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石神井に根付き、世界にも視野を広げるオーケストラ
~石神井Int'lオーケストラ~

取材日:平成29年6月17日 更新日:平成29年7月25日

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平成25年、石神井に「石神井int'lオーケストラ」と「クニトint'lユースオーケストラ」の2つのオーケストラが生まれました。10代から60代の39名が参加する「石神井int'lオーケストラ」は、多世代が気持ちを一つにして、練習に励み、音楽を楽しんでいます。地元のオーケストラをもっと知りたくて、取材に行ってきました。
石神井int'lオーケストラ
音楽監督:西谷 国登(にしたに くにと)さん
事務局長:深町 珠由(ふかまち たまゆ)さん
■ ホームページ(石神井int'lオーケストラ):http://shakuoke.com
■ ホームページ(クニトInt'lユースオーケストラ):http://kuniorch.com
■ ホームページ(西谷国登):http://nkunito.com

目指すのは「世界一入団しにくいオーケストラ」!?

 「石神井int’l(インターナショナル)オーケストラ」、略して「石(しゃく)オケ」。生まれも育ちも石神井で、ヴァイオリニストでもある西谷国登さんが石オケを創設しました。さらに小学生から高校生までを対象としたクニトInt’lユースオーケストラも同時にスタートしました。オーケストラ誕生の思いについて、西谷さんと深町さんに伺いました。

 「石神井中学時代は吹奏楽部。そこで皆で音楽を創る楽しさを知って、プロの道を目指しましたから、自分でもオーケストラをやりたいと思っていました。しかも楽しくやりたい! というのも、日本の音楽教育は明治時代以降、『学問』重視でミスなく演奏するのが基本です。でも、アメリカの留学先では、常に笑顔、いつもポジティブ。ほめられて、うれしくなって、上手になれる環境がありました。『あぁ、これを日本でもやりたい』と熱烈に思いました」

 だから、石オケの練習風景は笑いが絶えない。西谷さんも「笑顔で~!」と声をかけながら、弾むようにタクトを振ります。

 「目指すのは、『楽しくて、世界一入団しにくいオーケストラ』。だから入団希望者が絶えない。でもパートに空きが出なくて、入団するのが難しい。そんなオーケストラです」

弦楽オーケストラの強みを活かして

 石オケの団員数は現在39名。コントラバス以外の入団希望については、要相談という状況です。どんな方が団員になられているのでしょうか。

 「男女比は1:2で女性多数。年齢層は10代から60代まで幅広く、皆さん、仕事や家庭、学業の合間を縫って、練習に集まっています。学生時代に楽器の経験があっても、石オケに参加するまでは、長いブランクがあったという方も多いです」

 しかも練馬区在住者ばかりではなく、区外から通って来る方も多いとのこと。団員から見た石オケの魅力とはどんなところにあるのでしょう。

 「楽しく演奏できる、というのが一番だと思いますが、プロの演奏家がパートごとの指導に当たっているので、オケに参加しながらプロのレッスンも受けられる貴重な機会になっています。こういったスタイルは、他のアマチュアオーケストラには少ない、石オケの特徴と言えるでしょう」

 編成は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの弦楽編成。管楽器のない弦楽オーケストラであることも、石オケの特徴のひとつです。

 「創設当初は弦楽からスタートして、その後、管楽器も募集。フルオーケストラにしたいと考えていたんです。でも、平成28年10月に『みどりの風 区民コンサート』で、石神井中学校の吹奏楽部の部員たちと共演したら、これが実にいい! 弦楽だからこそ、いろいろな組み合わせができるのが、石オケの良さだと改めて実感できたんです」

 現在は、石神井公園ふるさと文化館をホームグラウンドとし、月2回土曜日夜の練習を行っています。

音楽は世代や国を超えた共通言語

 「異世代同士が何か話をしようと思っても、話の糸口を見つけるのに苦労しますよね。でも、『この曲をどうにか弾こう』と思ったらそこに年齢の壁はなく、上手になりたいという思いは誰も同じです。するとそこに共通の話題ができる。自分の年齢を忘れて熱中できる。それも音楽の持つ力だと思います」

