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最新の清掃工場を見学しよう!
~見どころ満載、子どもも大人も楽しめる無料の社会科見学スポット~

取材日:平成28年5月18日 更新日:平成28年6月10日

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清掃工場は生活に密着した大事な場所。普段はあまり接点がありませんが、自分の出したごみの行方を知ってみたいと思いませんか。そこで、昨年11月に竣工(しゅんこう)になったばかりの練馬清掃工場に、“大人の社会科見学”に行ってきました。
練馬清掃工場
工場長 井俣 弘治(いまた こうじ)さん
■所在地:練馬区谷原6-10-11
■電話:03-3995-5311(月~土曜日、午前9時~午後5時)
■個人見学会:毎月第2土曜日(先着50名・無料)。見学日2日前の午後3時までに電話申込
■ホームページ:http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kojo/nerima/

最新鋭の設備を備えた、練馬清掃工場

 練馬清掃工場は、昭和33年の操業開始以来、地域の人たちとともに歩んできました。昨年11月、4代目となる建物が竣工。生活者として知っておきたいポイントがいっぱいあると聞き、個人見学会を体験してきました。案内してくださったのは、工場長の井俣さんです。

「練馬清掃工場の大きな特徴は、敷地が狭いこと。23区内に21ある清掃工場の中で3番目に狭く、しかも住宅密集地ですから、近隣への配慮をとりわけ重視しています」

 建物の高さ制限があるため、下へ下へと地下30mまで深く掘り、高さ40mもある焼却炉を設置したとのこと。2mのセットバック、高さ6mの防音壁なども、周囲に圧迫感を与えないための工夫だそうです。

巨大クレーンのダイナミックな動きにクギ付け!

 いよいよ工場内の見学へ。ガラス張りの廊下から収集車が積んできたごみを地下の広大なバンカに排出するところを見ることができます。収集車が次々に入ってきて、ランプの点灯した場所にごみを排出しています。練馬区だけでなく、豊島区、中野区、杉並区、板橋区などからも家庭ごみが運ばれてくるとのこと。

 続いて、ごみバンカをチェック。深さ約18m、収集車2,300台分に当たる4,000t以上のごみを貯留できるとか。といっても、通常の貯留量は2,000tくらいだそうです。

 バンカの上では、巨大なクレーンがダイナミックに作業中。ごみの袋を破って中身を出し、片寄りをなくして平均化しないと、燃焼効率が悪くなります。撹拌(かくはん)されたごみは、クレーンで焼却炉に落とされ、焼却されたごみは灰になり、灰は埋め立て処分場へと運ばれます。

「体積は元から約20分の1に。焼却炉では、燃焼温度を800℃以上にまで高めることでダイオキシンを抑制しています」

ゲームなど楽しく見学できる工夫もいろいろ

 見学コースには、アトラクション的な要素も盛り込まれています。クレーンの大きさを体感できるゾーン、焼却炉にごみが投入される瞬間を見ることができるガラス床ゾーンなどもあり、大人も子どもも楽しめます。

 とりわけ井俣工場長の思い入れを感じられたのが、「炉内体験装置」です。左右の壁に燃え盛る炎のリアルな映像が映し出され、足元には火格子の模型が。その上をおそるおそる進んでいくと熱気も感じられ、焼却炉の中にいるような体験ができます。

「本当はもっと熱い空気を出して実際に近い感じを出したかったんですが、危険だということでほんのり暖かさを感じていただく程度です(笑)」。清掃工場を少しでも身近に感じてほしい、という気持ちが伝わってきました。

清掃工場は“発電所”でもあるという事実

 印象に残ったのは、清掃工場はただの“焼却場”ではない、ということ。

「ごみの焼却時に発生する熱を使って蒸気を作り、その力を利用してタービンを回すことで発電をしています。最大18,700kWの発電能力、一般家庭約45,500世帯分の電気をまかなうことができる発電量なんです」

 練馬清掃工場の発電効率は23区の清掃工場の中でトップクラス。こうして作られた電気は、工場内で使った残りを“売電”していて、その収入が23区全体で100億円以上にもなるとのこと。また蒸気は高温のお湯を作ることにも利用され、近隣の三原台温水プールや敬老館、児童館などに供給される予定です。

生活者としてごみの分別に責任を持とう!

 炉内の燃え残った異物の写真を見せていただきました。針金ハンガーやスプレー缶など、いろいろなものが混じってできた大きな鉄クズ…、その黒い固まりにびっくりしました。

「焼却に適さないごみが混じっていると、焼却炉の停止や故障の原因となります。工場が止まってしまうと、練馬区だけでなく、23区のごみ処理に大きな影響を及ぼします。それが一番困ることですので、ぜひ分別をきちんとしていただくよう、よろしくお願いします」

 軽い気持ちで不燃物を混ぜてしまうことが大きな影響を与えていたなんて、思いもよりませんでした。終わりに、井俣工場長からメッセージをいただきました。

「練馬清掃工場は60年の歴史があり、見学に来られたシニアの方から『飾ってある昔の写真が懐かしい』と言われることもあります。生活に欠かせない施設だと言ってくださるのもシニアの方が多く、ありがたいですね。地域に密着した施設としてわかりやすい紹介を心がけていますので、ぜひ気軽に見学にいらしてください」

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実際に行ってみると、想像以上にワクワクする社会科見学でした。私のように環境やごみに関心が薄い人ほど、受けるインパクトは大きいと思います。難しく考えず、とにかく見学してみることをおすすめします!

風のハズバンド

清掃工場が臭いもなく、清潔でびっくりしました。最先端の技術を使い、可燃ごみを最小化しながら焼却。さらに、その熱を使い、発電して電力を生み出しています。将来の人口減少時代にも対応できるような対策もあり、課題は将来の技術者の継続的な育成とのことでした。

ねりまのすけ

新しい考えを持った未来の清掃工場に大拍手! 効率よく燃やすだけの清掃工場ではなく、環境に配慮し、稼ぐことも考え、区民の理解、ファンを得るための仕事ぶりが素晴らしい。その思いは「見える化」を心掛けた見学設備や工場長の説明の端々から感じられました。

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データなどを交えながら、わかりやすく説明をしてくれた工場長の井俣さん

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見学会は、説明ビデオを見ることからスタート。ごみ処理や設備についてわかりやすくまとめられています

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収集車がごみを積んだまま計量できるシステム。プラットホームという空間では、コンピュータ制御で収集車を誘導し、安全にごみを排出できます

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クレーンでごみを撹拌(かくはん)中。一度にトラック6台分、8 tのごみをつかむことができます。巨大なUFOキャッチャーのよう!?

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「不適ゴミ発見ゲーム」は意外と難しい。楽しみながら分別を覚えられます

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「炉内体験装置」で、ごみが燃やされる感覚を体感

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「中央制御室」。さまざまな計器や画面がずらりと並ぶさまは圧巻!

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屋上の様子。太陽光パネルは230枚あり、発電量は約60キロワット。緑化率は地上部約28%、建物約68%ですが、竣工したばかりなので植物の育成もこれからです