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写経 de 寺カフェ
~お寺がコミュニティの場~

取材日:平成27年12月16日 更新日:平成28年2月10日

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写経を通して、どんな意味があるのかひもときたい…。そんな思いにかき立てられて、写経体験ができて敷地内に寺カフェがあるという椎名町駅前の金剛院に行ってきました。住職の貴重なお話とともにご紹介します。
赤門テラス なゆた(カフェ)
金剛院 住職 野々部 利弘(ののべ りこう)さん
■所在地:豊島区長崎1-9-2 金剛院内(西武池袋線「椎名町駅」下車すぐ)
■カフェの営業時間:平日9時〜19時 土日祝10時〜19時
■カフェの電話:03-3530-8824
■写経体験:500円
■赤門テラス なゆた:http://nayutacafe.com
■金剛院ホームページ:http://www.kongohin.or.jp/

境内の木々に囲まれた寺カフェ

 椎名町駅北口からすぐのところに、およそ500年前の大永2年(1522年)に開創された金剛院があります。その敷地内にあるカフェ、「赤門テラス なゆた」(平成26年5月オープン)。丁寧に磨かれたガラス張りの店内は開放的で、ゆったりできる心地よい空間です。ランチは2種類でお寺ごはん、キッシュプレートから選べます。

 メニューについてお話を伺いました。
 「お寺のランチというと、精進料理をイメージされるかもしれませんが、肉や魚も取り入れてバランスよく腹6分を目安に調理されています。すべて『ほどよい加減』のなかに、答えはあります。みどりを眺めながら、ごゆっくりお召し上がりください」

 この日のお寺ごはんの主菜は豚肉を使用したフライ。とてもやさしい味のランチでした。ケーキやぜんざい、パンケーキなどスイーツも充実しています。女性客が多いのでスイーツセットは人気があるそうです。

カフェでイベント情報を発信する理由

 店内には、多種のチラシが置かれていました。写経、ヨガ、フラダンス、ゆるゆる体操、コンサート、映画上映会、落語独演会、節分豆まき、がんカフェ、子ども食堂(生活困窮家庭の幼児から高校生に無料で夕食を提供)、無料相談(法律・相続・遺言)など。こんなにたくさんの習い事やイベントが、金剛院の敷地内で行われているとは驚きです。どのような目的で開催しているのでしょうか。

 「お寺は本来、葬式と法事を行うところです。金剛院でイベントを多く開催するようになったのは10年ぐらい前から。独居の方が多くなったという背景があります。また、東日本大震災のあと、ますます心の時代になったと感じています。子どもから高齢者まで包容できる居場所として、お寺が地域の核となって『コミュニティの場』をつくる、そんな思いで始めました」

 寺カフェにチラシを置くことは、広報の一翼を担うことになるのでしょう。生活に潤いが欲しかったり、地域のつながりを求めたりしたときに、なにかきっかけがつかめそうです。

写経体験を通して得るもの

 場所を金剛院へ移して、写経を体験しました。取材当日は大勢の方がいらしていました。筆ペンや半紙は用意されています。
(※写経体験は予約が必要です)

 「慌ただしい日常のなかで、集中して一つのことをやり遂げる時間がなくなってきています。写経を完成させることで、達成感、満足感を得られます。仏様の絵をなぞる写仏もあり、どちらも人生をより良くするための修行になります。手を使って書くという行為は、骨道を通じて脳に伝わっていきます」と住職は話されました。

 般若心経の1文字1文字の意味を理解しながら書き写していくと、「心の中がだんだん空っぽになり、穏やかな自分を取り戻すことができる」と言います。所要時間は多くの方が40分〜50分ぐらい。無我の境地でひたすら書くことは、人生初の体験でした。精神を一旦リセットするような、落ち着いた気持ちになりました。

終活で大切なことは?

 「終活がブームになっているような気がしますが、私はあまり気にしなくてもいいと思うんですよ。息子や娘には期待できないとか、迷惑をかけたくないとか言う親御さんが非常に多い。だけど子どもだからこそ、迷惑をかけていいんですよ。離れていた子どもであっても、その時になれば結構やるものです。それとね、普段からご近所の関係を良くしておく、友人を大切にする、そういった人間関係を築きあげておけばいいんです」

 なんだか、心がすっと軽くなるような住職の言葉でした。最後に練馬区のシニアの皆さんに、ひと言お願いします。

 「ぜひ、かわいいおじいちゃん、おばあちゃんを目指してください。いつまでも険があってはダメ。毎日を明るく生きていれば、寂しい最期にはなりません」

 本日はありがとうございました。

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プラッシー

ご住職の経文の要約を思い、40分静かな空間で写経できました。終わって外に出ると、ひんやりとした空気が身を引き締めました。新たな気持ちで2016年を始められそうです。祈りのうちに。

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写経には昔から興味があり、今回は貴重な写経体験ができました。池袋に近い椎名町のお寺で、カフェやヨガ、寺子屋などを運営されており、地域に密着した新しいお寺の運営を見たようです。今後は他のお寺も興味を持って散策してみたいと思います。

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本日のお寺ごはん。色とりどりで盛り付けもきれいです

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キッシュやケーキが並ぶショーケース。その他、カヤの実クッキーなどもありました

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全面ガラス張りの寺カフェ。テラス席もあります

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寺カフェ内の机に、各種チラシが置かれています。イベントのほとんどは、金剛院またはカフェの地下や2階で実施されます

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33代目の野々部住職。ひと言ひと言に含蓄があり、人や地域のつながりをとても大切にされています

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金剛院の入口。写経体験をする際にはこちらから靴を脱いで入ります

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写経が完成しました。この紙は持ち帰っても良いし、納めていくこともできます

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境内にあるマンガ地蔵。椎名町駅南口に漫画家の聖地「トキワ荘」があったことを象徴し、「漫画の街として発展していくことを応援している」と住職