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相撲部屋ってどんな生活?
~峰崎部屋を訪ねて~

取材日:平成27年2月7日 更新日:平成27年3月25日

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最近また相撲人気が復活してきたそうです。今回は、伝統ある世界を知りたいと峰崎部屋を訪ねました。田柄に部屋を作って27年目、練馬区唯一の相撲部屋です。
広い玄間には「荒鷲関へ」と添えられた立派な蘭が飾られていました。引き戸を開けて中に入れば、そこには大きな神棚と土俵をしつらえた厳粛な空間が。まわしをつけた20数人の青年力士が、指導者に見守られて早朝から始まる稽古に臨んでいました。
1対1のぶつかり合いは、妥協がなく真剣で、すがすがしい空気に包まれます。ぶつかり稽古の土俵を囲んでは、高く足を上げて四股を踏み、大木にてっぽうを打ち、スリ足や、スクワットをする姿があります。始まってから2時間以上、力士たちのぶつかり合いは疲れるどころか、どんどん高揚して声は張り上がり、肌は紅潮し、身体の動きも俊敏になっていきます。立ち会いの「シュツ」と呼吸の緊張感、「ドシッ」と身体のぶつかる音が繰り返し続いていきます。押し合いをはさみ、またぶつかり合いは続きます。幕内西14枚目の荒鷲関が土俵に入れば、皆我もと相手に名乗りを上げ、一心に向かっていきます。こうした稽古は昼前まで続きます。今昔の違いは大きいでしょうがそれでも若者が裸でまわしを締めて髪を乱して砂まみれになってぶつかり合う稽古風景を拝見すると「今時の若者は…」などの言葉は出てきません。縦社会で素直に「はい」と従う姿勢は新鮮でした。
稽古の後半になると、奥の方からトントンと軽快な包丁の音。大きな炊飯釜の横を通り炊事場へ移動し、ちゃんこの用意でお忙しい中、親方とおかみさんにお話を伺いました。親方の現役時代の四股名は三杉磯で、前頭2枚目まで出世し、美男力士として人気を集めた方です。お二人に、相撲部屋の生活、若い力士の育て方、これからの展望をお話していただきました。
大相撲 峰崎部屋
親方 峰崎 修豪(みねざき のぶたけ)さん・おかみさん 婦記子(ふきこ)さん
■住所 練馬区田柄2-20-3
■アクセス 地下鉄有楽町線・副都心線赤塚駅より徒歩5分
■問い合わせ 03-5997-3601  ※見学の際は事前に連絡を
■ホームページ http://www.minezaki.com/

直撃インタビュー

Q1.お相撲さんの一日を教えてください。

A1.朝は5時に起床。まず朝稽古です。6時から10時過ぎまで。今日は、芝田山部屋との合同稽古でした。芝田山親方は元横綱の大乃国さん。いつも芝田山部屋と交互に部屋を行き来して稽古しています。稽古の後は、風呂に入って髪結って、ちゃんこです。食事のことをちゃんこ、といいます。上の子から順番に食べて、最後の子はお昼の2時頃になるね。縦社会です。片づけが終わったら夕方4時まで昼寝。その後、幕下の子達で掃除して、6時から7時半位までちゃんこ。片づけが終わったら夜は自由です。干渉しませんから普通の子と変わりませんよ。夜遅くにラーメンを食べに行く子とか、夜更かしをしている子もいます。

Q2.お相撲さんの一年間のスケジュールは?

A2.本場所6回に巡業が4回。本場所が終わった翌月中旬から次の場所に移動します。大体初日の2週間前に番付発表があり、その1週間前に移動するのです。本場所の間に春巡業、夏巡業、秋巡業、冬巡業があります。春巡業は東京方面に向かって、夏は東北、北海道など涼しい方面、秋冬は近畿、九州、沖縄方面と決まっています。冬巡業が終わって帰ると12月半ば過ぎ。クリスマスや年末の餅つきのイベントがあるのであっという間に1年が過ぎます。

Q3.行司さん、呼出さん、床山さんも各部屋に所属しているそうですね。場所以外ではどのような仕事をしているのですか?

A3.行司は会社でいえば総務課といったところかな。書くこと、各種手配や連絡など事務的なこと全てです。呼出はウチの場合は2人とも結婚していますから自宅から通っています。部屋の仕事の全てに係わり、若い衆の教育係でもあります。床山は若い子なので雑用全てです。私に怒鳴られながら働いていますよ(笑)。

Q4.新弟子はどのように見つけていますか?

