地域をつなぐ、こども食堂
~練馬区内では10か所以上に点在~

取材日:平成29年2月27日 更新日:平成29年3月27日

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こどもの貧困が社会問題になるなか、「こども食堂」という活動が全国的に広がっています。練馬区にもこども食堂が10か所以上あります。そのうちのひとつ、ダイコンこども食堂を取材し、実態とこれからについてお話を伺いました。
ダイコンこども食堂 只野 公朋(ただの きみとも)さん
■ 住所 練馬区石神井台5-23-17
■ 電話 03-5903-8213
■ 時間 17時~ 20時(月2回程度)
■ ホームページ http://childrens-cafeteria.tokyo

「こども食堂」全国と練馬区の現状

 こども食堂を出張にて春日町南地区区民館で行い、さらに石神井台の店舗を拠点に始めた只野公朋さん。全国的に広がっている「こども食堂」とは、どんなものなのか伺いました。

 「こども食堂は運営している方によって多少の違いはありますが、共通点として『こどもが一人で立ち寄れること』『無料または安価で食事を提供していること』の2点です」

 「平成28年5月の朝日新聞の調査では、こども食堂は全国に約320か所あるという結果でした。『こどもの6人に1人は貧困』という現実にショックを受け、何とかしたいと始めた方が多いようです。続けていくうちに、『居場所づくり』をキーワードにしていく方が増えています」

 練馬区では、いつ頃からどう広がったのでしょうか。

 「谷原の真宗会館で開催している『ねりまこども食堂』から徐々に広がっていきました。お寺や公共施設で開く方が多く、私がこども食堂を知ったのもここがきっかけでした。こどもが住んでいる地域ごとに点在していることが理想的です」

居場所づくりこそが大切

 只野さんのこども食堂の活動について教えてください。

 「私はもともと練馬区で飲食店を開きつつ、こども食堂は平成27年秋、春日町南地区区民館で始めました。道具などを一式持ち運ぶのが大変で、自分のお店でできればと思い、平成28年12月、石神井台に移転しました。ここは平成29年4月から、月2回開催しています。『いつ来ていつ帰ってもいい。コミュニケーションが苦手なら何も話さなくてもいい』というスタンスです」

 どのような利用者の方が多いのでしょうか。

 「こどもだけ、または、お父さんの帰りが遅い家庭のお母さんとこども…などが多いですね。魚や肉が食卓に出せない、果物が買えないなど、生活に困っている方もいます。生活費の中で食費が一番簡単に削れるからです。食べ物に困っている人はどの地域にもいる。これまでやってきて、そう実感しました」

 「一番驚いたのは、シングルマザーや障害のあるお子さんが、こんなに多いのかということです。どこに相談したらいいかわからず孤立している方もいます。そのために必要なのは、地域のつながり。こどもの貧困のために始めた活動ですが、今は『地域のつながりと居場所づくり』こそが大切だと思っています」

 居場所づくりのために、食事以外で行っていることはありますか。

 「ボードゲームを置いて、遊べるようにしています。地区区民館の場合はカラオケの機材などもあって、みんな楽しみにしています。学校や学年の違う子と会えるのも、魅力だと思います。また、地区区民館は調理場が広いので、こどもと一緒に料理することもあります。イカをさばいたときは、クチバシに驚いていました(笑)。お母さんが忙しいと、一緒に料理もできませんしね」

「こども無料」に込めた信念

 ダイコンこども食堂は、こども無料、大人300円ですが、収支はいかがでしょうか。

 「今は月に2回の開催なので、全国から寄付で届くお米や野菜、寄付金などを利用して賄えています。以前、育児と介護のダブルケアで職を失い、かなり困窮していて、たとえ50円でも有料にしたらこどもに食べさせられないという状況の方がいました。だから、こどもは無料にこだわりたいと思います」

 スタッフの方は、どのような人達なのですか。

 「スタッフは皆ボランティアで、練馬区以外の方もいらっしゃいます。今は女性が10名程しかいないので、男性の方にも来て頂きたいです。男性が関わればよりよい地域になると思います。シニアの方も歓迎です。昔遊びを教えてもらったり、地域の昔のことを話してもらったりするだけでもこどもにとっていい勉強になります」

地域が手をつながないと、解決はできない

 10年前からフードバンクでボランティアをしているという只野さん。フードバンクというのは、企業や個人から、まだ食べられるのに不要になった食品を受け取り、必要とする人へ無償で届ける活動および団体のことをいいます。相談してもらえれば、困っている方に食材を提供できると只野さんは言います。

 「こどもの貧困や孤食の問題を解決することは、こども食堂だけでは無理だと考えています。様々な団体が、協働で取り組まなければ解決できない。そのために、自分の言葉で伝えて、いかに多くの人を巻き込んでいくかが課題だと考えています」

 「いろいろな団体をつなぐ役割として、こども食堂には魅力があると思っています。食事を通してつながるコミュニティは、広がりやすいからです。実際、ホームページやSNS(Social Networking Serviceの略)を見て連絡をくださる方もいます」

 食品やお金の寄付、ボランティアなど、自分たちもこども食堂に関われる方法があります。できることから始めたいですね。

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きさらぎ

運営をされている只野さんが若い方だったのに驚きました。地域のこどもたちの居場所づくりを目的に懸命に活動されているのが印象的でした。私たちシニア世代も色々な方法で協力できることもわかり、取材ができて良かったです。提供されている食事をごちそうになりましたが、大変おいしかったです。

風のハズバンド

こども食堂を通して、すべての世代が交流できる地域社会を実現できるように支援したいと思います。こども食堂だけでなく、フードバンクの支援の拡大も願っています。福祉を充実させる活動で、少子化の解決を願います。

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只野さんは、「こどもの笑い声があるだけで、まちは明るくなります。私自身が楽しんでやっているので、こども食堂の毎日開催を目指して、今後も続けていきます!」

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1階は、只野さんが経営する居酒屋「東楽」。ここの2階で「ダイコンこども食堂」を開催しています

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取材日はカレーと漬物(写真は大人用)。野菜もたっぷり入っています

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区内でいち早く始めた、真宗会館で開催されている「ねりまこども食堂」。ここはバイキング形式

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「出張 ダイコンこども食堂」の様子。大勢で夕食を食べるのって楽しい!!

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春日町南地区区民館で調理するボランティアスタッフ。キッチンが広いので、こどもたちが手伝うこともあります

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大人がこども食堂を利用する場合は、300円をこの箱に入れます

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只野さんとカウンターをはさんで、取材するサポーターの様子