 大人たちに囲まれる環境で若い人たちも自然と目上の方を敬う気持ちが生まれ、礼儀正しさも身につく。西谷さんも若手の様子を安心して見守っていられる、とのことです。

 「地元に愛されるオーケストラを目指すと共に、世界にも目を向けていきたい。外国籍の団員が在籍している縁からジャマイカのユースオーケストラに楽器を寄贈したり、アメリカのイリノイ大学教授でヴィオラ奏者のルドルフ・ハケン氏とも活動を通じて知り合うことができ、定期演奏会で共演しました。将来的には海外公演も実現させたいと思います!」

「みどりの風 区民コンサート」で石オケが聴ける

 これから先、石オケを聴く機会はありますか。

 「10月14日(土)に石神井松の風文化公園で開かれる『みどりの風 区民コンサート』には、今年も出演予定です。現在、私はプロデューサー兼指揮者として、昨年よりもさらにパワーアップした企画を考えています。ぜひご来場ください」

 ほかにも、定期演奏会(毎年5~6月に開催)は大勢の方々にご来場いただけるよう入場は無料とのこと。その他、様々な団体から依頼を受けた出張ミニコンサートもあるそうです。地元のオーケストラを応援しながら、音楽を身近に感じてみてはいかがでしょうか。

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こみち

地元にオーケストラがある! こんなにうれしいことはありません。しかも10代から60代までの多世代・多国籍編成ということでワクワクしながらの取材でした。「楽しい」ということがキーワードとのお話でしたが、実際の練習も肩の力が抜けた和気あいあいとした雰囲気で、音楽はやはり楽しむためにあるのだということを改めて感じました。団員の方々の熱意とレベルの高さはもとより、音楽は世代、国籍を超えるという理想を実現していることに感銘を受けました。ああ私も弦楽器が弾けたなら!と何度思ったことでしょう。翌日開催された、年に一度の定期演奏会も大変素晴らしく、多くの区民の皆さまにこのオーケストラを知って、演奏を楽しんでいただきたいと思いました。

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クラシック音楽や楽器演奏に詳しくなく、どちらかというと苦手意識もあったのですが、自分の生活拠点ともいえる「石神井」にオーケストラがあることを知って、とてもうれしく思い、興味津々で取材に参加しました。そして西谷先生の明るくパワフルなキャラクターにすっかり引き込まれました。音楽は“お勉強”ではなく熱中して楽しむもの、そうしたらいつのまにかレベルも上がっていた、というお話に感動! 地元の誇りです! 区民の皆さんも気軽に演奏会に足を運んで、オーケストラを楽しんでいただけたらと思います。

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オケのことになると話が止まらない、明るい音楽監督の西谷国登さん

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深町珠由さんはオケの団員であり、事務局運営や広報なども担当しています

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毎年5~6月に定期演奏会を開催。年に一度の晴れ舞台に向け、前年9月から約1年をかけて練習を重ねていきます
(写真提供:石神井int’lオーケストラ)

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年代や国籍が違っても、音楽が好きなのはみな同じ。「音楽は世代や国境を越えた共通語」を体現しているのが、石オケのメンバーです

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練習は土曜の夜で月に2回。石神井公園内のふるさと文化館をホームグラウンドとしています

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アマチュアだからこそ、少しずつの進歩がとてもうれしい。西谷さんのタクトに合わせて、団員の心がひとつになるのを感じます

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平成28年10月に『みどりの風 区民コンサート』に参加。平成29年10月14日(土)に「石神井松の風文化公園 松林のひろば」で開催されます。企画、練習とも気合が入っているとのこと!

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サポーターの取材の様子。取材後は練習の見学もさせていただき、石オケの魅力を垣間みました