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いざという時の「食と防災」
~災害時に役に立つサバイバル飯~

取材日:平成29年5月18日 更新日:平成29年6月26日

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もしも災害が起こってライフラインが止まったら…毎日の食事がどのようになるか、想像できますか? 長期にわたる被災生活で、温かくて栄養のある食事を摂ることができたら体も心もホッとするはず。そんな思いから、自宅にあるもので簡単に作れる「サバイバル飯」(通称「サバ飯」)を提唱している「心のあかりを灯す会」の皆さんに、サバ飯の作り方を教わってきました!
練馬区〈防災・安全〉教育推進協議会 「心のあかりを灯す会」
代表:鈴木 裕子(すずき ゆうこ)さん
心のあかりを灯す会 事務局(練馬区危機管理室区民防災課)
■所在地:練馬区豊玉北6-12-1
■電話:03-5984-2601
■フェイスブック:https://www.facebook.com/tomosouakari

水も電気もガスも使えない! さあ、どうする?!

 「心のあかりを灯す会」は、練馬区の区民防災組織として活動するボランティア団体で、普段は小学校などで子どもたちに向けた防災教育をメインに活動をしています。

 この日は、練馬区立防災学習センターの調理室をお借りして、代表の鈴木さんと、メンバーの長田香さん、加藤真由美さんに、サバ飯の作り方を教えていただきました。

 まず、最低限用意しておきたいのは、カセットコンロとボンベと水。これさえあれば、ライフラインがストップしても温かい食事を作ることができるんです!
 「ライフラインの復旧の目安は、電気が7日、上下水道が30日、ガスは60日と言われています。ボンベは1本で約1時間、飲料水は1人1日3ℓを目安に、1週間分のストックを各家庭で用意しておきましょう」と、鈴木さん。

 今回チャレンジするメニューは、鯖の味噌煮缶を使ったカレー、切り干し大根とワカメの酢の物、プリンの3品です。さっそくサバ飯クッキングスタート!

ポリ袋を使って温かい「ご飯」を作ろう

 何はともあれ、まずは温かい“ご飯”の作り方を覚えましょう! ここで活躍するのが、半透明のシャカシャカしたポリ袋です。
 「『高密度ポリエチレン』と書いてあるものなら、融点が130℃なので熱湯に入れても大丈夫です。災害時にポリ袋はとても便利で役に立つので、買い置きしておくといいですよ」と、テキパキ説明してくださるのは、長田さんです。

 米1:水1.2の割合で、ポリ袋の中に米と水を入れます。計量カップがなくても、この比率さえ覚えておけば、ちゃんとご飯が炊けるので安心。無洗米はもちろんのこと、普通のお米でも研がなくても問題ないそうです。蛇口をひねれば水が使える平時とは違うということを意識するのも、サバ飯のポイントですね。

 米と水を入れたらポリ袋の空気を抜き、ねじって上の方で縛ったら準備完了。空気が入っていると浮いてきて火の通りにムラができてしまうので、しっかり空気を抜くのがコツです。
 「底に皿を敷いた鍋に7~8分目まで水を入れ、ポリ袋を入れます。沸騰してから25分で火を止めて、蒸らしたら出来上がりです。1袋に入れる分量は1合まで。たくさん炊く場合は、袋の数を増やしてください」

 そのまま出して食べれば鍋も皿も汚れず、お湯もきれいなので再利用可。工夫すれば、最小限の水だけで食事が作れるんですね!

普段も使える、楽チン&時短料理!

