって販売したそうです」

 練馬でカレー粉が生まれたきっかけは、意外にもたくあん漬けだったのですね!

日本とインドの協力は台所から

 やがて、旭食品に大きな転機がやってきます。それが、日本のインド料理店の草分けともいえる「ナイルレストラン」の初代オーナー、A.M.ナイル氏との出会いでした。

 日本でインド独立運動の活動をしていたナイル氏は、戦後、インドが独立を果たした後も日本に残りました。独立の支援をした日本とインドの友好のために尽くそうと決心したナイル氏は、「日印協力は台所から」というスローガンのもと、国内でインド料理の1号店となるナイルレストランを東銀座にオープンしました。

 「ところが、インドのカレーの味にこだわっていたナイルさんは日本のメーカーのカレー粉では満足できず、たまたま知り合った父と協力して独自のカレー粉を作ることになったのです。ナイルさんの舌の記憶を頼りに試行錯誤を繰り返し、ようやく理想のカレー粉が完成。この時、社名を『株式会社ナイル商会』に改め、カレー粉メーカーとして再出発することになりました」

 このカレー粉が「インデラカレー」と名付けられました。当時、台東区の小学生たちが「上野動物公園にゾウが欲しい」とインドのネール首相に手紙を送り、ゾウが贈られたことが話題となりましたが、そのゾウにネール首相のお嬢さんと同じ名前(インデラ)が付けられたことに由来しているそうです。

 「今でもインデラカレー粉の缶には、かつての社名である“旭”と、インドを象徴するゾウのマークを入れているんですよ」

宮内庁も認める、こだわりのカレー粉

 約20種類のスパイスを世界各国の産地から取り寄せ、臼で挽(ひ)いてブレンドしているインデラカレーは、タレントのタモリさんを始め、“通”がこよなく愛する高級カレー粉の代名詞にもなっています。

 「今上天皇が皇太子の頃、カレーが大好きだとお聞きしたので、毎年1月4日には火入れをした初釜を献上していました。ナイルレストランは芸能人や歌舞伎役者にも人気で、宮内庁と歌舞伎座にだけは出前をしていると言っていました。今でも宮内庁から要請があると、店を休みにして届けているそうです」

 ナイルレストラン以外にも、有名カレー店やホテルなどで広く使われているというインデラカレー。練馬区内では、カルディコーヒーファームのココネリ練馬北口店やサミットストア、高野台のベジフル食品館内にあるヤスノC&Cなどで購入できるので、家庭でも本格的なカレーを作ることができます。

認知症予防や健康維持にも効果的!

 ウコン、クミン、ナツメグ、コリアンダー、フェンネル、クローブ、ショウガ、トウガラシなど…カレーに使われるスパイスは、漢方薬にも通じるものばかり。カレーはまさに薬膳料理なのです!

 「実は、カレーは認知症予防に効果的だと言われているんですよ。インドでは認知症患者が少なく、その発症率はアメリカの1/4だそうです。クミン、コリアンダー、ナツメグ、カルダモン、グローブなどには抗酸化作用があり、ウコンにはがんを抑制する効果、シナモンやショウガなどは身体を温める作用があり、カレー粉はまさにいいことずくめなのです」

 カレーを作る時のポイントとして、みじん切りにしたタマネギをアメ色になるまでよく炒めること、臭みを取るため肉にはあらかじめカレー粉にまぶしておくこと、煮込んだあとの仕上げにカレー粉を小さじ半分くらい入れると香りが引き立つことを教えていただきました。レトルトカレーでも、最後にひとさじ加えるだけで風味がよくなるそうですよ♪

 「納豆のたれにカレー粉を混ぜるとにおいも消え、おいしいんですよ。また、炒め物やチャーハン、ドレッシングやマヨネーズに混ぜたり、天ぷらをカレー塩にしてみたり、調味料としての活用の幅が広いので、ひと味違うおいしさを楽しんでみてください」

 おいしくて健康になれるなんて一石二鳥! 練馬で生まれたこだわりのインデラカレーで、健康長寿を目指しましょう!

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東銀座のナイルレストランは、今まで何度か行ったことがありました。あの味は、インデラカレーなくして実現しなかったんですね! 大根→たくあん→ウコン→スパイス→カレーというつながりが、いかにも練馬区らしい! 練馬区には素晴らしいストーリーがまだまだ埋もれているんだなと驚き、うれしく思いました。

あさぎり

日本人はカレー好きで、我が家もカレー大好き家族です。会社の歴史、カレーの原料となる20種類以上のスパイスについても解説していただき、製法はすべての工程が機械化ではなく、一部は人手で行うという昔ながらの製法と聞き、一段と感動しました。シニアの皆様、カレー料理をもっと食べましょう。カレー粉は健康への有用性も期待されますね。カレー粉の老舗メーカーが練馬区にあるというご縁も感じ、ますますカレー料理を愛していこうとホットに感じた取材でした。

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代表取締役の小泉貞男さん。カレー粉を入れた納豆を毎日欠かさず食べているそう

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社内には、A.M.ナイル氏(左)と、創業者であり父親でもある小泉忠三郎さんの写真が飾られています

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昭和24年にA.M.ナイル氏が東銀座にオープンした「ナイルレストラン」は今も大人気! 現在は、二代目のG.M.ナイル氏が活躍中

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ナイルレストランの名物メニュー「ムルギーランチ」1,500円

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パッケージもデザインも発売当時からずっと変わらないそう

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旭とゾウをあしらった「インデラカレー」のロゴマーク

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「インデラカレースタンダード」(右)と、辛みを強調した赤白のデザインの「インデラカレーシャープ」。それぞれ業務用の2㎏缶(平成29年10月よりクラフト箱に変わりました)

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サポーターの取材の様子