A4.今はインターネットでの申し込み、そして人からの紹介。人とのご縁が大きいです。さっき、稽古に若い子がいたでしょ。あの子はこの春に中学を卒業します。福岡の子で、行司が連れて来ました。そういう子が上がってくるのが楽しみです。

Q5.親方がお相撲さんだった時代と、今のお相撲さんでは違いを感じますか?

A5.全く違います。情報社会だからでしょうか、楽な方へとぶれてしまうような気がします。勝負に対して淡泊で、稽古への集中力がない。昔のような「この道しかない、帰る家がない」といった決心や覚悟がない。競い合うことは今の時代でも必要なので、いつも私の頭はカッカとしています(笑)。

 炊事場で立って、背の高い親方を見上げながらのインタビュー。親方が部屋の力士への率直な思いを口にすると、ちゃんこの仕込みをしながらおかみさんが「え~っ? そうかなぁ~?」とフォロー。こうしてお二人のコンビネーションでお弟子さん達を導いているのだなと実感しました。熱くて厳しい親方のお話はここで終了。ここからは、ちゃんこの用意で忙しい中、おかみさんにお話をうかがいました。

Q6.大量のお肉ですね。今日のメニューを教えてください。

A6.チキンカツは4kg分、あと鮭を焼きます。鍋は美味しそうな手羽があったので手羽の入った鶏鍋です。野菜がたくさん入った温かい汁で栄養を取ってもらいます。

Q7.ちゃんこは一緒に召し上がるのですか?

A7.食事はきつい練習が終わってゆるりとできる時間なので、普段は一緒に食べません。親方や私は自宅で食事をします。相撲は完全な縦社会ですから、会社でいう上司の目のないところでのびのびと食べてくれたら。

Q8.お相撲さんは皆さんここに住んでいらっしゃるのですか?

A8.幕内力士の荒鷲以外は10代から30代までみんなここで生活しています。

Q9.おかみさんは皆さんとはどの様に関わっているのですか?

A9.全部です。今日も具合が悪い子がいて、そういう時は私が車で病院へ連れて行ったりします。すべての責任は全部私たちにありますから。

Q10.今のような生活を想像されていましたか?

A10.私たちは恋愛結婚で、好きになった人がお相撲さんだったわけで、その時点ではこのような生活になるとは全く思っていませんでした。支えてくださる方がいて、部屋を開き、私も「やるしかない」と決めて26年になります。子育てで忙しい時もありましたが、その子供たちも成人しましたし、これからはおかみに専念します。親方には定年が65歳ですから、私がおかみでいられる期間もあと数年です。それまで全力でやっていこうと取り組んでいます。皆が怪我なくやりきったと思えるような環境を整えてあげて、最後を迎えられたらいいですね。

Q11.今後の取り組みで考えていらっしゃることは?

A11.先日、行司の銀次郎がトークショーに出演した際には、親方もステージに呼ばれて話をしました。200人位の相撲ファンがいらっしゃったのですが、とても盛り上がりました。皆さん相撲をより深く知ろうとしてくださっているので、こういったイベントもやっていきたいです。ファンの皆様にいろいろな形で喜んでいただき、相撲界のためにご恩返しをしたいなと思っています。

Q12.最後に、地元練馬の皆さんにメッセージをお願いします。

A12.稽古を見学できますので、どうぞいらしてください。巡業などで部屋での稽古のない日もありますので、予定については電話でご確認ください。

おかみさんはチキンカツの衣をつけながらお答え下さいました。お忙しいお二人に時間を作っていただき恐縮でいっぱい。本当にありがとうございました。

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素人目線の取材に率直にお答え下さった親方とおかみさん、本当にありがとうございました。もっともっとお相撲を知りたくなりました。ミーハーファンから一歩前進です。ホームページもリニューアルされています。多くの方々に峰崎部屋をそして相撲そのものを応援していただきたいと思います。

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取材した日は芝田山部屋(親方は元・横綱の大乃国)との合同練習。往年の横綱と、現在審判員である峰崎親方(元・三杉磯)に、相撲素人の私も大興奮。実際目の前で見る力士にも心奪われ、楽しい取材でした。どなたでも見学OKとのことですので、皆さまも地元で頑張っている若い力士の応援にお出かけになってみてはいかがでしょう。

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取材にうかがった峰崎部屋。地下鉄有楽町線・副都心線の赤塚駅から徒歩5分、住宅街の中にあります

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朝稽古を見学。力士たちのぶつかり合う音が響きます

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間近で見るお相撲さんは迫力満点

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ペンを握る手にも力が入ります