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練馬で初めて「みどりの風 練馬薪能」が開催されました
~練馬区独立70周年プレイベントとして~

取材日:平成28年10月10日および10月14日 更新日:平成28年11月25日

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平成29年8月1日は、練馬区が昭和22年に板橋区から分離、独立して70年になります。そのプレイベントとして薪能が、石神井松の風文化公園で開催され、有料席、立ち見席、大型ビジョン席を含め、約2,200名の観客が幽玄の世界を堪能しました。当日の様子と、事後の担当部署の方へのインタビューから、その全容についてご紹介します。
練馬区 地域文化部
文化・生涯学習課 文化事業担当係長 渡邉 秀樹(わたなべ ひでき)さん
■所在地:練馬区豊玉北6-12-1
■電話:03-5984-4723(練馬区 地域文化部)
■ホームページ:http://www.city.nerema.tokyo.jp

みどり豊かな石神井の森に、日本を代表する能楽師が舞う

 練馬区独立70周年文化事業のプレイベントとして企画された「みどりの風 練馬薪能」。開催日の平成28年10月10日(月・祝)は、薄曇りでやや肌寒い日でしたが、開場時間前から観客の行列ができ、陽が落ちてゆくとともに薪能への期待が高まります。

 式典では、「みどりの中で一流の文化・芸術を楽しみ、多彩な市民文化の花が咲く、練馬をそんなまちにしていきたい」と前川燿男練馬区長のあいさつがありました。薪能の意味を知るとともに、区民と共生をめざす行政のスタンスに練馬の未来を垣間見たようでした。

 午後5時、区長らによって舞台両脇のかがり火がともされ、さらに背景の石神井の森がライトアップされると、深い緑の森とステージが幻想的に浮かび上がりました。いよいよ薪能の始まりです。

 狂言は「二人袴」という代表曲を、野村万作さんと萬斎さん親子が共演しました。めでたい席でのやりとりが笑いを誘い、初めて狂言を見る人にもわかりやすい演目でした。能は「船弁慶 前後之替」で義経と弁慶、静御前の別れの場を、梅若万三郎さん、泰志さん、志長さんの三世代が演じました。ストーリー展開の面白さ、雅な装束と所作の美しさに満場の観客から盛大な拍手が送られました。

区民の関心の高さに、パブリックビューイングを設置しライブ中継

 数日後、鑑賞の余韻を残しながら、練馬薪能にかけた思いや工夫、手応えなどを練馬区の文化事業担当係長の渡邉秀樹さんに伺いました。

 「1年ほど前から企画が立ち上がり、準備を進めてきました。主となる職員は3名でしたが、当日は約40名の職員に応援を頼みました。みどりが多いという特長を生かし、地形や樹木もそのままに舞台を造るなど、練馬ならではの薪能をめざしました」

 チケットの販売状況、当日の来場者数などはいかがでしたか。

 「先に区民枠の324席(車椅子含む)のチケットを販売したところ、約6,000名の応募があり、18倍を超える倍率となりました。一般枠の268席も45分で完売し、電話がつながらないといったお叱りもいただきました」

 「有料席後方に無料の立ち見スペースを設けたり、さらに同公園の松林のひろばにパブリックビューイングを設置したり、できるだけ多くの方にご覧いただけるようにしました。4台のカメラ割りで200インチの大型ビジョンによるライブ中継は、『演者一人一人の所作や装束の細かいところまで見え、臨場感たっぷりで良かった』との感想が寄せらています」

 「試験的にスマホやタブレットを利用して、能の台詞や当日のアナウンスをリアルタイムで表示させるアプリを、立ち見席とパブリックビューング会場で実施しました。これは聴覚障害のある方にも能を楽しんでいただける有効なサービスなんですよ」

 当日は約2,200名が来場され、アンケートの集計では10代から70代の方までの回答があり、約85%が女性でした。年齢が上がれば上がるほど、層が厚かったようです。

笑顔で安全に楽しんでいただくために

 初めての薪能開催ということで、心配事や気苦労が絶えなかったのではないでしょうか。

 「そうですね、一番の願いは、お客様に怪我なく笑顔でお帰りいただくことと、当日雨が降らないことでした。天気は自分ではどうすることもできないのですが(笑)、夢に出てくるほど天気予報を気にしていました。万が一の雨に備えて、当日は練馬文化センターの会場準備もしていました」

 「薪能は公園のなだらかな傾斜や樹木をそのまま生かして舞台を造ったので、終演後に暗い中、お客様が土や木の根に足を取られないか心配でした。保健師が会場で待機したり、イベント保険に入ったりしましたが、皆さま無事に笑顔で帰られてほっとしています」

平成29年、練馬区独立70周年に向けて

 「独立70周年を迎える練馬区の記念事業のひとつとして、来年も薪能を10月に実施する予定です。ぜひ、ご期待ください。能は鑑賞前に演目の解説やあらすじをあらかじめ読まれると、何倍も楽しめると思いますよ」

 「また、年間を通してさまざまな記念事業を企画していますが、できるだけ区民参加を呼び掛けて、区民と一緒に盛り上げていきたいと思っています。告知は今後の区報やホームページをご覧ください」

 取材を通して、質の高い文化芸術を身近で楽しむことができるように取り組んでいる練馬区の姿勢を感じることができました。シニアの皆さんも積極的に参加して、活気あふれる1年にしたいですね。

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練馬薪能は、格調高くシニアをも魅了しました。しかもご近所での体験は夢のようでした。かがり火が風に揺れ、森は黒々と立ち上がります。夕暮れの虫の音、ねぐらに帰る鴉(からす)の声、かすかに聞こえる飛行機のエンジン音…、これも薪能のために用意された演出? 大自然の中に、演者と囃子方(はやしかた)の笛、鼓の音色がひときわ高くこだましました。

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秋の宵の能楽観劇と、後日のご担当者インタビューという2ステップの取材でした。当日は雨にならず、幻想的な雰囲気の中で薪の灯りに映る、能・狂言を拝見でき大変感動しました。インタビューでは準備・実施のご苦労を伺い、今後の前向きな姿勢とやる気を実感! 薪能は来年も実施予定とのことですから、シニアの皆さん、来年も楽しみですね。

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人間国宝であり練馬区名誉区民である野村万作さんが、今回の薪能をプロデュース。練馬区にゆかりのある能楽師を中心に舞台を作り上げました
狂言「二人袴」
(写真提供:練馬区)

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重要無形文化財総合指定保持者の梅若万三郎さんが静御前を演じました
能「船弁慶 前後之替」
(写真提供:練馬区)

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(左から)梅若万三郎さん、前川燿男練馬区長、野村万作さん
薪能の会場となる、石神井松の風文化公園の花と木立のひろばを見下ろせる管理棟で記者会見がありました
(平成28年9月23日)

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これまでさまざまなイベントの立ち上げに携わってきた文化事業担当係長の渡邉さん

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告知チラシ(左)
当日販売されたパンフレット(右)

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パブリックビューイングでライブ中継を実施。300席の周囲は立ち見客でいっぱい

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シニアサポーター(左側2名)の取材の様子

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薪能の前に開催された「みどりの風 区民コンサート」。石神井を中心に活躍する団体の皆さんが音楽やスポーツを披露!
同公園内の松林のひろばにて