介護者がほっと安らげる地域のオアシス
「ケアラーズカフェCoもれび ~光と風が通る場所~」

取材日:平成29年7月13日 更新日:平成29年9月11日

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「ケアラーズカフェ」とは、自宅で家族を介護する人(ケアラー)が、ほっと一息つける居場所のこと。練馬区内唯一のケアラーズカフェを、自宅を開放して定期的に開催している方がいると聞き、さっそく取材に行ってきました。
ケアラーズカフェCoもれび 〜光と風が通る場所〜
代表:上野 美知子(うえの みちこ)さん
■所在地 練馬区早宮3
■電話 03-3948-3324
■時間 奇数月第2木曜日13:00 ~16:00
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地域の仲間と共に、描いていた夢を実現!

 豊島園駅から十数分ほど歩いた住宅地の一角に、「ケアラーズカフェCoもれび」がありました。ここは代表の上野さんのご自宅。リビングやキッチンを開放して、2か月に1回ケアラーズカフェを開催しています。

 そもそもは、介護者を支援する「NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン」が、“介護者をケアラーと呼ぼう”と提唱したのが始まりとのこと。上野さんがケアラーズカフェを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

 「もともと介護の仕事をしていたのですが、地域で認知症に対する理解の低さを感じていました。そんな時、ケアラーズカフェの立ち上げ講座を受講する機会があり、自宅を開放すればできるかなと思ったんです。ちょうどパワカレ(パワーアップカレッジねりま)にも通っていた時期だったので、協力してくれる仲間もすぐに見つかりました」

 上野さんは自宅で料理教室を開いていた経験もあり、自宅を開放することに抵抗はなかったとのこと。
 「子育て中に知り合った学校関係や地域の仲間たちとは、子育てが終わってからは疎遠になっていたのですが、今度は介護に関心のある世代になったので、声をかけたら集まってくれました」

地域介護を支えるコミュニティの場

 当初は月2回の開催で、平成26年4月にスタート。初めこそ参加者が数名ということもありましたが、今は多い時で20名ほど訪れるそうですから、需要の高さを感じます。

 「ケアラーはもちろん、介護職の方や、ケアラー予備軍の方もいらっしゃいます。『早い段階で相談ができたので、相談先や今後の対応策がわかって助かった』と言われた時は、うれしかったですね。また、高齢の常連さんからは介護される側の気持ちを聞くことができ、とても参考になるんですよ」

 回を重ねるうち、区内や他区の福祉ボランティア団体などとのつながりも生まれ、広がりを見せているそう。それだけ、この場が必要とされているということなのでしょうか。

 「私たちは医療の専門家ではありませんが、職場や自身の介護経験から、『自分も同じだった』『私はこんなふうに対応した』など、共感したり体験談やアドバイスを話したりすることはできます。介護をひとりで抱え込んで悩んだり疲れたりすることのないよう、こういう場をうまく使ってほしいですね」

 従来からある家族会と違い、ゆったりとお茶を飲みながら自由に話せるのも魅力のひとつ。自宅という落ち着いた空間だからか、リラックスしていろいろな話をしたくなるから不思議…。

安心して暮らせる地域を増やしていきたい

 「明るく、風通しよく、周りの人を気にかけながら暮らすまちづくりが私の理想。Coもれびの副題である『光と風が通る場所』に、その思いを込めました」

 そう話す上野さんですが、現代の東京では、周りに干渉しないことを良しとする風潮もあり、まだまだ課題は満載です。

 「近隣との関係性が密であれば、何かあった時でも気軽に声をかけられます。昔は当たり前だったご近所付き合いを新しい形で取り戻していきたいですね。この場所が、地域でつながるきっかけになれば…」

 たとえ近くにケアラーズカフェがなくても、地域に悩みを打ち明けられる場があれば、大きな支えになるはず。
 「今の介護は、施設から在宅へ、さらに地域ケアへ、と言われているので、地域の支えがないとケアラーにとっては本当につらい時代。“おたがいさま”で、お節介を焼き合えるような関係が作れたらいいですよね」

スタッフも楽しく、元気になる場!

 現在、スタッフは13名。カフェ開催日は6名ほどで運営し、お互いに無理のない範囲で協力し合うのが継続のコツのようです。スタッフの方々にもお話を聞いてみると…

 「介護がつらくても、家族や友人には本音を言いにくいですよね。だから、何も気にせずに話せる場があることで、私自身もとても楽になりました」「スタッフの私にとっても、ホッとして話をしたくなる場所。毎回ここに来るのが楽しみなんです!」など、利用者の視点でも、この場所の意義を実感しているようです。

 上野さんと共に立ち上げから関わってきた栗和田さんは、
 「私にとって、上野さんは地域の同志。私はずっと企業で働いてきたので、リタイア後の地域の居場所ができたといつも感謝しています」と笑顔で語ってくれました。

 上野さんとスタッフがつくり出す優しい雰囲気に、リラックスして気持ちが和み、自然におしゃべりできる…そんなケアラーズカフェのドアを、ぜひ開けてみてください。きっと優しい気持ちに包まれるはずです。

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かぐや姫

上野さんのご自宅の居間は明るく和やかで、私たちを優しく迎えてくれました。ここでケアラーの方が悩みを話したり、介護に関する有用な情報を得たりします。発足してまだ日は浅いですが、区外のケアラーズカフェとの交流会、医師を迎えての講演会、区への働きかけなど、その活動は地域にしっかりと根差しながら、全国的に力強く枝葉を伸ばしています。印象に残ったのは、そんな素晴らしい活動をしながら、上野さんやスタッフの方々の軽やかで楽しそうなご様子! 静かな住宅街にこんなに素敵なカフェがあったのだと、練馬区の奥深さに改めて感嘆しました。

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認知症カフェは知っていても、ケアラーズカフェのことは全く知りませんでした。知人が母親の介護に忙殺されていると聞いていたので、興味を持って取材に行きました。ここには介護者を中心に、その予備軍や、介護される側の人など、様々な人が来るそうです。初めは介護の問題を抱えた人の居場所だと思っていましたが、「その日に来た人が癒やしの場を作る」…そんな雰囲気が“光と風が通る場所”を作り、「周りの人を気にかけながら暮らす」ことの実現に通じるのではないかと感じました。エネルギッシュで、日々真剣に生きている上野さん。その人柄に惹かれて同じ志を持った人たちが集まってくる…。そう感じた1日でした。

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玄関の前にある手書きの案内板。誰でも温かく迎え入れてくれる場所です

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出迎えてくれた代表の上野美知子さん。明るくて優しい笑顔に癒されます

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介護に限らず、話題はいろいろ。「こういう場があるということを知ってもらいたい!」

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退職後にパワカレで上野さんと出会い、一緒にケアラーズカフェを盛り上げるメンバーの1人、栗和田博之さん。美味しいコーヒーをいれてくれます

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参加料は1人500円。コーヒーと“かすたねっと”のお菓子でリラックス♪

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活動報告や情報発信のために「Coもれび通信」を発行しています

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居場所づくりに貢献している区内の16団体で作り上げた「練馬ふれあいてつどう」。プロジェクトの中心人物は、駅長に扮した上野さん!

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サポーターの取材の様子。居心地が良くて、つい話し込んでしまいました(笑)