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食でつながる地域のモデルケースがここにあった!
~NPO法人 楽膳倶楽部~

取材日:平成29年4月27日 更新日:平成29年5月25日

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練馬区旭町を拠点に、「食のほっとサロン」や「配食サービス」、「男性の料理教室」や「子ども食堂」など…幅広く活動をしているNPO法人楽膳倶楽部。「食でつなぐ地域の絆」という理念のとおり、食を通じて人と地域がつながるその活動は、これからの時代のシニアにとって理想のモデルケースのひとつと言えるのではないでしょうか。さっそく取材に行ってきました。
NPO法人楽膳倶楽部
理事長:清宮 百合子(きよみや ゆりこ)さん
■所在地 練馬区旭町1-31-4
■電話 03-6915-6300

楽膳倶楽部の第一歩は「ランチパーティー」から

 楽膳倶楽部の最初の活動は平成10年、みんなで集まって、食事をする会「ランチパーティー」でした。現在、理事長を務める清宮百合子さんは、その当時、障害者のための朗読テープづくりをしていましたが、その仲間に「食事を提供する場をつくりたい」と相談すると、4人ほどが賛同してくれたと言います。

 「ひとり住まいをしている母の食事を作っている時に、『食のサポートがあれば、母をはじめとする多くの高齢者が、自立したひとり暮らしを続けられる』と考えたのが、きっかけです」と、清宮さんは話します。

 ランチパーティーを始めるにあたり、まず問題となったのは開催場所。幸い、当時、光が丘IMAにあった「東京電力テプコプラザ」を月2回借りられることになりました。次は、参加者の募集です。仲間同士の口コミに加え、2000枚のビラを配ることにしました。
 記念すべき第1回目は、平成10年1月16日の大雪の日でした。でも、参加者は仲間が数名だけだったそうです。

 そんな状態が数年続きましたが、地元の広報誌に取り上げられたのがきっかけで参加者がどっと増え、活動が定着しました。地元の小学校の調理室を借りて、調理だけでなく会食もできるようになりました。「食事をしながら会話が弾む」…これが当初の目標であり、それがようやく満足できる形で実現できたのです。

 「大勢の仲間と食べていると、みんな和やかになるんですよね」と清宮さんは言います。楽膳倶楽部の活動の原点である「みんなで囲む楽しい食事」を実現するため、平成23年には旭町に拠点を構え、やがて「食でつなぐ地域の絆」へと発展していくことになります。

男性料理教室が大きな転機に

 ランチパーティーはその後、練馬区「食のほっとサロン」事業として回を重ね、年を重ねていきますが、当初参加されていた方は高齢になり、足を運ぶことが難しくなりました。そこで、そういった方たちへお弁当を届ける「配食サービス」を始めました。

 また、“料理を提供されるだけでなく、料理を作ってみたい”というニーズも高まり、平成18年からは「男性の料理教室」もスタート。これが、楽膳倶楽部の活動基盤をより強くするきっかけとなりました。

 「男性の料理教室」の参加者の中には、ちょっとした大工工事や電気工事が得意な人、パソコンに強い人、ビラや広報誌の編集ができる人、ホームページ制作ができる人など、様々な才能やノウハウをもつ顔ぶれが揃い、活動を支えるメンバーとしてみんなが協力してくれるようになったのです。

世代を超えて広くつながる

 現在、楽膳倶楽部の会員は85名ほど。男女比はだいたい1:2で、男性の会員も少なくありません。会員の数が増えてくると、そこからまたいろいろなアイデアやニーズが生まれてきます。俳句教室、麻雀の会、歌の会、折り紙教室、ママカレッジなど…分野はさまざま。

 「こういう企画は、それこそ食事をしながらワイワイガヤガヤやっているうちに、自然に生まれてくるんです。ひとところにとどまっていると、活動は停滞してしまう。今も次々と新しい企画が出てきますよ」と、清宮さんは言います。

 ここ数年、区内各所で増えている「子ども食堂」ですが、平成28年より楽膳倶楽部でも月1回「らくぜんこども食堂」をスタート。「子ども食堂」を支えるボランティアは大学生などの若い世代も多いため、世代を超えた活動へ広がる転機となりました。

 また、子育て中のパパたちが光が丘エリアで活動する「光が丘パパの会」ともつながり、コラボ企画を次々と開催。世代を超えた交流は、それぞれの能力に応じて、お互いを助け合う良いバランスを作り上げています。若い世代との交流は、高齢者ににとって活力を与えてくれるものになっているようです。

コンセプトは「食でつなぐ地域の絆」

 ランチパーティーに始まり、今日まで活動を大きく広げてきた楽膳倶楽部は、平成30年1月で20周年を迎えます。
 「ここまで継続して地域に根付いたのは、“食”という基本理念があったからこそ。地域交流の場は全国にいろいろありますが、その中で独自性を保ち、いつまでも活動を続けていくためには、この“食”が重要だったんだと思います」と、清宮さん。

 会員の皆さんのお住まいは光が丘周辺にとどまらず、旭町や土支田、平和台、大泉、石神井、桜台…など、地域的な広がりをもっていることも、強さの秘密かもしれませんね。楽膳倶楽部の活動に興味のある方は、誰でも会員になれますし、ボランティアも大歓迎とのこと。
 楽膳倶楽部の詳細や入会などについては、こちらをご覧ください。

 取材を通して、楽膳倶楽部のような活動が全国に広がっていけば、日本の高齢社会も多様なつながりを深められるのではないかと、明るい希望を感じました。

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シナモン

以前、私が高齢者のための食事会を催した時に感じたのは、高齢者が高齢者を助ける仕組みになってしまっているというジレンマでした。楽膳倶楽部が素晴らしいのは、若者が高齢者を助け、高齢者は若者をサポートするという良い循環が生まれている点です。また、会員が自主的に活動ができるのは、自分たちの拠点をもっているからこそ。楽膳倶楽部の活動の自由な発想も、そこから生まれていると感じました。

KKK3

定年を迎え、家庭内での生活の自立をと考えていた折、今回の取材で「男性料理教室」を知りました。清宮さんは「男性はだいたい自分が先に死ぬと思っているが、実は女性の方が先に施設に入ったり亡くなったりすることも多い。だから男性も料理をする必要がある」と、諭すように話してくれました。料理上手の奥さんが入院して初めて台所に入り、自分で全部食事を作ったという会員さんの話が印象的で心に残りました。

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理事長の清宮百合子さん。「なぜ“食”かと言えば、食べることが好きだから(笑)」

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「食」のほっとサロンでのランチパーティーの様子。料理をしながらの交流も楽しみのひとつ♪

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楽膳倶楽部の活動拠点は、2階建てのアパートをリフォームした「楽膳旭町ハウス」。子育て世代からシニア世代まで、いつもにぎわっています

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「配食サービス」の準備中。栄養たっぷりの手作りのお弁当を地域の高齢者の元へ届けます

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区の協働事業「相談情報ひろば」としても、地域のシニアに大人気。前川練馬区長が視察にみえたことも

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「光が丘パパの会」とのコラボイベントのもちつき。次の世代へ活動が続くように、子育て世代と積極的に交流を図っています

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「男性の料理教室」の様子。清宮さんのお手本を見ながら熱心にメモを取る参加者

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サポーターの取材の様子。20周年記念として、地域の高齢者のために役立つレシピの冊子を企画中とのこと