 ご飯を炊いている間に、デザートのプリンに取りかかります。作り方は簡単。ポリ袋に卵、牛乳、砂糖を入れ、もみながら混ぜたら、米と同じ要領で袋の空気を抜いてねじって縛ります。沸騰したお湯に入れて弱火で10分。冷えたら完成です。災害時だからこそ、甘いデザートでホッとできる嬉しい一品ですね。

 続いて、乾物や缶詰を使って酢の物を作ります。切り干し大根、カットわかめ、少量の水をポリ袋に入れて戻し、ミカンの缶詰とシロップ少しを加えてよくもみ、酢、しょう油、ごま油を入れたら出来上がり。
 「不足しがちな野菜は、切り干し大根などの乾物で補えるので、常備しておくとよいですね。ミカンを入れるとお子さんが喜びますし、彩りも良くなり、意外なほどおいしいんですよ♪」

 最後にカレーです。キュウリ1本をポリ袋に入れ、ふきんを乗せて、袋が破れないよう注意しながら麺棒などで叩きます。そこへサバの味噌缶を投入し、カレー粉を入れて混ぜるだけ。
 「お子さんにはカレー粉の量を減らして調整してください。サバは水煮缶ではなく、味噌煮缶を使うのがポイントです」

 さて、肝心のお味は…おいし~い! 普段の食卓にも十分出せる料理で、ポリ袋で作った災害時のレシピとは思えません! メンバーの方に、防災についてお聞きしました。

防災で大切なのは「想像すること」!

 「食料の備蓄は、わざわざ非常食を買わなくても、缶詰や乾物、レトルト食品などを普段から使い、なくなったら買い足す『ローリングストック』がおすすめです。いつまでも使わずに賞味期限が切れてしまったということがないように、各家庭でお気に入りの食品をそろえておくといいですよ」

 最後に、鈴木さんからメッセージをいただきました。
 「普段やっていないことは、非常時もできません。サバイバル飯を作ってみると、日々の買い物の視点もきっと変わると思いますよ。防災でいちばん大切なのは、被災した時、どこでどんな状況で何を食べることになるのかを“想像すること”。まずは、自宅にある食材で、家族の1週間分の献立を考えてみてください」

 被災後の「食」に焦点を当てた防災活動がとても新鮮に感じられ、「心のあかりを灯す会」の皆さんの誠実で熱のこもった対応に心を打たれた取材でした。誰もが被災者になる可能性があると認識すること、一人一人が自分の身を守る行動が取れるようになることが重要なんですね。身近な工夫で生き延びていくことの大切さを実感しました。

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こみち

サバイバル飯を作る体験をし、被災することがどういうことなのかを少し実感できたように思います。防災グッズの常備や家具の転倒防止などの対策に加え、被災した時の「食」についての様々な工夫と知恵を教えていただきました。今回作ったメニューはどれも簡単で栄養バランスも良く、そしておいしい!というのが驚きでした。皆さんの知識と熱意、そして活動の継続性に感服いたしました。ありがとうございました。

あさぎり

サバイバル飯の画期的な調理方法は驚きと感動でした。ポリ袋を使ったレシピは短時間で仕上がり、味も良く、料理としても十分に美味しいものでした。食の面から防災を捉えた『食と防災』は、生き残ったあと「生きていく」ための知恵と備えです。皆さまも、ぜひサバイバル飯にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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「心のあかりを灯す会」代表の鈴木さん。阪神淡路大震災で被災した経験を踏まえ、平成14年に会を立ち上げました

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カセットコンロの寿命は約10年、ボンベは6〜7年とのこと。定期的に使い、期限や不具合などをチェックしておくことが一番の備え

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混ぜたり加熱したり手袋代わりにしたり…。ポリ袋の使い方を長田さん(左)に教えていただきました。上手に使えば調理の幅も広がり、衛生面も安心です

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ポリ袋でご飯を炊きます。水から入れて、鍋肌にポリ袋が触れないように注意しながら中火で25分

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切り干し大根とワカメの酢の物(左)と、サバの味噌煮缶を使ったカレーがあっという間に完成

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調理スタートから1時間弱で完成! ラップやポリ袋をかぶせたお皿に乗せれば洗い物も減らせます

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調理をしながら、外出時の携帯ポーチや資源の節約方法など、防災に関する工夫や知識をたくさん教えていただきました

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